ワールドカップ開幕控え、米開催都市のホテル予約伸び悩み、高価格が逆風に、民泊は好調

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米国のホテル業界では、2026年6月から開催されるFIFAワールドカップの経済効果が、現時点で期待通りになっていないようだ。米国ホテル・宿泊施設協会(AHLA)が4月に実施した調査によると、ワールドカップが開催される米国の11都市の多くで、客室予約が予想を下回っている。

調査によると、カンザスシティ、ボストン、フィラデルフィア、サンフランシスコ、シアトルなどの都市では、ホテル経営者の大多数が、予約状況が例年の季節需要を下回っていると回答。また、ニューヨーク、ロサンゼルス、ダラス、ヒューストンなどでは、春と夏の通常の需要と比べて、今のところ横ばい状態が続いているという。

AHLAは、国外からのファンによる渡航不安、米国ビザの取得時間への懸念などに加えて、高額なチケット価格や一部都市での交通費など大会観戦にかかる費用が、需要が想定を下回る主な要因だと指摘している。

予約状況への懸念は、共催国であるメキシコでも見られる。メキシコシティホテル協会によると、6月11日に開幕戦が行われるメキシコシティのホテルの予約率は30~36%程度にとどまっているという。

要因はホテル料金の高騰か

多くのホテルは、大会日程が発表された後、サッカーファンがチケットを入手できれば高額を支払うだろうと予想し、宿泊料金を引き上げた。例えば、ニュージャージー州のメットライフ・スタジアム近くのホテルでは、通常1泊200ドル(約3万2000円)程度の料金を、6月のワールドカップ開催期間中は800ドル(約12万6000円)に値上げした。7月19日の決勝戦前の料金は1泊1300ドル(約20万5000円)以上にまで跳ね上がる。

ドイツを拠点とするファン擁護団体「フットボール・サポーターズ・ヨーロッパ」のエグゼクティブ・ディレクター、ロナン・エヴァン氏は、「大会観戦に慣れているファンは、この料金は必ず下がると思っている。ホテルのオーナーが料金設定が高すぎたと後悔し、土壇場で慌てて値下げする例は数多くある」と話す。

一方、Airbnbなどの民泊を含む短期宿泊レンタル(STR:Short Term Rental)の予約は伸びている。STRを仲介するAirbnbとVrbo(バーボ)の予約状況を追跡するレンタルデータ企業AirDNAの最新レポートによると、実際、カンザスシティ、シアトル、サンフランシスコ、ダラス/フォートワース、マイアミ/フォートワースなどの大都市圏では、昨年同時期と比較してSTRの予約が急増している。

Airbnbは5月上旬、大会期間中の宿泊数は当初の予想を上回り、最終的には2024年パリ五輪・パラリンピックを上回り、同社史上最大のイベントとなる見込みだと発表した。

非現実的な期待

FIFAによると、全104試合で販売予定の600万枚以上のチケットのうち、すでに500万枚以上が売れている。

マサチューセッツ州スミス大学の経済学教授アンドリュー・ジンバリスト氏は、ワールドカップのような国際的なイベントでは、通常の旅行者を遠ざける傾向があると指摘。「根本的な問題は、サッカー観戦客の増加、それに伴う混雑、高価格、そして治安への懸念が、通常のビジネス旅行や観光を阻害してしまうことだ」と話す。

ニューヨーク市ホテル協会会長のビジェイ・ダンダパニ氏は、市内のホテルでは夏の予約が前年比で約10%とわずかに増加しているものの、FIFAなどが予測したような大幅な増加には程遠いと明らかにした。

7試合が開催されるカナダのバンクーバーでは、ホテルの稼働率は昨年同時期を下回っているが、ブリティッシュコロンビア州ホテル協会CEOのポール・ホーズ氏によると、ホテル業界は試合開催が近づくにつれて客足が回復すると楽観視している。

全米に数十軒のホテルを所有する不動産投資会社ペブルブルック・ホテル・トラストCEOのジョン・ボルツ氏も同様に楽観的な見方を示している。「我々の予想を下回るような兆候は今のところ見られない。他の人たちは、おそらく、大きな期待を抱きすぎていたのではないか」と話した。

※ドル円換算は1ドル158円でトラベルボイス編集部が算出

※本記事は、AP通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。

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