チュニジア襲撃事件で各省庁が安全確保呼びかけ、外務省はチュニス市を「渡航の是非を検討」に

外務省は2015年3月19日付で、チュニジアのチュニス市に対する渡航情報を「十分注意してください」から「渡航の是非を検討してください」に引き上げた。3月18日の国立博物館襲撃および人質立てこもり事件で、日本人を含む多数の死傷者が発生したことを受けたもの。観光庁は、旅行関連団体に対して「海外旅行における安全対策の徹底について」(2015年年3月19日付観観産第830号)を発出し、各省庁が海外における邦人の安全確保を呼び掛けている。

外務省によると、チュニジアでは2011年に民主化への政変「アラブの春」が行なわれたが、現在は保守的なイスラム国家の建設を求めるサラフィストと呼ばれる集団の活動が活発化。地域格差や高い失業率の問題も解決しておらず、政治状況と治安状況は依然として不安定な状況にある。

こうした中、近隣国・マリ情勢の混乱やリビア内戦に乗じて「イスラム・マグレブ諸国のアル・カイーダ」関連組織の国内侵入が確認。政府がテロ組織として指定するイスラム過激派組織「アンサール・シャリーア」などの活動も活発化しており、今後は外国人を狙ったテロ等に従来以上に警戒する必要があるとする。

観光庁から発出された通達では、今回の事件を踏まえて外務省が発出している最新の渡航情報(危険情報)を把握するとともに、こうした情報を旅行者に適時・適切に提供して安全確保に万全を期すこと、不測の事態に備えて旅行各社が危機管理・連絡体制を整備しておくように呼びかけている。

さらに、外務省は同日付で広域情報「ISILから帰還した戦闘員によるテロの潜在的脅威に関する注意喚起」も発出。特にチュニジアをはじめ、サウジアラビアやヨルダン、モロッコなどのアラブ諸国や、フランス、イギリスドイツなどからISILに参加した外国人戦闘員が帰還しつつあり、外国人の戦闘員問題が各国のテロの潜在手脅威になっていると説明する。

外務省では日本人や日本権益が事件に巻き込まれる危険があると指摘。日頃から危機管理意識を持ち、情勢の把握と最新情報の入手など安全対策に心掛けるよう呼びかけている。

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