地域とともに稼げるDMOへ、IT活用の観光商品販売で課題を解決する奄美大島の事例を聞いてきた(PR)

各地で設立が推進されている日本版DMO。その主な役割は、地域一体での観光地域づくりのための合意形成やKPIの設定、PDCAサイクルの確立といった戦略策定のほか、地域の稼ぐ力を引き出す主体として、自らも収益を得て自立する組織であることが求められている。

限られた時間と予算、人的リソースのなかで、地域が稼ぐための観光地経営と自らが稼ぐための体制整備を両立するポイントは何か。その基盤の一つとして、ウェブ販売管理システムを導入し、先ごろ本格稼働した日本版DMO候補法人「(一社)あまみ大島観光物産連盟」に、DMOの発足に必要な体制整備から課題対応、運営の取り組みまで聞いてきた。

DMO化に伴う課題

奄美大島は、九州本土と沖縄本島のほぼ真ん中に位置する鹿児島県の離島。「(一社)あまみ大島観光物産連盟」は、その5市町村からなる島の観光地経営を担うべく、2016年1月からDMO事業に取り組み、2016年12月に一般社団法人化した地域連携DMOだ。その1か月前の11月に、観光庁の日本版DMO候補法人として登録されている。

DMOとして目指すのは、着地型観光をベースに奄美大島の本来の姿を観光に結び付け、住民一人一人が主役となって地域活性化を図ること。地域一体のワンストップ窓口となり、来訪者の受け入れと満足度向上に繋げる。

日本版DMO候補法人「(一社)あまみ大島観光物産連盟」Webプロモーション・特産品を担当する責任者の長瀬悠氏

2016年1月に事業構想を発表後、12月の設立に向けて体制整備に取り組み、以前の奄美大島観光物産協会を母体に人員を1.5人から4.5人に増強。一般社団法人への組織変更、経営戦略のためのマーケティング委員会の設置、KPI設定(旅行消費額、延べ宿泊者数、来訪者満足度、リピーター率などの業績評価指標の設定)やプロジェクトごとのPDCAサイクルの確立など、日本版DMOとして必要な登録要件の整備と、ワンストップ窓口の基盤となるウェブプラットフォームの構築作業も開始した。

ただし、予算や人的資源が限られる中、地域が登録要件に必要な各種データ収集や分析などを自前で行なうのはハードルが高い。加えて、同DMOのウェブプロモーション・特産品の責任者である長瀬悠氏は、「DMOを進める上では、地域全体への理解浸透や島内に複数ある観光協会や行政との連携、さらに自主財源を確保し、自走可能な組織を作る体制整備も必要です」と、運営に伴う課題もあるという。

自ら稼げる組織づくりの基盤に

これらの課題対応とDMOの登録要件を効率よく実現するため、同DMOでは外部システムの活用を決定。ジェイティービー(JTB)と現地体験予約サイトを運営するアソビューが共同開発した観光商品の販売管理システム「エリアゲート」を、公式サイト「のんびり奄美」に導入し、2017年1月26日に稼働を開始した。

「エリアゲート」とは、自治体やDMOの公式サイトを通して、地域コンテンツの管理・販売を実現するクラウドシステム。地域の宿泊施設や体験プランなどを公式サイトに掲載して情報発信の場とするほか、流通支援、販売管理、販売に係るデータ収集と分析にも対応する。販売金額に応じた手数料収入も可能で、DMO自らが稼ぐための収益源にもなる。つまり、日本版DMOに求められる役割を、効率的にサポートしてくれるシステムだ。

具体的な流れは以下の通り。

予約・購入が可能な商品は、地域の各事業者が契約するJTBやるるぶトラベルの「宿泊予約」、アソビューの「体験・チケット」、及び地域の特産品など。実際の予約・購入は、るるぶトラベルやアソビューなどの売り場に繋げる仕組み。

各予約サイトの手数料の一部がDMOに支払われる。つまり、旅館などの島内事業者がるるぶやアソビューに支払う販売手数料は変わらずに、その数パーセントがDMO、つまり地域に還元されることになる。

長瀬氏も導入の決め手を、「特に自走可能な体制整備のサポートとなるのが一番。手数料収入を期待しています」と説明する。島内事業者の販売実績が地域に活かされ、DMOの財源のサポートにもなる仕組みだ。

さらに、「サイトを訪れたユーザーからすれば、旅行の情報収集と同時に旅行の予約・購入ができる方が便利です」と、ユーザー利便にも合致することも、導入決断を後押ししたという。

島内事業者との関係強化、認知浸透のきっかけにも

さらに長瀬氏は、エリアゲートの導入によって、公式サイトに情報掲載する事業者の増加も期待する。同DMOでは会員以外の事業者に対し、年間1万2000円で掲載できるウェブメンバー制度を設け、自主財源の1つにあてる。公式サイトから予約・購入の導線を繋ぎ、コンバージョンが期待できるエリアゲートだからこそ、「有料会員の営業に繋がります」との期待があるという。

また、エリアゲートでは、るるぶトラベルやアソビューと契約のない事業者でも、公式サイトへの情報掲載と一元管理が可能。「事業者に案内がしやすいので、営業担当としてはありがたいです」と長瀬氏。稼働期間が短いため、収益面での具体的な成果はまだ見えていないが、「営業案内は私が一人で行なっていますが、現在のところウェブメンバーの契約率は9割です」と、同システムが地域に受け入れられている手ごたえを語る。

左がホテル、右がアクティビティの紹介ページ。各プランをクリックすると、るるぶトラベルやアソビューの予約ページに繋がる

もともと奄美大島は、アソビューに登録する島内のアクティビティ事業者が多く、観光事業者のオンライン対応が進んでいる。「特に最近は、島への就航便の増加で旅行者数が増えており、誘客意欲が高まっています」という追い風ムードもある。

ただし、それに甘えるのではなく、同DMOでは島内事業者を対象にした説明会を2回開催。これにアソビューも協力し、「観光とウェブをどう結び付けるか」をテーマにした講演を行なった。こうした企画や営業努力で、新たにオンライン対応を開始した事業者も増加。

エリアゲートを実装することによって、島内事業者に公式サイト自体が有益なものと理解が広まり、サイト活用を促進するハードルを一緒に乗り越えることができた。同時に、地域に対するDMOとしての役割周知の一助にもなったと、長瀬氏は考えている。

旅行業のJTBとIT企業のアソビュー、

両社のノウハウ、資産を活かしたシステムに


長瀬氏は、奄美大島へは「地域おこし協力隊」として移住。以前は映像制作会社やIT企業などで勤務し、ウェブ制作の経験もある。なぜ長瀬氏は自身で同等の機能を制作せずに、エリアゲートを活用したのか。

「各事業者の予約システムと連携する機能を自前で作るには、営業面でも制作面でもすべて一からの作業になります。信頼関係も必要で、事業者には在庫管理の手間をお願いすることになります。これらの壁を、るるぶトラベルやアソビューと繋がるエリアゲートだから乗り越えることができます」と説明する。

外部サイトと連携することで業務負担を軽減。DMOの本業に必要な時間を増やし、「稼ぐ力」を強化

さらにエリアゲートでは、機能の実装とあわせて公式サイトの制作プランも用意。同DMOもサイトのリニューアルを実施した。長瀬氏は、「以前は各事業者の名称や所在地などのデータを載せるだけでしたが、現在は観光サイトとして、月間数百万ページビューを集めるアソビューさんの実績が活かされたサイトになりました。地域性にあわせたデザインも評判が良く、分析・解析面など運用時の使いやすさに配慮してくださった点も感謝しています」と満足げに話す。

同DMOで導入作業を開始したのは2016年6月。約半年でウェブ制作から機能実装が実現した。初期費用は内容によって異なるが、稼働後の費用は月額6万円で、時間とコストの両面で負担が少なく導入できるのもポイントだ。

JTBグループでは、事業ドメインを総合旅行業から旅を通じて交流を生み出す「交流文化事業」と進化させるなか、「地域交流事業」を全社戦略の柱に据えている。地域のさまざまな課題を観光の力で解決し、地域活性化を図る取り組みに力を入れており、今回のエリアゲートの開発もその一環。2017年度は全国の地域事業会社で35か所以上の導入を目指している。

地域交流事業では「地域への還元」と「サステナビリティ」をテーマに、グループの各会社の強みを生かした事業を推進。JTBが資本提携をしているアソビューとは、旅行会社のJTBとIT企業であるアソビューの両社のノウハウを有効活用し、自治体やDMO、その他観光関係団体や事業者向けに、着地型の発想で地域に密着したサポートに取り組んでいく方針だ。

広告:ジェイティービー、アソビュー(商品:エリアゲート)

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記事:トラベルボイス企画部


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