グーグルのタビナカ体験予約はうまく機能するのか? 新サービスが抱える3つの課題を分析した【外電コラム】

グーグルが旅行先情報サービス「TouringBird」でツアー&アクティビティ分野に本格参入したことが、多くの話題を呼んでいる。

20都市、2万5000件のアクティビティで始まったTouringBirdはArea120プログラムの試験的プロダクトに位置づけられており、グーグルブランドを適用したり、あらゆるグーグルユーザーに公開するにはまだ至っていない。しかし、グーグルがこの機会を真剣にとらえていることはわかる。

TouringBirdは概念的にメタサーチである。というのは、サプライヤーに直接ではなく、ビアター、エクスペディア、ゲットユアガイド(GetYourGuide)、ミューズメント(Musement)など複数のリテーラー(=オンライン旅行会社)に予約を送るからだ。

とはいえ、航空券やホテルなどを扱うメタサーチとは異なる面がある。そうした分野では、一般的に顧客は1つの商品を比較する。そしてメタサーチサービスは異なるチャネルの予約料金を提示し、通常は最安値での予約を顧客に勧めてくる。

一方、TouringBirdは顧客に幅広い選択肢を提示するためにメタサーチのコンセプトを使っている。顧客はその中から1つを選択し、リテーラーのウェブサイトを通して直接リテーラーに予約を入れる。

うまく機能するのだろうか

私はこの分野の実験が大好きだ。まだまだ不確かだし、時に問題を見つけるための唯一の方法は実際に試してみることである。だからこれは、グーグルが始めたすばらしいプロジェクトだといえる。

しかし、ツアー&アクティビティ分野でメタサーチがきちんと機能するかどうか、私は確信が持てない。グーグルだけに限った話ではなく、これには構造的な問題があるからだ。ツアー&アクティビティ分野においては、どんなメタサーチも同じ問題に直面するだろう。

私が考える3つの疑問点・懸念は以下のとおりだ。

1. 手数料の引き上げ

長年の間、販売手数料はシンプルな2層構造だった。リテーラーは20%、サプライヤーが80%を取る。加えて、サプライヤーの技術サービスが途中で数%取っているかもしれない。アトラクションの場合、限界コストは少ないのでもっと高めかもしれない ――この記事は手数料率の詳細を語るのが主旨ではないので、この辺でストップしておく。

消費者に最も近いリテーラーの「上」に大きなビジネス層が追加されれば、妥当なコミッションシェアが新たに必要になる。中間層となるリテーラーは、グーグルTouringBirdなどの新しいメタサーチ運営会社に15~20%の手数料を支払うため、サプライヤーからの手数料を30~35%に引き上げようとする流れになるだろう。

TouringBirdなどがもたらす予約の割合が実際のところ低かったとしても、引き上げられた手数料率は全てのリテーラー予約に適用されるだろう。言い換えれば、リテーラー層の手数料自体が高くなる。

サプライヤーがこの手数料引き上げを承諾するかはわからない。もしも手数料引き上げが実現しなかった場合、最上層のビジネス(つまり、グーグルTouringBirdなど)は、小規模アフィリエイトビジネスに適用される程度、つまり5~10%の手数料率で行き詰まることになる。

手数料の問題だけでも、どんなメタサーチの考えも潰しかねないほどだ。しかし問題は他にもある。

2. カスタマーサービス

業界としてはカスタマーサービスを整える必要があるが、現状では全く目的に合った状態にない。

問題は発展とともに生じている。これまでツアー&アクティビティを販売するタイミングは、ホテルやフライトの販売時か、現地販売によるものだった。前者では売り上げ戦略として旅行の何週間も前に販売されてきた。この場合、予約に関する質問などは営業時間にメールで解決できる。回答が少々遅れても顧客にとって大きな問題にはならない。

また、現地販売はビジターセンター、販売店、ホテルのコンシェルジェなど対面式でおこなわれていた。担当者に直に接するので、何か問題があればその時その場で対処できた。

しかし今、私たちは開始2時間前のツアー予約、あるいは切符売り場の行列回避プランではツアー開始10分前など、「駆け込み」を前提とするモバイル予約をおこなうよう迫られている。

いまや顧客サービスは、人間かAIによるチャットベースのライブカスタマーサービスでなければならないのだ。

リテーラーがライブのカスタマーサポートに移行すること、そして実際に質問に答える十分な知識を持つことは、いまだ解決できていない課題である。しかしリテーラーが駆け込みのモバイル予約を扱おうとするならば解決が必要だ。リテーラーの上にメタサーチ層を加えるとなれば、問題の解決はさらに難しくなるだろう。

サプライヤー>リテーラー>メタサーチという3層構造に対応できるようなライブサポート機能を行き渡らせる方法を考案すること自体は、おそらく可能だろう。しかし、そのためには業界をまたいだ議論や実施が必要となってくる。それができなければ、メタサーチは単にリテーラーのウェブサイトへリダイレクトさせるだけのものにとどまってしまう。新たな進歩が実現するかどうか、私には確信が持てない。

3. 静的「でない」プロダクト ―パーソナライズの必要性

ツアー&アクティビティ流通におけるイノベーションの次の段階は、「パーソナライズされたプロダクト」だ。これは、顧客を体験、または予約時点で顧客に合わせて調整された体験プロダクトそのもの、とマッチングさせることを意味する。

リテーラー、サプライヤーの間でどちらが送信するにしても、適切なパーソナライズをおこなうにはかなりの顧客プロフィール情報が必要になる。

これは複雑な問題だ。

リテーラー層の上に新たな層を加わることでこれをどう実現させていくのか、私にはわからない。現状でも一筋縄でいかないものが、業界間をまたいで広がり、著しく困難な展開になるだろう。

結論

私自身は、グーグルが競争に加わることに強い関心を抱いている。グーグルが、メタサーチからサプライヤーの予約システムに直接つながるようシフトしていかなければならないと考えている。それが叶えば、この競争はしばらく続くことだろう。

※編集部注:この記事は、英デジタル観光・旅行分野のニュースメディア「DestinationCTO」に掲載された英文記事を、同編集部から許諾を得て、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集しました。

※オリジナル記事:Is metasearch in tours & activities a layer too far? Thoughts on Google TouringBird


著者:アレックス・ベインブリッジ(DestinationCTO 創設者)

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