日本政府観光局が「インバウンド旅行振興フォーラム」を開催、高次元のマーケティング手法で2000万人目指す

日本政府観光局(JNTO)は、賛助団体・会員(地方自治体、観光関係企業等)などを対象とした「第12 回JNTO インバウンド旅行振興フォーラム」を開催した。参加した地方自治体の観光担当者や観光関連企業に対して語られたのは、2020年の訪日外国人旅行者2000万人の目標に向けたJNTOの新たな取組みや観光庁のインバウンド施策。ここでは、「訪日プロモーション」に焦点をあてて紹介する。

冒頭の講演では、観光庁から参事官(日本ブランド発信・外客誘致担当)の飯嶋康弘が登壇。訪日プロモーション(ビジット・ジャパン事業)を活用することで効果的な訪日外国人の誘致活動となることを呼び掛けた。

一例としてあげられたのは中国市場への取組みだ。ビジット・ジャパン事業では、訪日需要が増大する春節(2月頃)に向けては、前年の9~10月頃に現地旅行会社を日本に招請。11月には旅行博に出展するなどでBtoBへのアプローチとして商談の機会や訪日旅行のPR活動をすすめている。消費者に対しては、旅行商品の販売時期12月~1月にはツアー販売支援として広告活動を行い、直前にはウェブで追い込み、という流れだ。こうした活動は、他市場でも現地の特性にあわせてタイミングを計ることで効果を高めている。

飯嶋氏は、こうした動きにあわせて各自治体や観光関連企業が外国人誘客事業を行うことで、より効果的で効率的な事業になることを強調した。

また、迅速な意思決定で効果的なプロモーションを行うために2015年からJNTOが個別事業の発注主体となることも改めて紹介。JNTOが訪日プロモーションの監督の役割から中核的役割になり、観光庁のマーケティング戦略本部とともに高次元のマーケティング手法をとることで訪日外国人2000万人を目指す新たな体制を説明した。


▼JNTO、Japanと各地域の二つのブランド構築へ

地方活性化へ向け、共通のテーマやストーリーで連携を

IMG_6414JNTO理事長の松山良一氏(写真右)は、今後JNTOが行う効果的なプロモーションについて説明した。早期に「日本ブランド」と「地域の個別ブランド」の二つを構築し、他国との類似と相違を明確化することで強みをアピールしていくものだ。そして、訪日プロモーションで重要なポイントを「地方への誘客とリピーターづくり」と指摘した。

また、政権が打ち出す地方活性化に観光が大きな役割を果たすとの考えのもと、松山氏は「共通のテーマやストーリーで地域が連携することが重要」として、周遊ルートを外国人目線で作る必要性を訴えた。そして、「いつか行きたい国」から「今行きたい国」に変化させたい考えを強調した。

さらに、2020年東京オリンピックに向けて「大切なのは、東京だけでなく地方に波及させること」と語り、地方活性化に力強く取組んでいく決意。JNTOでは今年4月にオリンピック・パラリンピック推進室を新たに設けており、海外マーケティング部長の亀山秀一氏が担当している。こうした新たな展開とともに、オールジャパンでの連携、組織の強化、観光産業の強化などの柱とともに2020年の2000万人を目指す方針だ。

なお、フォーラムではJNTO中国、インドネシア現地事務所の責任者も登壇。現地の最新動向を説明した。その内容は後日、掲載する。

(トラベルボイス編集部:山岡薫)

みんなのVOICEこの記事を読んで思った意見や感想を書いてください。

観光産業ニュース「トラベルボイス」編集部から届く

一歩先の未来がみえるメルマガ「今日のヘッドライン」 、もうご登録済みですよね?

もし未だ登録していないなら…