アジアのOTA大手「アゴダ」、日本市場で課題は「国内旅行」攻略、パートナーシップ構築の具体策など担当者に聞いた

世界2大OTAグループ・ブッキング・ホールディングス傘下の独立ブランドとして、ホテル予約プラットフォームを展開するアゴダ(agoda.com)。東南アジア市場を基盤に、グローバルブランドへと成長を続ける同社を支えているのが、大企業から個人ブロガーまで、大小様々なプレイヤーとのパートナーシップ構築だ。

アゴダのパートナーといえば、まずホテルが思い浮かぶが、同社のパートナーシップ担当ディレクター、リヤーナ・ジャミル氏(写真)によると「利用者側、つまりホテル以外のパートナーの存在も大きい」。大手金融、航空会社など誰もが知っている企業から、旅行マニアが集まる個人ブログまで、規模も業種も多彩なパートナーシップについてジャミル氏に聞いた。

ジャミル氏は、パートナーには第一に、アゴダが取り扱うホテルへの送客増に貢献してくれることを期待しているという。またマーケット状況によって重点ポイントは異なり、例えば日本については、「国内旅行の攻略が目下、最大の課題」と話す。「日本はローカルプレイヤーが多く、ライバルも手ごわい。そこでアゴダへの信頼や、知名度アップにつながるよう、日本の消費者から支持が高い有名ブランド企業と提携している」。

例えば日本航空(JAL)との間では、JAL利用客向けの客室提供や、アゴダを利用するとJALのマイレージがたまるFFPプログラムでの提携を行っている。またJCBとの間でも、同カード会員向けにアゴダの割引サービスや各種キャンペーンを行っている。

アゴダはもともとタイを拠点に発足したホテルOTAであるため、グローバル展開している現在でも、取扱いホテルは東南アジアが最も充実している。同地域では知名度も圧倒的に高く、パートナー企業も獲得しやすいという。これに比較すると、日本や米国ではグローバルブランドとしての認知はまだ不十分であるとの認識だ。

一方、派手なインパクトはないものの、昨今、じわじわと影響力を発揮しているのが、個人のブログだと指摘する。アゴダでは現在、グローバルでは数千のブログとパートナーシップを組んでいる。アゴダに関する情報を発信してもらうだけではなく、実際に送客してくれるアフィリエイト展開が中心で、アゴダからはコミッションを支払う。

一定以上の送客実績があるブログは、企業パートナーと同様、「キーアカウント」扱いとし、アゴダ側の担当マネジャーも配置している。こうしたブログを活用したセールス機会の最適化にも取り組んでいる。現在、アゴダのキーアカウントになっているブログや旅行サイトは「Nomadic Matt」「Travelfish」「Big Fang」など。具体的な旅行に関する情報を網羅した内容が多い。当然、アゴダ側で内容もモニタリングしている。

一方、送客規模が小さいブログやサイト、いわゆる「ロングテール」のパートナー獲得にも積極的で、広く門戸を開けている。2017年、アゴダではウェブサイトをリニューアルしたが、この際、個人ブロガーがウェブ経由でアフィリエイト登録を申請できる窓口を、分かりやすく整えた。アゴダの日本語ウェブサイトを開くと、「予約料金1件$200の場合、5%の成果報酬率で成果報酬は$10」など、アフィリエイトの具体例も紹介している。

ジャミル氏は「興味があれば、誰でもここから登録申請ができるように、手軽でオープンな仕組みを心がけた。もちろん、申請を受けたブログはアゴダ側でチェックしており、例えばギャンブル関連サイトなど、提携が不可なサイトであればお断りすることもある。しかし、必ずしも旅行やホテル情報を扱う内容である必要はなく、ファッションやライフスタイル関係のブログも大歓迎だ」。

送客規模には関係なく、内容的に相互の補完関係が期待できるなど、ポテンシャルが大きい相手であれば、提携したい考えだ。今後も「スタートアップや異業種など、幅広い分野で、様々なパートナーと手を組んでいきたい」(ジャミル氏)。旅行商品の流通が激変し、利用者との接点が多様化するなか、パートナーシップのスタイルにも、今までとは違う形が増えていきそうだ。

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