旅行ビジネスの2014年春闘まとめ、「35歳年収550万円」目指し魅力ある産業へ -サービス・ツーリズム連合

サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合)は、2014年春闘(春季生活闘争)で加盟する37組合が実質的な賃金改善(ベースアップ)を達成したことを発表した。サービス連合とは、ホテル・旅館業、旅行業、国際航空貨物業、派遣業(添乗員)、関連する産業の労働者で組織する産業別労働組合。加盟するすべての組合の賃金改善にはならなかったものの、サービス連合会長の後藤常康氏(写真右)は「大きな一歩を踏み出せた」と評価している(業態による妥結内容は下段で紹介)。

サービス連合は、2014年春闘で月例賃金の改善を優先し、すべての加盟組合が定期昇給などを維持・確保した上で、0.5%以上の実質的な賃金改善の達成に取り組んできた。これは、サービス・ツーリズム産業で働くすべての労働者の環境整備に向けた待遇改善に取り組み、魅力ある産業の実現にむけた第一歩としての位置づけた取組み。中期的賃金目標として「35歳年収550万円」を掲げており、すべての組合が最低保証賃金の協定化を要求し、同時に総労働時間短縮、両立支援、男女平等社会の実現、60歳以上の雇用確保などを盛り込んだ。

後藤会長は、賃金水準の引上げに至らなかった組合についても、水準引上げの重要性を労使で共有できたことを評価。「次年度以降に繋がる交渉ができた」としている。夏期一時金水準では、企業業績の回復基調を受けて昨年よりも若干の向上。しかし、企業側が業績を慎重に見極め設備投資を優先する企業もあったことで大きな伸びとならなかった。また、実質的な賃金改善を優先する企業もあったという。

観光・航空貨物業とレジャー・ホテル業、それぞれの状況は以下のとおり(2014年6月19日現在)。

【観光・航空貨物業】

賃金改善を求めて69組合が要求書を提出。このうち、実質的な賃金改善(ベースアップ)は59組合、一時金は業績連動制度の確認も含めて67組合、最低保障賃金は55組合が要求した。

賃金改善要求における妥結額は、25組合の加重平均で6767円(2.2%)、単純平均では6850円(2.24%)となり、前年の加重平均5508円(1.72%)、単純平均5878円(1.95%)から大きく改善した。実質的な賃金改善は、13組合の加重平均で1664円(0.51%)。上記目標を達成した。契約社員やパートタイマーについては34組合が要求、合意したのは19組合だった。

夏期一時金の単純平均は61組合で1.89ヶ月(2013年は62組合、1.81ヶ月)と昨年を上回り、2008年の春闘(51組合、2.14か月)につぐ水準を確保した。しかし、ぎりぎりまで見極める経営側の姿勢もみられ、継続協議となった加盟組合もあった。


【ホテル・レジャー業】

賃金改善を求めて47組合が要求書を提出。このうち、実質的な賃金改善(ベースアップ)は35組合、一時金は業績連動制度の確認も含めて43組合、最低保障賃金は10組合が要求した。

賃金改善要求における妥結額は、集計可能な22組合で単純平均は4342円で2013年の4104円(17組合)から改善。実質的な賃金改善では、集計可能な10組の単純平均で896円となった。契約社員やパートタイマーについては、18組合が要求したが、合意はわずかに留まった。

夏期一時金では、年間で妥結した12組合の単純平均はが2.72ヶ月となり、2013年(15組合、2.43ヶ月)をうわまわった。夏期でも単純平均で32組合1.24ヶ月となり2013年(51組合、1.07ヶ月)を上回った。

なお、サービス連合は2014年秋闘/2015年春闘にむけて引き続き、中期目標である「35歳年収550万円」、「年間総労働時間1800時間」にむけて取組みを継続する。労働時間については最低基準を2000時間と定め、段階的に1800時間以内を目指す。さらに、アクションプランに定めた以下を積極的に取り組む方針だ。

  1. 所定労働時間の短縮(1日/年間)
  2. 年次有給休暇の取得拡大
  3. 時間外労働(所定外労働)
  4. その他(36協定の適正化、労働環境改善など)

(トラベルボイス編集部:山岡薫)

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