旅行の新たな世界トレンドとしてバードウォッチング(野鳥観察)の注目が高まっている。オンラインアンケートを展開するToluna社が、英国の旅行者1000人を対象に実施した調査では、55%が次回の旅行でバードウォッチングをしてみたいと回答。約半数(47%)がバードウォッチングを「再流行(クールな趣味)」と捉えていることが分かった。
また、体験予約プラットフォームのGetYourGuide(ゲットユアガイド)の調査によると、英国ミレニアル世代の85%が休暇中にバードウォッチングに興味があると回答。同社ブランド担当副社長のジャン=ガブリエル・デュヴォー氏は「2026年には、バードウォッチングが一気に主流になるだろう」と述べている。
SNSで若者層に人気に
この背景の一つには、米国のスターであるアリアナ・グランデがバードウォッチングへの情熱を明かしたことにある。#birdtok がSNSで拡散したことで、ニッチな趣味だったバードウォッチングが、今や一大旅行トレンドになりつつある。
Wildlife Worldwideのゼネラルマネージャー兼ツアーガイドであるダン・フリー氏も、SNSがバードウォッチングの若年層への訴求力を高めている点に注目する一人だ。
「バードウォッチングは伝統的に中年男性の趣味とされてきたが、そのメリットに気づき始めている人が増えている。若い世代がバードウォッチングに参加する傾向が確実に高まっており、これはSNSの力によるものだと思う」と話す。
子どもの頃から熱心なバードウォッチャーであるフリー氏は、バードウォッチングの最大の魅力は、立ち止まって自然に浸ることができるところだという。
「本当に癒されると思う。何よりも現実から逃避できる。日常生活の喧騒から逃れ、モニター(画面)から離れて、静かな場所に行き、少しリラックスしてその環境に身を委ねる。一度ハマると、かなり病みつきになると思う。多種類の鳥や、さまざまな行動を見たくなる」と話す。
フリー氏は、初心者に向けて、地元の自然保護区や湿地帯を訪れること、ガイド付きの専門ツアーに参加することを勧めている。
GetYourGuideの調査によると、同社のプラットフォーム上では2025年に多くの海外のバードウォッチング体験の人気が急上昇した。デュヴォー氏は「バードウォッチングで知られる目的地は、2025年に当社のプラットフォーム上で最も検索数が増加した場所の1つ」と明かす。例えば、オマーンのダイマニヤット諸島、ベトナムのカットバ国立公園、タイのドイ・インタノンなどだ。
バードウォッチングの最大のメリットの一つは、双眼鏡さえあれば始められることだ。また、初心者向けには「Merlin Bird ID」のようなアプリもある。フリー氏は「Merlinは無料でダウンロードでき、ボタンを押すだけで、聴いている音を録音し、その音の種類を判別してくれる。例えば、ウタツグミなのかコマドリなのか、その種の画像が表示され、鳥の鳴き声を判別できる」と説明した。
※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。
