観光客が利用しやすい「路線バス」とは? ひがし北海道のバス3社の挑戦、新たな利用者獲得から観光バスツアーの直前予約まで(PR)

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北海道の阿寒バス、網走バス、斜里バスの3社は、新たな観光需要の獲得に乗り出している。住民の足として走り、観光客にはハードルが高かった「路線バス」について、誰もが利用しやすい形で販売を開始した。また、直通のバス路線がない地域間に、移動を兼ねた観光バスツアーを設定。従来、対応が難しかった観光バスツアーの当日予約販売も開始し、直前需要の取り込みを目指す。広大な地域を結ぶ“足”を観光客にとってわかりやすい形に整え、新たな利用につなげている。

「ひがし北海道観光DXプロジェクト」の一環として、NECのサポートのもと進める3社の取り組みを聞いた。

バス会社の共通課題、その突破口は?

釧路市を拠点とする阿寒バスの営業本部取締役、西岡一麻氏は、地域に根差すバス会社にとって「乗務員の確保は非常に深刻な問題」との認識を示す。それでも「地域住民の生活を守るため、簡単に路線を廃止することはできない」と続ける。一度、路線が廃止されれば復活は厳しく、公共交通が全くなくなる町村もあるためだ。

また、観光の課題もある。夏の北海道の周遊観光はレンタカー頼みになっており「観光客が公共交通で周遊できる手段を探すのは難しい」。レンタカーを使わない旅行者の多くは中心市街地での観光にとどまり、その先の観光地へ足を延ばすことをためらう傾向があるという。

網走市に本社を構える網走バスの貸切事業部観光課長、伊東慎平氏も、同様に観光面での課題を指摘する。「網走は周辺に紋別空港と女満別空港があり、世界遺産の知床までも近い。しかし、観光客が広域に移動できる公共交通機関が少ない」

知床観光の拠点である斜里町を走る斜里バスの総務課係長、佐藤純子氏は、知床には直接乗り入れる鉄道はなく「レンタカー以外では、路線バスが重要な移動手段になる」と話す。また、11月、12月、3月、4月の閑散期は利用者が少なく、路線維持のためにも「この差をなんとか埋めていく必要がある」という。

こうした共通の課題を踏まえ、3社は、地域で運行するバスを観光客にもわかりやすく、利用しやすい形で提供する取り組みをはじめた。

網走バス 貸切事業部 観光課長 伊東慎平氏

路線バスを来訪者に可視化、観光の足に

3社がデジタル販売で使用するのが、NECの「NECガイド予約支援サービス」だ。自社の販売サイトを開設して交通や観光、体験の商品を掲載し、予約から決済までオンラインで完結できる。「ひがし北海道観光DXプロジェクト」では、地域の交通・観光事業者が一体となってプラットフォームを構成し、地域の周遊を促す仕組みとして活用している。

阿寒バスと斜里バスはこのプラットフォームで、地域住民の生活路線のうち、観光客のニーズがある路線の販売をはじめた。

阿寒バスは2025年冬から、「釧路/羅臼線」のオンライン販売を開始した。釧路と羅臼を4時間で結ぶ長距離路線だが、中間に拠点の町・中標津もあり、地域住民が支えてきた大事な路線だ。しかし、人口減とともに利用者数も年々減少し、現在もコロナ禍以前の約8割にとどまる。このままでは、国の支援の条件から外れ、廃止の議論につながる恐れがある。

一方、羅臼にはホエールウォッチングやバードウォッチングを目的に、多くの観光客がレンタカーで訪れている。西岡氏は「この観光需要を路線バスで取り込むことで、地域の路線維持につなげていければ」と考えたという。

路線バスは、地域外から訪れる観光客にとって、停留所や時刻表、運賃額や支払い方法がわかりにくい。そこで、迷わず利用できるよう、観光客に必要な情報を抽出し、販売サイト上に可視化した。具体的には、利用者が販売画面で利用日と区間を選べば運行便と運賃が表示され、そのまま事前決済まで完結できるようにした。西岡氏は「今までは、観光客からの問い合わせに答えるだけだった。今では、お客様が販売画面を見れば簡単に利用できるようになった」と変化を語る。

阿寒バス 営業本部取締役 西岡一麻氏斜里バスでも2025年冬から、斜里バスターミナルと知床を結ぶ「知床線」のオンライン販売を開始した。この路線はもともと、地域住民よりも観光客の利用が多く、現在では全体の約7割がインバウンド旅行者だ。

斜里バスターミナルと知床観光の玄関口であるウトロは、同じ斜里町でも約40キロ離れており、土地勘のない旅行者には距離感や移動方法がわかりにくい。販売サイトでは、画面上で選択可能な停留所を観光利用の多い区間や主要観光地に絞り込んだ。佐藤氏は「知床は季節によって行ける場所が変わる。それも考慮した」と、域外から訪れる旅行者が選びやすい情報に整理した経緯を説明した。

斜里バスの知床線の販売画面。観光客の利用の多い場所のみを表示(赤枠部分)して、選択しやすいようにした。英語の表示にも対応している

空席があっても売れない悩み、ツアーバスで当日の直前販売を可能に

また、網走バスと阿寒バスは、従来、取りこぼしていた直前需要の獲得にも取り組んでいる。

網走バスは、2026年7月24日に開始した観光バスツアー「シーサイドエクスプレスバス」で、運行当日の直前予約を取り入れた。同ツアーは、直通の交通手段がなかった知床と紋別を結ぶ広域移動と観光を同時に楽しめるよう、網走バスが募集型企画旅行で設定したもので、2026年10月31日まで毎日催行する。7月の開始当初は出発3日前に予約を締め切っていたが、当日に乗車を希望する問い合わせが相次いだことから、導入を決めたという。

同ツアーで運行当日の直前販売をする障壁は、旅行契約と決済の手続きだ。貸切バスで運行する募集型企画旅行は、乗合バスのように当日来た旅行者を乗せ、その場で運賃を収受することはできない。

そこで網走バスは、通常の販売ページとは別に、URLを知る人だけがアクセスできる限定公開のページを設定。当日、乗車を希望する旅行者に、そのページにつながるQRコードを案内し、その場で商品の申し込みとクレジット決済を完了する仕組みを整えた。「NECガイド予約支援サービス」の機能を活用した販売方法で、伊東氏は「観光バス商品では、初めての試みなのではないか」と話す。

阿寒バスも2026年8月から、定期観光バスやバスツアーで直前予約を開始した。従来は、乗務員に渡す参加者名簿を作成するため、空席があっても運行日の1~2日前には予約を締め切っていたが、直前予約の問い合わせは多かった。最近では現地に入り、天候を確認してから利用を決めたい旅行者も増えている。西岡氏は「この需要に対応できるようになれば売上の伸びが期待できる。旅行者の利便性も上がる」と見込んでいる。

当日予約・決済は、「NECガイド予約支援サービス」の「限定公開機能」を活用。バスの出発地にQRコードを掲示して利用客がその場で予約・決済できるようにする

見えてきた新たな需要、地域とともに獲得へ

阿寒バスは、路線バス「釧路/羅臼線」のオンライン販売で2026年2月は125件、同7月は130件を販売。利用者は、道内が約2割に対し、道外の日本人が約5割、インバウンドが約3割となり、道外の旅行者が全体の8割を占めている。西岡氏は「この数だけでは、まだ、路線存続に寄与するまでには届かない」としながらも、新たな需要の獲得に手ごたえを感じている。

さらに、予約データから利用客の周遊の姿も見えてきた。釧路から羅臼へ向かい、ホエールウォッチングを楽しんだ後、中標津で降車して中標津空港から帰る、あるいは根室方面へ向かう利用が多いという。想定したモデルコースとは逆方向に周遊するケースもあり、西岡氏は「過去にはなかった利用方法や経路が、予約の内容からもはっきり見えてくるようになった」と話し、次の打ち手への活用に期待を示す。

斜里バスの佐藤氏は当初、路線バスのオンライン販売がどれだけ広がるのか懐疑的だった。開始してみると、利用者は日本人とインバウンドが半々で「シニア層もネットで調べて利用している」と幅広い客層に有効だと実感したという。事前に支払いも完了することから、バス車内のつり銭や両替、不慣れな利用者への対応など乗務員の負荷が減少し、乗降もスムーズになった。サイト上でルートや周辺観光の情報も示したことで、事務所への電話による問い合わせも大きく減少した。

斜里バス 総務課 係長 佐藤純子氏3社は、このほかの分野でもNECのプラットフォームを活用し、地域の事業者との連携を深めている。こうした“地域の足”を活用した周遊観光の情報やモデルコースなどは、同プロジェクトの一環として立ち上げた観光情報サイト「ひがし北海道観光ナビ」で発信。阿寒バスの西岡氏は「釧路市は『涼しい夏』や『世界三大夕日』などが注目され、観光客が訪れる町になってきた。こうした人たちに、路線バスでその先の見どころを訪れてほしい」と、地域との連携の広がりに期待を寄せる。

道内の他地域にも、取り組みが広がりつつある。例えば、道北エリアでもプラットフォームを活用した連携がはじまっている。ひがし北海道で進む新たな挑戦は、人口減少やバス路線の維持に悩む多くの地域にとっても、新たな需要を取り込む一つの選択肢になりそうだ。

広告:NEC

問合せ先:gias-support@nes.jp.nec.com

本記事で紹介した「NECガイド予約支援サービス」での販売ページ例:

記事:トラベルボイス企画部

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