飲食店の「無断キャンセル」は全額損害賠償請求も可能、経産省らの勉強会が対策レポート発表、民間の対策推進協議会も設立

飲食店の無断キャンセルは消費者に損害賠償請求できる――。経済産業省や各省庁、弁護士、業界団体代表者、飲食店向けITベンダー代表者らが集まって2017年度に設立された勉強会は議論を重ね、このほど「No Show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」を発表した。飲食店はNo Show(ノーショー)発生時にキャンセル料を請求できるとの考え方が示されたのがポイント。コース予約の場合は全額、席のみ予約の場合は平均客単価の5~7割が目安となるとのパターンもまとめた。

これを受けて、飲食業者向けITサービス5社が「無断キャンセル対策推進協議会」を設立。無料キャンセルの防止や被害を最小限にするための仕組みを提供するとともに、消費者への啓蒙活動を実施し、問題解決に本格的に取り組む。

損害は予約全体の1%、年間2000億円にも

予約したのに連絡なく来店しないNo Showは飲食業界の予約全体の約1%に上り、損害は年間で約2000億円に上るともいわれている。また、1、2日前に生じるキャンセルも加えると発生率は6%強に達し、被害額は約1兆6000億万円にも及ぶと推計されている。対策レポートでは、これらの損失が解消できれば、消費者は人気飲食店の予約の機会が増え、原材料のグレードアップやサービス水準向上、飲食店もメニューや最新機器導入による品質向上、従業員への給与の充当などの利益還元が得られるようになると指摘した。

ただ、実際にNo Showに対してキャンセルを請求するのはごく一部。レポートでは、飲食店側が消費者に対してキャンセル料の構成を説明する責任を負った上で、コース予約の場合は全額、席のみ予約の場合は平均客単価の5~7割請求するのが良いとの考えをまとめた。さらに、No Show防止に向け、予約の再確認の徹底、顧客がキャンセル連絡しやすい仕組みの整備、キャンセルポリシーやキャンセル料の目安を明示、事前決済やデポジットの徴収を導入するなどの取り組みをすべきとしている。

この発表を受けて、トレタ、favy、ブライトテーブル、ポケットコンシェルジュ、USEN Mediaの飲食事業者向けITサービス5社は無断キャンセル対策推進協議会を設立。啓発活動を実施するほか、経済産業省もIT導入補助金をはじめとした施策を活用し、問題解決に向けた課題を関係省庁と連携して支援する。

経産省発表の資料より

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