欧州、加盟国共通の「ワクチン接種証明」を検討、2年連続での観光産業への打撃回避に向けて

欧州連合(EU)が、加盟国共通のワクチン接種証明の発行を検討している。AP通信によると、旅行や移動の自由を確保するための一助とするもの。2021年の夏、コロナ感染拡大によるツーリズム産業への打撃が、再び繰り返される事態を防ぐ考えだ。

欧州委員会(EC)のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長は、ワクチン接種の順番を待っている人にも、検査で陰性が確認されれば、同様の証明書を発行する可能性を示した。背景には、ギリシャ、イタリア、スペインなど、観光が主要産業となっている国や地域の苦境打開が急務となっている現状がある。

EUは2021年1月下旬の各国代表によるビデオ会議で、この問題を議論する方向だ。欧州では、ワクチン接種スタートに伴い、新たな分断や対立が生じることが懸念されている。ワクチン接種済みの人が自由に移動できるようになる一方、そうでない人が引き続き不自由な生活を強いられる状況を問題視している。

1月16日、ポルトガルのリスボンを訪問中のフォン・デア・ライエン委員長は「ワクチン証明とコロナ陰性証明を組み合わせる」ことで、ワクチン未接種の人が不利益を被らないよう、公平性を保つ考えを示した。

欧州では、観光産業への依存度が大きい国を中心に、夏のピークシーズン需要が2年連続で打撃を受ければ、すでに厳しい状況をさらに悪化させるとの危機感が強まっている。

2021年上半期のEU理事会議長国を務めるポルトガルのアントニオ・コスタ首相は「ツーリズムは経済面で非常に重要」であるとし、「夏が来るまでに、誰もが安心してポルトガルやギリシャを旅行できるようになることが不可欠だ」と訴えた。

新型コロナウイルスに対するワクチン証明は、欧州を代表する観光立国であるギリシャ政府が発案したもの。同国ではデジタル証明書の発行を計画しているが、キリアコス・ミツォタキス首相は、EUでも域内全体を対象とした同様の証明書を発行するべきだと提案、フォン・デア・ライエン委員長もこれに賛同した。

EU域内でのワクチン接種はすでに始まっているが、夏の旅行シーズン到来までに接種完了できる人がどのぐらいの規模に達するのかは不明だ。

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