相次ぐ小規模の航空会社の破たん、いまヨーロッパの航空業界で何が起きているのか? その要因と現状を考えた【外電】

航空会社の破綻には、航空事業特有のさまざまな要因がある。ヨーロッパの場合、少なくとも現在のところ、小規模航空会社の多くは市場の片隅でなんとか生き延びていることが分かっているし、もはや生き残れないところも出てきている。

ヨーロッパの航空業界はここ数週間でかなり厳しい状況に陥った。小規模航空会社の多くが危機的な財政状況にあるためだ。

すでに2019年9月以降、エーグル・アズール、XL航空、アドリア航空、そしてトーマス・クックが営業を停止あるいは運航を休止した。ヨーロッパ全体で市場環境が悪化している証拠だ。

※編集部注:この記事は、米・観光専門ニュースメディア「スキフト(skift)」に掲載された英文記事を、同社との提携に基づいてトラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

フランス/アルジェリア路線に特化していたエーグル・アズールは、新しい買い手を探したが失敗し、9月上旬に全便の運航を停止し、経営破綻。最大の株主は経営状況が苦しい中国の複合企業HNAグループで49%の株式を保有していた。

XL航空は9月30日に、資金難のために10月3日にすべての運航を停止すると発表した。奇妙なことに、フランスのブリュノ・ル・メール財務大臣は「この破綻はLCCのノルーウェジャンによる援助があったためだ」と非難。「ノルーウェジャンは、ノルウェー政府から公的資金を得るために、XL航空には多額の負債があったにもかかわらず、その運賃を下げた」とLCIテレビで発言したのだ。

ノルーウェジャンはそれを否定。ノルウェー政府から公的資金を受けたことはなく、XL航空とは数路線で競合していただけと主張した。ノルーウェジャン自体はまだ危機には直面していないが、9月には社債保有者に対して未払いの負債3億8000万米ドルの完済を延期するように依頼している。

スロベニアのアドリア航空は、新たな投資を期待して、運航便数を削減したが、破綻を余儀なくされた。その親会社はドイツの未公開株式投資会社4K Investだ。

2000年以降、ヨーロッパの航空業界は複数のブランドを持つ大規模航空グループに徐々に集約されていた。EUの航空自由化政策によって、IAG、ルフトハンザ、エールフランス-KLMなどがグループ化し、ヨーロッパではライアンエアやイージージェットなどのLCCと競争するようになった。

にもかかわらず、小国のなかには、フラッグキャリアを持ち続けることに固執し、一方小規模航空会社は、特定のサービスやニッチなデスティネーションに活路を見出そうとした。

これによって、ヨーロッパには北米ほど集約さていないマーケットが生み出された。航空シンクタンクCAPA(Centre for  aviation)によると、2018年、ヨーロッパの7大航空会社のマーケットシェアは55%に過ぎない。北米では大手のシェアは82%にものぼる。

ゆっくりと、しかし確実に変化は訪れている。トーマス・クックは積み重なった負債で破綻したが、航空会社が抱える問題はそれぞれだ。また、一方で共通した要因もある。

「こうした問題の大部分は投資家の信頼に関係していると思う。今年前半のFlybeの破綻(結局、ヴァージン・アトランティック航空を含むコンソーシアムに買収されたが)、トーマス・クックの破綻、ノルーウェジャンをめぐる雑音、そして遠く離れた南アフリカ航空の案件、すべてマーケットをイライラさせている」。そう話すのはコンサルタント会社Midas Aviationのジョン・グラント氏だ。

「マーケットが神経質にならざるを得ない要因は多い。ブレグジットによってマーケットは弱含みになっており、供給が過多状態。ドル高が進み、収益に対するコストも高くなっている」。

また、慢性的な財政問題を抱えるイタリアに加えて、直近ではドイツとイギリスもGDPの成長率が鈍化しており、ヨーロッパの経済に影を落としている。

「ヨーロッパの航空会社は冬を迎えるにあたって、大きな課題に直面している」とスキフト・エアライン・ウィークリーのシニアアナリストであるジェイ・シャーバット氏は話す。「ドル高でがコスト増を招き、ヨーロッパ経済の後退は収益減をもたらす。幅広いネットワークを持っておらず、しかもバランスシートのよくない航空会社にとって、ドル高と経済状況の悪化は、致命的になるかもしれない」。

※この記事は、米・観光専門ニュースメディア「スキフト(skift)」に掲載された英文記事を、同社との提携に基づいてトラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

※オリジナル記事:Why Do Europe’s Airlines Keep Dying Off?


著者:Patrick Whyte氏

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