開通目前の北陸新幹線、富山県が首都圏からの誘客強化、大人向け体験や里山の食で新事業も

(右)富山県観光・地域振興局観光課課長補佐・山下章子氏、(左)コレクティブのプランナー・木股浩氏

富山県は2015年3月14日の北陸新幹線開通を控え、首都圏からの誘客を目的に「富山で休もう。」と題した観光コンテンツ説明会を東京で開催した。富山県内には「富山駅」「新高岡駅」「黒部宇奈月温泉駅」の3駅が設置され、東京からの所要時間が従来の3時間11分から2時間8分に短縮。年間輸送力は現在の約600万席から約3倍の約1790万席強(12両編成の場合)へと大幅に増加する。

まずは富山県観光・地域振興局観光課課長補佐の山下章子氏が、最新情報を発表。富山湾が2014年10月に、世界遺産の仏モンサンミッシェル湾や越ハロン湾などが加盟する「世界で最も美しい湾クラブ」に加わったことや、関電竪抗エレベーターに入る黒部峡谷の特別ツアー、7月オープン予定の北陸エリア初アウトレットモールなど、新商品やサービスを紹介。また、雪山と桜、菜の花、チューリップの4つが彩る春の景色が見える場所や多彩な祭りなど、季節やテーマで切り口を提案し、魅力をアピールした。

続いて、3月1日から開始する大人向け体験型観光プログラム「大人の遊び、33の富山旅。」を紹介。富山の文化や自然に触れる体験や散策を組みこんだ着地型プログラムで、5月1日まで実施する。企画を担当したコンサルタント会社・コレクティブのプランナーである木股浩氏は「富山は知的好奇心を持って訪れると面白い場所。それを感じてもらえるように作りこんだ」とポイントを説明。B5サイズのパンフレットを5万部用意し、閑散期の旅行者増加に繋げる。

北陸新幹線の開通で誘客を強化するものの、山下氏によると県として公式の目標数は公表していない。それよりも「少子高齢化時代では、リピートに繋げることが重要。安売りではなく、質を上げ、付加価値を高めていく」と、満足度の向上に力を入れていることを明かす。「これまでも立山黒部などへ多くのバスツアーが来ていたが、通過するだけだった」と滞在客の増加を課題としており、そのために「大人の遊び」のような、じっくり現地を回る企画を重視しているという。

「大人の遊び」は2013年9月から期間限定で実施しており、今回で4回目。ファンの醸成はもちろん、「観光地側もプレイヤーとしての重要性を認識し、受け入れのスキルが上がってきている」との効果もあるという。観光立国に向けてますます重要な要素とし、今後も取り組みを強化していく方針だ。

▼“富山”を味わう1万円の食体験

山幸プランはコース料理。試食では一部を竹の皮の容器に詰めて提供

さらに2015年度から新事業「里山の恵みあふれる富山の山幸(やまさち)」も開始する。海の幸のイメージが強いが、山々に囲まれた富山はアルプスの雪解け水が肥沃な土地を作り、名前の通り山の恵みにも富む。そこで北陸新幹線開通に合わせ、富山の新しい魅力として山の幸を打ち出す。和食やフレンチなどジャンルの異なる8店が山菜やジビエ、野菜など富山の特別素材によるコース料理を開発し、現地で味わうからこそ楽しめる食体験として提供する。価格は1万円~。

富山県観光・地域振興局観光課の松本有香子氏は、「素材だけ見れば他県にもあるが、このプランでは『今だけ』『あなただけ』といった特別感を出し、富山の景観やおもてなしとセットで提供する」と説明。会場では試食として、「四季料理・華生」の山幸プランの一部が振る舞われた。

みんなのVOICEこの記事を読んで思った意見や感想を書いてください。

観光産業ニュース「トラベルボイス」編集部から届く

一歩先の未来がみえるメルマガ「今日のヘッドライン」 、もうご登録済みですよね?

もし未だ登録していないなら…