米ドラマ「ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾートホテル」シーズン4、最新作の制作が進んでいる。人気のドラマシリーズの今回の舞台は、カンヌを中心とした南仏。ロケ地めぐりは、特定の作品の熱狂的なファン層にとどまらず、ラグジュアリー・トラベルの分野をも変貌させている。
こうした傾向は、富裕層の悲喜劇を描いた「ホワイト・ロータス」シリーズから始まったわけではない。しかし、これまでマウイ島、シチリア島、タイ・サムイ島を舞台に展開してきたドラマは、その傾向の象徴的な例として取り上げられる。
フィラデルフィアを拠点とする高級旅行代理店「Fora」のアドバイザーであるジェシカ・エクナイアン氏は、「顧客との会話で『ホワイト・ロータス』の話題は間違いなく持ち上がる」と話す。彼女は最近、ある4人家族のために、「ホワイト・ロータス」のロケ地となったタイのホテルをめぐる7万5000ドル(約1200万円)の旅行を企画した。
彼女は、旅行先やその地域の観光産業にとって、「Set-jetting(映画やドラマのロケ地をめぐる旅)は大きな利益をもたらす『当たりくじ』のようなものだ」と話す。
モンタナ大学の報告書によると、ドラマ『イエローストーン』の影響で、2021年には少なくとも210万人の旅行者がモンタナ州を訪れ、7億3000万ドル(約1190億円)以上の収益がもたらされたという。また、タイ国際貿易振興局によれば、サムイ島が舞台となった『ホワイト・ロータス』が配信されて以降、同国への観光客数は300%増、4倍となった。
ロケ地めぐり観光に賛否
一方で、オーバーツーリズムや便乗値上げといった好ましくない副作用も生じている。世界的に大ヒットしたドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のロケ地の一つとなったクロアチアのドゥブロヴニクの宿泊施設の中には、あえてそのドラマとの関わりを避けているところもある。
かつてロケ地巡りを促す映画となった 「ローマの休日」や「オリエント急行殺人事件」などと、今の作品と決定的に違うのは、ドラマのスピード感とSNSの台頭だ。旅行専門のPR会社を設立したジュールズ・ペローン氏は「今は、InstagramやTikTokで『バズる』ことが求められているのだと思う。実のところ、こうした現象は旅先そのものを破壊しているとさえ思える」と手厳しい。
一方、Pelorus Travelの共同創業者ジミー・キャロル氏は、「Set-jettingが人々の心をつかむのは、単に物語が展開するのを眺めるだけでなく、自分自身がその物語の中にいるような想像をかき立ててくれるからだ」と話す。同社は、エミー賞受賞のリアリティ番組「The Traitors」を題材にした15万7500ドル(約2570万円)の3泊冒険ツアー(参加者12人)を企画した。
※ドル円換算は1ドル163円でトラベルボイス編集部が算出
※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。



