北海道ドライブで「道」を観光地に、インバウンド誘致の仕組みづくり事例をナビタイムジャパンに聞いてきた(PR)

観光立国の政策推進で、地方自治体や地域がインバウンド誘致の動きを強めるなか、鉄道駅や空港アクセスなどの交通拠点から離れた地域では、いかに観光客を呼び込むかが大きな課題。経路検索サービスを提供するナビタイムジャパンには各地から、「観光客を連れてきてほしい」という相談が寄せられるという。

第一に期待されているのは、ナビタイムジャパンが持つアクセス方法を提供する役割と動態データ分析だが、そのためにも大切なのは、データを収集できる仕組み作り。「交通ナビゲーションの存在意義は、目的地への最短距離を導き出すことだけではない」と話す同社インバウンド事業部部長・藤澤政志氏に、インバウンド誘致の仕組みづくりで実際に行われている事例を聞いてきた。

“ドライブ”を北海道の観光素材に

今回紹介する事例は、日常生活のインフラである「道路を観光資源に変える」もの。ナビタイムジャパンが北海道に提案した、「道路の移動(=ドライブ)そのものを魅力的なものとし、観光地化する」取り組みだ。

訪日客に絶大の人気を誇る北海道の観光需要は、メインルートの札幌→旭川→富良野・美瑛の道央に、圧倒的に集中しているという課題がある。この状況を打破しようと、国土交通省北海道開発局が地域のDMOをはじめとする社会実験協議会の構成員と共に着手したのが、「北海道ドライブ観光促進社会実験」。北海道のもっと地方部へ、特に交通アクセス手段が限られている稚内、知床、根室など、道北や道東まで外国人旅行者を誘致しようとするもの。

ナビタイムジャパンは2017年2月に社会実験協働事業者となり、同年3月に協議会に参画。同年9月から3か月間、レンタカー旅行者の動態を調査する社会実験を実施した。レンタカー旅行に便利なアプリを開発し、地方への旅行を促すとともに、アプリを通してより詳細なデータ収集を試み、今後の観光施策やプロモーションに活用するのが目的だ。

地方部への誘導とデータ取得・分析が同事業のキモに感じられるが、藤澤氏は、「ユーザーが『行きたい、利用したい』と思える魅力と、便利だと思ってくれるサービスを提供できなければレンタカーでの旅行につながらない」と、その前段、つまり誘客と観光開発の重要性を強調する。

ナビタイムジャパン インバウンド事業部部長・藤澤政志氏

だからナビタイムジャパンが北海道開発局とともに最も力を入れたのは、レンタカーを単なる交通手段ではなく、乗ること自体を楽しむ、観光資源にしてしまおうという試み。社内チームで、北海道レンタカー旅行者にとって、何が便利なサービスになるかを議論するなかで、目的地ではなく、そこへ行くまでの情報提供が手薄であることに気が付いた。

「目的地は決まっていても、走るルートまで決めている人は少ない。特に北海道は広いので、出発地と目的地の間のルートがかなり長い。そこをコントロールすることで、少しでも道東や道北へ足を延ばしてもらおうと考えた」。こうして完成したのが、北海道周遊レンタカー旅行に特化した、訪日客向けのスマートフォン用の無料アプリ「Drive Hokkaido!」だ。

現地の魅力発掘は自らの目と足で

アプリでは、ドライブに便利なサポートツールの提供のほか、計339か所の観光スポットや魅力的な絶景ルートなどを地図上に表示。その詳細案内も盛り込み、道東や道央への目的地に行く道中に、レンタカーで行くからこそ楽しめる魅力を見せた。

また、景観ルート紹介機能では、景観ルートの起点と終点にマップコードを表示し、最短距離での“寄り道”ルート検索がレンタカーのナビで簡単にできるよう工夫した。「そもそも経路検索システムは、目的地を設定するために作られているので、美しい景観ルートなど特定の区間を経由する、といったリクエストをインプットするのは意外に手間がかかる」(藤澤氏)といい、移動を楽しむルートに導く同アプリならでは特徴だ。

アプリでは44か所の魅力的な景観ルートを提案。目的地までの道路も、観光素材に

さらに、アプリを通して許諾を得た利用者の動態データを採集するため、「データ提供協力者には、謝礼としてユーザーが便利だと思うアプリやサービスを提供しようと考えた」(藤澤氏)。そこで、アプリでは計249施設の割引クーポンなどを配信。道内の市や町の標識デザインや、野生動物の標識、「道の駅」で楽しめる色々なフレーバーのアイスクリーム、郵便局で販売しているローカル色豊かなポストカードなどを紹介する小冊子も用意するなど、とにかく道中を楽しんでもらえる内容を意識した。

こうした要素を盛り込むことができたのは、藤澤氏率いる開発チームが、現地でレンタカー旅行を繰り返してロケハンをした経験も大きい。絶景ルートや面白い寄り道スポットを探し、現地の人との交流を通じて情報を収集。地域の人には当たり前となっている防波壁のクールな形状や、そこだけ時が止まったような廃線の駅、昔の家屋の佇まいなども印象的だった。システムを設計するエンジニアも同行しており、これらをどう表現し、魅力的に出していくかの点で、作り手ならではの視点も効かせている。

この結果、社会実験が終了した11月末までに7000人以上が同アプリをダウンロード。さらに2018年春までに、日本人も含めると1万人以上が同アプリをダウンロードしており、利用状況は上々だ。何より、データ協力者にインセンティブなしで依頼したアンケートハガキが、3か月間で100通以上回収できたことは、アプリとその旅行者に対する利用者の満足度の高さがうかがえる。この成果を受け、ナビタイムジャパンでは今年度も引き続き、同アプリを用いた北海道開発局との協働プロジェクトを実施する。

手段と目的で変わる、移動の魅力

観光地開発にも似た、こうした発想の源泉はどこにあるのか。実はナビタイムジャパンではこれまでも、経路検索ナビゲーションを軸に様々なサービスを提供しており、「その企画・立ち上げに携わってきた経験が大きなヒントになっている」と藤澤氏は話す。

例えば2014年にリリースした、バイク(自動二輪)のライダー向けのナビゲーション・アプリ「ツーリングサポーター」。開発するうちに、「ツーリングは、とにかく走りを楽しむことが一番の目的だから、行き先の目的地は決めてもルートは決めないことが圧倒的に多いことを知った」。

だから同アプリでは、ナビ機能を、通常のナビだけでなく、道案内をせずに現在地から目的地までの距離と方向だけを表示するコンパスモードも用意。走った後に、自分の辿ったルートを地図上で“答え合わせ”ができる走行ログなどの機能を開発した。「このサービスが支持されたことで、そもそも正確で最短距離のナビが必ずしも必要とされない場合もあるのだ、と実感した」。移動の手段とその目的で、見える世界が変わってくるのだという。

これ以外でも、サイクリングに特化した「自転車ルート検索」の開発では、道路の高低差を表示した「自転車NAVITIME」を開発。さらに今年は、サイクリストに親しまれる琵琶湖一周の「ビワイチ」ルートのアプリ「BIWAICHI Cycling Navi」も開発した。ここでも「ビワイチをする人は、最短距離で一周したいわけではない。ビワイチを達成しながらも、どうやって楽しい寄り道ができるか、面白いルートの提案を考えて作っている」。

「BIWAICHI Cycling Navi」ではおすすめのコースのほか、観光スポットや宿泊施設、
飲食店などの「立ち寄りスポット」情報と、これらを周遊するルートを自由に設定できるナビ機能を搭載

アプリの動態データで見えた課題

さて、北海道の実証実験では、手にした貴重な外国人旅行者のデータベースから、レンタカー旅行者の動態や、日本全体にも共通する興味深い課題が見えてきた。

例えば、日本人に人気の高い観光資源でもある「道の駅」の利用は低調だった。北海道には計119か所の道の駅があるが、この4分の3以上で、30分以上の滞在が確認できなかった。この状況について藤澤氏は、「単なるトイレ休憩のスポットではなく、地元の食べ物や特産品が楽しめる場所であることが外国人には分かりにくいのではないか」と推察する。

もう一つの課題は、早朝と夜の時間帯が空白地帯になっていること。旅行者が携帯を触っている時間帯の分布データを見ると、外国人旅行者が動き出すのは朝5時から。しかし、道の駅を含め、早朝から朝食やコーヒーを提供するサービスは少ない。同様に、夜7時以降の時間帯も、外国人旅行者が手持ち無沙汰になっている様子がデータから浮き彫りになった。

この「早朝と夜時間の問題」にテコ入れするべく、今後、夜の観光資源の掘り起こしに取り組む方針。例えば「根室の工業地帯は夜景が非常に美しく、漁港近辺では地元の漁師相手に営む居酒屋や飲み屋街を散策するのも楽しい。あるいは、宗谷の満天の星空を見にいく稚内の防波堤ドライブなどの観光ガイドを考えているところだ」。

一方、アプリで紹介しているスポットやパノラミックロードの情報は多くの利用者に支持され、アンケートで「アプリを使って立ち寄った施設がある」と回答した人は、全体の約7割を占めた。さらに全体の23%の人は、アプリを使って11か所以上に立ち寄ったという。つまり現地に到着した後、目的地を大幅に変更する可能性は低いものの、こうした寄り道情報は大いに活用されるということ。着地型の観光情報の配信がいかに大切であるかを検証できたことは、今後の地域観光プロモーションにも大いに役立ちそうだ。

アプリで人気だったパノラミックロードに、新たに「シーニックバイウェイ北海道」のデータを追加。
左:地図で位置関係を見ながら行きたい場所を決められる(言語設定は韓国語)、
右:各スポットの詳細情報も確認できる(言語設定は英語)
データ協力者に配布した小冊子「HOKKAIDO DRIVE CHALLENGE」にも、立ち寄りを促す要素を「8つのチャレンジ」として盛り込んだ

ナビタイムジャパンでは、「交通コンサルティング事業というデータ分析専門チームにより、人がどこを移動したかというデータを、常に分析している。すると、地域側が売り出したい内容と人々が訪れている先のミスマッチが見えてくることもある。客観的なデータとして、訪日旅行者の動きを提示していくことも我々の役割。はっきりした記録が結果として残るので、次の提案へとつながりやすく、PDCAサイクルも回しやすくなる」と藤澤氏。

最近、注目していることは、もっとミクロな視点で動き回るルートの提案。複数の都道府県をまたぐ周遊ルートは日本全国でいくつも提案されているが、「もっと狭い範囲、例えばリピーターが多い大阪などで色々な遊び方を提案できたら面白いと思う」。移動が観光の魅力になる可能性は尽きない。

広告:ナビタイムジャパン(https://www.navitime.co.jp/pcstorage/html/japan_travel/english/

問い合わせ先:inbound-business@navitime.co.jp

対応サービス:Drive Hokkaido!BIWAICHI Cycling Navi

記事:トラベルボイス企画部

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