アムステルダム、オーバーツーリズム対策で「飾り窓地区」ガイドツアー禁止へ、売春婦やガイド協会は反対

レッドライト地区(4kclips / Shutterstock.com)

オランダ・アムステルダム市は、オーバーツーリズム対策の一貫として「飾り窓(レッドライト)地区」でのガイドツアーを来年1月から全面禁止する計画を進めている。市民の一部からは、逆に性産業を保護するものだと反対が出ているが、市当局は、飾り窓地区の運河沿いの細い道は観光客で溢れ、彼らの態度も目に余る主張している。特に金曜日の夜の混雑はひどく、観光客が細い路地で肩と肩をぶつけながら歩く状況が続いている。

AP通信によると、全面禁止に向けて、市当局は4月1日に午後7時以降のガイドツアー禁止を試行したが、飾り窓地区の労働組合「ブラウド(Proud)」は、この施策が観光客の数を減らすことになるかどうか疑問だとしたうえで、観光客が飾り窓の女性への敬意を払うようにガイドの教育を強化することを議論すべきだと主張している。

プラウドのメンバーでベルベットという名で飾り窓に座っている女性は、「ガイドがいなくても、観光客はこの地区に自由に入り、飾り窓の女性をずっと眺め、勝手に写真を撮る。それは、誰もこの地区でのルールや振る舞いを観光客に教えるものがいないからだ」と話す。実際のところ、彼女たちが実名を名乗らないのは、彼女たちのプライバシーや安全を守るルールがないからだ。こうした背景から、アムステルダムの「売春情報センター」では、独自のツアーを催行している。

アムステルダム市では、飾り窓地区のガイドツアー禁止は、その地区だけでなく市全体で問題となっているオーバーツーリズム対策の一貫と位置づけている。

しかし、オランダ・ツアーガイド協会Guidorのボーベン・ファン・アルスト氏は、「この施策は飾り窓地区だけてなく、アムステルダムの他の歴史地区にも影響が出る」と話す。レンブラントが最初にどこで絵を描いたのか、彼の妻がどこに埋葬されているのか、だれも観光客に説明できなくなるとし、「それは、パリで凱旋門やエッフェル塔に行くツアーが禁止されることと同じことだ」と憤る。

一方、飾り窓地区の中心にあるオールド・チャーチ・スクウェアには、現在1週間に1000以上のツアーが集まっており、同市副市長のウド・ノック氏は「まさにオーバーツーリズム。観光客が多すぎる。週末には、路地は観光客で埋め尽くされ、住民が家に帰れなくなるほどだ」と訴える。

アムステルダムの性産業で働く人たちも全面禁止に疑問を投げかける。「飾り窓地区の再開発によって、すでに何百という飾り窓が閉鎖した。衰退するレッドライト地区に、これまで以上にあるいは同等の観光客が押し寄せるのかどうか」。ノック氏は、すべての人がハッピーになることはないが、多くの市民がこの規制を喜んでいるとの考えを示す。

飾り窓地区は夜の観光として観光客に人気があるのは確かだ。多くの観光客が性風俗を求め、「レッドライト売春博物館」に列をなす。その博物館は、飾り窓の前のストールに腰掛け、プロジェクションによって映し出された男性を眺めることで売春婦の気分を体験できることから人気を集めている。博物館の館長ナターシャ・フリプセン氏は、ガイドツアーによって、観光客が何世紀にもわたるレッドライト地区の歴史を学ぶだけでなく、ここで働く女性たちに敬意を払うような機会になってくれればと願う。

「観光は私たちにとって大切なビジネス。観光客にとっては、ここは一生に一度の体験の場所。だから、レッドライトを訪れる」。フリプセン氏はそう続けた。

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