【年頭所感】アマデウス・ジャパン社長 カイ・ゲリット・ヤコブセン氏 ―「量」から「価値」に移った焦点、持続可能性をすべての事業で

アマデウス・ジャパン代表取締役社長のカイ・ゲリット・ヤコブセン氏が、2022年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。

ヤコブセン氏は所感の中で、「パンデミックは、『量』から『価値』に焦点を移し、業界をより良い形へ再構築する絶好のチャンスをもたらした」と表現。旅行のDX(デジタルトランスフォーメーション)によるエコシステムや持続可能性への対応などをはじめ、旅行者にとって安全な旅行環境を作り出す取り組みを加速する考えを示した。さらに2030年までを視野に、業界全体が「もっとデジタルで、もっとパーソナライズされ、もっと持続可能に」なるべきとの展望を述べている。

発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。


2022年 年頭所感 

新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

平素は格別なご高配を賜り、厚く御礼を申し上げます。

新型コロナウイルスの感染拡大は、業界に比類のない影響を与えましたが、旅行は必ず再興します。この予測不可能かつ甚大な影響をおよぼしたパンデミックは、同時に「量」から「価値」に焦点を移し、業界をより良い形へ再構築する絶好のチャンスをもたらしました。

テクノロジーは、旅行者の信頼回復と長期的な業界の成長を強力に後押しします。オープンプラットフォーム、パブリッククラウド、デジタルアイデンティティは、旅行のデジタルトランスフォーメーションのために複合的に使用され、今後5年間で3,000億ドルの価値を生み出すといわれているものです。私たちはトラベルエコシステムの中心に位置しており、お客様が生体認証や非接触などより優れたセルフサービス型で自動化されたソリューションを提供することを可能にし、エンドツーエンドの旅行サービス販売を加速しています。

たとえばNDCですが、現在ITソリューションにおいて30以上の航空会社と、アマデウストラベルプラットフォームを通じたNDCコンテンツの提供を17以上の航空会社と協働しています。さらに、50の市場で2500以上の旅行会社がすでにこれらの航空会社のNDCコンテンツを予約することができ、今年、世界中のすべてのアマデウスをご利用のお客様がNDCコンテンツの手配をできるようにすることを目指しています。

またアマデウスは、旅行者にとって安全な旅行環境を作り出す以下のような取り組みを続けています。

1. Riskline社とのパートナーシップにより、旅行会社にはAmadeus Selling Platform ConnectやAmadeus cytric Travel & Expense、旅行者にはCheckMyTripを通じて最新の渡航関連情報を提供しています。

2. Traveler ID for Safe Travelは、旅行のあらゆる状況において旅行者の身分証明や渡航に必要な書類をデジタル化し自動でチェックするプラットフォームです。現在20の航空会社で稼働しており、アマデウスはこのエキサイティングな分野で急成長しています。

  • 航空会社のお客様は、このテクノロジーを使用して、乗客が航空会社のアプリまたはWebサイトから直接健康に関するドキュメントを確認できるようにすることで、旅行のプロセスを簡素化します。これまでに300万人以上の乗客がチェックされており、空港にいる間、旅行者が航空会社の列に並ぶ時間を何千時間も削減できます。
  • 紙文書、QRコード、デジタルファイルなど、検証用のあらゆるフォーマットをカバーし、IBMなどのデジタルヘルスパスやCentogeneなどの医療検査会社を含む複数のネットワークやパートナーと協力して接続しています。

3. タッチレス(非接触)分野においては、航空会社や空港会社がソーシャルディスタンスを確保し、空港における手続きを容易にするための自動チェックイン、自動バッグドロップ、そして生体認証ソリューションを提供しています。2021年4月には成田国際空港に日本初のエンドツーエンドの生体認証搭乗プロセスを設置。テスト運用の成功を経て、このテクノロジーはすべての国際線出発に実装されました。

これ以外にも、2021年11月にはマリオット・インターナショナルと、アマデウス・セントラル・リザベーション・システム(ACRS)の導入を合意、マリオットの予約インフラを近代化することを発表しました。これは最終的にマリオット独自の予約システムに代わるもので、旅行者が旅行をパーソナライズできるよう、たとえば部屋の特徴などから客室を選択する柔軟性を提供したり、予約フローの中でスパやゴルフなどの手配をしたりするなど、販売能力を拡大します。

また、今後も持続可能性への注目が高まっていきます。感染拡大による在宅勤務により炭素排出量が急減し、高速道路の混雑が緩和され、大都市の空気がきれいになりました。これは、より持続可能で、より責任があり、環境的および社会的懸念のいくつかに対処する方法で私たちが旅行する方法を再考する前例のない機会を業界に与えました。アマデウスでは、持続可能性は私たちがビジネスとして行うすべてのことを通じて拡大し、旅行をより持続可能なものにする方法を常に模索しています。

新型コロナウイルスの影響だけでなく、テクノロジーの進歩、ビジネスの在り方の変化、消費者トレンドの変化などの影響を受け、旅行・観光業界の変化はますます加速しています。また、旅行の再構築におけるソリューションはこの業界だけに留まっているべきではなく、世界を再び動かすために、政府や医療関連機関とも協働する必要があります。

2030年までに、私たちのいる業界はもっとデジタルで、もっとパーソナライズされ、もっと持続可能になっていくでしょう。その実現のために、アマデウスはこれからも時代の変化にいち早く対応し、あらゆるニーズに柔軟に対応できるソリューションを提供し続けてまいります。

アマデウス・ジャパン

代表取締役社長

カイ・ゲリット・ヤコブセン

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