出国税は日本人含め一律1000円以下、2019年度開始、方向性とりまとめ発表

観光庁は、2017年9月中旬に開始した新たな観光財源確保のための有識者による検討会の議論をとりまとめ、11月9日に提言を発表した。

これによると、財源確保の手法と金額は「税方式」で、日本人を含む「出国旅客」。負担額は定額・一律で、1人1回の出国につき「1000円を超えない範囲」とした。これは近隣アジア諸国との競争環境や訪日旅行需要への影響等を踏まえ、「妥当」と判断。具体的な負担額の設定にあたっては、必要となる財政需要の規模も勘案しつつ、設定すべきとした。

導入時期は、「可能な限り速やかな導入を検討すること」とし、2020年の東京五輪の前に財源を確保して、観光施策を着実に実施すべきことも記載。可及的速やかに制度設計を行なうべきとした。順調にいけば、年末の税制調査会で導入の可否や時期が判断され、2018年度の税制改正大綱に盛り込まれる。早ければ、東京五輪前年の2019年度から税徴収が開始される。

使途については、その基本的考え方として、(1)受益と負担の関係から負担者の納得感が得られるようにすべき、(2)先進性が高く、費用対効果が高い取り組み、(3)地方創生をはじめとする我が国が直面する重要な政策課題に合致するもの、の3つを提示。

その上で、施策としては、具体的には毎年度の予算編成で決定されるとしつつ、(1)ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備、(2)我が国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化、(3)地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験・滞在の満足度の向上、の3つを挙げた。

また、全国知事会から要望のあった同財源による地方譲与税の創設については、各地方自治体の新たな取り組みにも適切に対応することが適当と記載。需要等に応じた譲与基準の設定などの課題があるとしながらも、広く外国人旅行者の来訪、滞在を促進することが国の観光施策の喫緊の課題であると、その理由を添えた。

さらに提言には、新たな財源が野放図な歳出の拡大に繋がらないよう、法律その他の措置で税収の使途が規定されている事例を参考に、必要な措置を講ずることも記載。充当する施策の「見える化」を行ない、効果検証を不断に行なうこととし、効果的に活用されるための仕組みの必要性にも言及した。

同検討会の提言は観光庁のホームページに掲載されている。


みんなのVOICEこの記事を読んで思った意見や感想を書いてください。

観光産業ニュース「トラベルボイス」編集部から届く

一歩先の未来がみえるメルマガ「今日のヘッドライン」 、もうご登録済みですよね?

もし未だ登録していないなら…