旅館業法の見直しの検討会スタート、コロナ禍での「宿泊拒否」や「多拠点サブスク」など新業態への対応を検討

厚生労働省は2021年8月27日、「第1回旅館業法の見直しにかかる検討会」を開催した。前回2018年6月の法改正後の施行状況の対応などとともに、新型コロナウイルスの感染対策に伴う法制面の課題に対応するもの。

現行の旅館業法第5条(宿泊拒否の制限)では、宿泊者の健康状態に関して、伝染病に罹患していることが明らかに認められる場合以外は、宿泊を拒否できない規定となっている。これに対し、感染症対策の観点から緊急事態宣言下では制度の見直しを検討すべきという意見が全国知事会や自治体などから上がっていた。田村憲久厚生労働大臣も2021年5月の衆議院厚生労働委員会で、丁寧に意見を聞いた上で検討したい考えを示していた。

このほか同検討会では、無許可営業者の取り締まり強化を目的とする前回の改正旅館業法の施行状況や、事業継承手続きの整備といった旅館・ホテル等を取り巻く昨今の状況を踏まえた事項も、見直し対象として検討していく。

前回の法改正では、施行後3年をめどに施行状況を検討することになっており、事実上宿泊できる施設に対して実態に応じた適切な指導をすべきとの附帯決議がされている。2021年3月に自治体を対象に行ったアンケートでは、該当する施設としてネットカフェやカラオケ店、24時間営業の銭湯などが上がったほか、一軒家などのレンタルスペース、多拠点定額等のサブスクリプション物件、タイムシェア型住宅などの新しい営業形態に対して、旅館業との区別が困難とし、対応に苦慮しているという意見も寄せられたという。

第1回の検討会ではこれらの課題について、検討会の構成員となった有識者がそれぞれの経験や専門的見地からの現状認識や課題を提示。例えば、第5条に関しては、宿泊客の権利を守る重要性を認識する一方で、現状のままでは他の宿泊客や従業員を守るのも厳しいという指摘もあった。また、事実上宿泊できる施設への対応では、検討対象としてグランピングも提示された。

第2回は2021年9月2日に開催。第1回で出た意見の整理と宿泊関連団体からのヒアリングを予定する。第3回は消費者団体等からの意見を収集し、ヒアリングが一巡したところで今後の進め方を含む議論を行う予定だ。同検討会の構成員は以下の通り。

旅館業法の見直しに係る検討会 構成員名簿(五十音順)

  • 内田勝彦氏:大分県東部保健所長
  • 遠藤弘良氏:聖路加国際大学名誉教授
  • 越智良典氏:東洋大学国際観光学部国際観光学科教授/日本旅行業協会(JATA)参与
  • 坂元茂樹氏:人権教育啓発推進センター理事長
  • 櫻田あすか氏:サービス・ツーリズム産業労働組合連合会副会長
  • 多田計介氏:全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会会長
  • 玉井和博氏:立教大学観光研究所特任研究員 ※本検討会座長
  • 増田悦子氏:全国消費生活相談員協会理事長
  • 三浦雅生氏:五木田・三浦法律事務所銀座オフィス所長弁護士

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