内閣府、インバウンド需要と消費額の「地域格差」を発表、LCC就航便数が大きく寄与

内閣府はこのほど、地域経済に関する年次報告書「地域の経済2018」を発表した。今回の報告では、「人手不足問題」に加えて「インバウンド需要の拡大」をテーマの一つに掲げ、需要が一部の地域に偏っている現状を整理。また、今後のインバウンド旅行者数拡大に寄与する要因についても分析している。

インバウンド需要は5都道府県に集中

インバウンド需要の地域偏りについては、2012年と2017年の訪日外国人旅行者数を比較しながら、特に南関東と近畿に需要が集中している状況を解説。都道府県別では、東京都、大阪府、千葉県、京都府に偏っており、インバウンド消費額の占める割合も同エリアが大きいことを示している。さらに延べ宿泊数も傾向は同じで、東京都、北海道、京都府、沖縄県などに偏っている状況が鮮明となった。

内閣府:発表資料より

また、東京都、大阪府、北海道、京都府、沖縄県(成熟圏)とそれ以外の42県(潜在成長圏)に分けて地域間の偏りを分析した結果、旅行者数の5割、宿泊者数の6割、消費額の7割以上を成熟圏が占めることも判明。潜在成長圏42県を合算しても、いずれも成熟圏の数値に達しない状況となった。特に、旅行消費額の潜在成長圏のシェアは2014年をピークに下降してことが明らかになっている。

同報告書ではこの理由について、成熟圏から日帰りで潜在成長圏を訪れる人が多いほか、物品購入なども潜在成長圏ではなく成熟圏でおこなう傾向が強いことを示唆。一方、潜在成長圏への旅行者は、そこでしかできない「コト消費」が目当てになっていると説明。例えばスポーツ観戦や旅館への宿泊、温泉入浴、四季の体感などは、潜在成長圏のほうが人気だとしている。

内閣府:発表資料よ

インバウンド数増加のカギは「LCCの就航便数」

また、報告書では今後のインバウンド旅行者数の予測もおこなっている。36か国・地域のデータをもとに旅行者数の推移要因を分析したところ、各国・地域における経済成長や為替レート、受け入れる日本側のビザ免除措置といった政策面のほか、LCCの就航便数が旅行者拡大への寄与度が大きいことが明らかになった。

例えば、LCC就航便数が毎年1割増加した場合、2018年のインバウンド数は3250万人、2019年は3500万人、2020年は3770万人に拡大。それに対して、就航便数が2割増となった場合は、インバウンド数もさらに拡大し、2018年に3360万人、2019年は3760万人、2020年は4210万人となる予測を示している。


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