シェアリングエコノミーで地域課題の解決へ、「シェアリングシティ」宣言した長崎県島原市など3自治体の取組みとは?

秋田県湯沢市、千葉県千葉市、静岡県浜松市、佐賀県多久市、長崎県島原市は、シェアリングエコノミーを活用して地域の課題に取り組む「シェアリングシティ」を宣言した。シェアリングシティとは、地域の課題をシェアリングによって公助ではなく共助で解決し、持続可能な自治体を実現しようとする試み。このほど開催された「シェア経済サミット」では、今回宣言した3つの自治体からその取組や課題が共有された。

*画像は、ココナラ代表取締役の南章行氏、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室内閣参事官の犬童周作氏、多久市の横尾俊彦市長、湯沢市の藤井延之副市長、島原市島原観光ビューロー取締役・管理本部長の塩野進氏

シェアリングを活用した観光で地域創生

多久市市長の横尾俊彦氏は、シェアリングエコノミーで目指している方向は官も民も同じと指摘したうえで、「自治体に足りないのはマネージメント力。可能なものからどんどん進めていくべき」との考えを披露した。

同市ではワーキングサポートセンターを立ち上げ、地元NPOと自治体が連携してシェアリングエコノミー促進をサポート。そのほか、個人ベースでの着地型体験ツアープラットフォームのTABICAを活用し、観光による地域活性化に取り組んでいる事例を紹介した。

湯沢市副市長の藤井延之氏は、「シェアリングエコノミーと地方創生は親和性が高い」と強調する。子供の送迎や託児を顔見知りで共助する「AsMama(アズママ)」を活用して子育て環境の充実を図っているほか、空きスペースのプラットフォーム「スペースマーケット」において古民家や廃校などユニークスペースをレンタルする活動も進めていると説明。

「スペース活用では、思わぬニーズがあることを知った。また、人を呼び込む効果もある」と手応えを示した。また、人材派遣パソナ社との連携では、クラウドソーシングで在宅ワーカーを育成。今年度末までに100名を育てる計画も披露した。

島原市島原観光ビューロー取締役・管理本部長の塩野進氏は、株式会社として観光施設の収益化に重きを置いていることを紹介。島原城について、入場料だけでなく、スペースマーケットのプラットフォームを活用して、新たな活用方法を発掘しているとした。

また、着地型ツアーにも力を入れているところ。「島原市は、火山災害もあったことから町づくりは行政頼みという側面が強かったが、これからは市民からのボトムアップに変化していく必要がある。そのうえで、シェアリングエコノミーは親和性が高い」と発言した。

課題はシェアリングに対する市民の理解、今後は国の後押しも

課題についての議論では、横尾市長は官と民のスピード感が違うとしながらも、「官民の協力が不可欠」との考え。また、藤井副市長は、市民サイドでシェアリングエコノミーの推進役を育成することを提案。さらに、世代によってシェアリングエコノミーの説明方法を変えていく必要性を説いた。

塩野氏は、「シェアリングエコノミーは、ソリューションではなくインフラに過ぎない。道路と同じで、それを使って何ができるかが重要。この理解を市民に浸透させていくことが必要だろう」と発言した。

内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室内閣参事官の犬童周作氏は、「シェアリングエコノミーは、社会の仕組みを変えるもの。行政はその邪魔をしないことが大切」と発言した。政府は今年6月に閣議決定された「日本再興戦略 2016」で、シェアリングエコノミーを重点施策のひとつとして位置づけている。官民による「シェアリングエコノミー検討会」のなかで、推進策やガイドラインの検討を進めてきた。

その中間報告書のなかで、シェア事業者の自主的ルールの策定・運用を促進する「モデルガイドライン」を公表。犬童氏は「IT進化のスピードは早い。今や待ったなしの状況。政府主導では時間がかかりすぎる。事業者による自主的ルールの整備を促進して、安全性と信頼性を確保していく」と政府の方針を示した。

「少子高齢化が急速に進む日本で主役は自治体になる」(犬童氏)という観点から、政府はシェアリングシティ構想をバックアップしていくという。

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