首里城の火災対応で観光事業者が結束、緊急会議開催で基本方針を策定、MICEは焼失理由の方面変更見られず

写真:AP通信

沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)は11月1日、県内の航空会社や旅行会社、ホテルなど34の観光事業者・団体からなる「沖縄ツーリズム産業団体協議会」の会員との緊急会議を開催した。10月31日の首里城の焼失を受け、OCVBが収集した現状の情報と会員各社の状況を共有するのが目的だ。

また、多くの観光客にも親しまれてきた首里城の焼失は、長期的に多大な影響を及ぼす可能性があるとし、「首里城火災対応にかかる基本方針」も決定。

基本方針に盛り込んだのは、以下の6項目

  1. 関連施設における防火・防災体制を再確認し、備えを徹底する。
  2. 不確かな情報の拡散を防止するために正確かつ迅速な情報発信を行なう。
  3. 情報発信においては、可能な限り多言語で行なう。
  4. 修学旅行及びMICEに対し、代替観光のコースを積極的に行なう。
  5. 沖縄観光の持続的な発展のため、一致団結して誘客および受け入れを強化する。
  6. 首里城の1日も早い復元を目指し、県民とともに、国及び県の取り組みを支援する。

このなかで、(1)の関連施設については、県内の観光施設が対象。(3)の情報発信では常に、沖縄への来訪者の3割を占める訪日外国人への情報提供を意識した発信を行なうことなども再確認された。

また、(4)観光の代替案では、修学旅行の学習目的やMICE主催者の開催目的に応じて提案をしていく。その際、首里城のような歴史と文化を感じられる観光やベニューとしては、首里城周辺に点在する公園なども提案していく案も出された。高台から、首里城の城壁などが見渡せるような公園もあるといい、その場から琉球王朝の歴史や文化を説明することも可能。「建物が焼失しても、歴史が消えたわけではない」という声もあがったという。

OCVBによると、沖縄県に行く修学旅行の8~9割が首里城を訪れるといい、旅行会社へのヒアリングによると、直近の修学旅行で首里城の訪問が含まれていたのは、11月は307校・計6万7976人、2020年3月までの5か月間では801校・計16万9816人(回答社数14社)。また、MICEでの首里城利用の予定件数は、インセンティブで国内6件、海外4件、コンベンションで国内1件、海外3件だった(10月31日19時時点)。MICEに関しては、首里城消失を理由とする方面変更はないという。

今後、OCVBでは基本方針を主導して実施。正確な情報収集と発信を継続しつつ、修学旅行やMICEなどの団体旅行の情報共有にも努め、観光代替後にも当初の訪問目的を実現し、かつ、スムーズな観光運営ができるようなサポートに取り組む。

さらに11月2日から開催される「沖縄旅フェスタ」では、RBC琉球放送と協力し、復興に向けた募金箱を設置する予定だ。

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