グーグルが旅行事業で目指す未来と最新動向を整理した、フォーカスライト国際会議にはキーマンが登壇へ

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いよいよ、グーグルの時代がやってきたのか? 答えはイエスだ。少なくとも世界中の多くのマーケットにて、検索分野におけるファネルの最上部、つまり多くの潜在ユーザーが接する「最初の入り口」を完全に支配する体制ができあがっている。

一方、これから旅行の検索を始めようとする利用者にとって、グーグルが圧倒的な存在であるかどうかは、まだ意見が分かれるところではある。

旅行各社の多くは、公式には認めないかもしれない。だが消費者にアピールする上で、グーグルが便利なパートナーであることは間違いない。検索結果から最適なウェブサイトへとつなぐ無料のルートもあれば、キーワードやブラウザの動きから相手の要望を推察し、関連する内容の広告を表示する手法まで、やり方は色々ある。

必要なコストにはもちろん幅があるが、後者のアプローチ手法に頼った結果、年間ベースで何十億ドルもの予算を投じることになる企業もある。

※この記事は、世界的な旅行調査フォーカスライト社が運営するニュースメディア「フォーカスワイヤ(PhocusWire)」に掲載された英文記事を、同社との提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

周知の通り、ここ数年は、旅行業界にとって穏やかではない状況が続いている。少なくとも検索や予約については、グーグルが担う領域が明らかに深化している。

旅行分野におけるグーグルの野心的な取り組みは、何年かに渡り、ゆっくり進んできた。その目指すところは「メタ予約」戦略であり、これに頼るホテルや航空会社もある。グーグルにとって、ドル箱の取引先であるOTAの事業領域とも競合している。

だが、グーグルのトラベル事業における最も根本的な部分であり、注意するべきことは他にある。

おそらくグーグル自身の戦略も、少しずつ進化しているのかもしれない。また、アジアにおける展開を目にして、プロダクトや事業の組み合わせ方について、何かヒントを得たのかもしれない。

「スーパーアプリ」というコンセプト自体は目新しくないものの、今や明らかにグーグルのトラベル事業における検討課題となっており、ユーザーの生活を大きく変えるサービスの一つだ。

2019年夏、グーグルが旅行アプリ「トリップス(Trips)」の展開を取りやめたことは、大きな話題となった。事業中止は、同社が特定の戦略をあきらめたということだ。

今回場合、答えイエスであり、ノーでもある。

確かにグーグルは、3年ほどかけて取り組んできた旅行者向けアプリから撤退した。

旅行に限定したアプリはあきらめたが、そのかわりに、「グーグルマップ」の地図アプリと、これよりさらに広い範囲をカバーする検索サイト「グーグルトラベル(Google.com/travel)」に、あらゆるトラベル関連の機能をまとめたのだ。グーグルが目指す方向性がはっきりと分かり、グーグル自身にとっても完璧な新展開と言える。

アプリから手を引くことで、グーグルはウェブをベースにしたサービスに集中できるようになった。アプリは定期的にアップデートが必要(例えばグーグルマップは今後もアップデートが必要になる)だが、この手間も省ける。ユーザーの予約に関するデータ収集では、スマートフォンに限らず、幅広いデバイスで対応可能になる。

誰もが知っているグーグルなので、ブランド認知度の心配はない。であれば、グーグルトラベルと、アプリ「トリップス」を別々に展開するより、「グーグルトラベル」という一つ屋根の下に全部まとめた方が効果的だ。検索したり、旅行プロダクトを購入したり、旅程や情報を管理するユーザー側にとっても、一か所でなんでも出来るようになって便利だ。

グーグルトラベルだけでなく、グーグルマップでも、同じぐらいトラベル関連機能が利用できるようになったことも要注目だ。

検索結果に加え、広告や現地情報、ユーザーにとって重要な料金の詳細、購買手続きを行うリンク先などが全部、大人気のアプリ内で見られるようになることで、グーグルの立場は非常に有利になる。検索、ショッピング、予約など一部のサービスしか提供していないライバル他社との差は歴然だ。

さらにこの同じアプリが、旅行中も便利に使えるとしたらどうか(必要な関連データは、ユーザーの検索結果の“精度アップ”を理由に収集済みだ)。グーグルに対して、今までよりも警戒心を強める企業が出てくるのは当然だ。

「グーグルはOTAになるのか?」といった疑問が浮上する度に、これまで旅行業界では、半ば希望を込めて、そんなことはないと懸念を振り払ってきた。

グーグルが目指すスーパーアプリというものが、これからどんな姿へと進化していくのか。その未来の中で、旅行各社に存在意義はあるのか。グーグルのファンも、同社に批判的な人も、真剣に考えるべき時が到来している。

米フロリダ州で2019年11月19日から開催される国際イベント「フォーカスライト・カンファレンス」では、テック・トークのセッションにグーグルが登場。エンジニアリング担当バイスプレジデントのオリバー・ヘックマン氏が登壇し、AIや機械学習のテクノロジーを用いることで、旅行分野はもちろん、医療、農業などさまざまな問題解決を目指すビジョンを解説する予定だ。

以下は2018年の同イベントの様子。

※この記事は、世界的な旅行調査フォーカスライト社が運営するニュースメディア「フォーカスワイヤ(PhocusWire)」に掲載された英文記事を、同社との提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

オリジナル記事:The Phocuswright Conference 2019 preview - Google's time has come

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