ギネス認定の老舗旅館「法師」の運営会社が特別精算、負債総額は約12億円

東京商工リサーチによると、温泉旅館を運営する大阪市の「ゼット (旧善吾楼)」は1月16日、大阪地裁から特別清算開始の決定を受けた。負債総額は約12億円。

同社は、718年(養老2年)に湯治宿「法師」として開業、1951年3月に(有)善吾楼に法人改組した。加賀温泉郷のひとつ粟津温泉に立地する老舗旅館。1300年続く歴史のある温泉旅館として全国的にも知名度は高く、1994年にはギネスで「世界でもっとも歴史のある旅館」として認定された。バブル景気を追い風に1991年12月期には売上高約22億9800万円を計上したが、以降は不況の長期化により加賀温泉郷への客足が落ち込み業況は悪化。また、2006年12月9~10日にかけて当旅館に宿泊した31人が食中毒の症状を訴え、このうち数人からノロウィルスが検出されたことで、厨房施設が4日間の営業停止処分を受けるなど苦境に立たされた。

過去に投じた設備投資や運転資金などから借入総額はピーク時に30億円近くにまで膨れ上がり、資金繰りを圧迫。さらに、業績悪化もあって借入金の返済に支障が生じ、信用保証協会が代位弁済を実施する一方、一部金融機関は債権放棄にも応じていた。

こうしたなか、第二会社方式を活用した企業再生スキームを選択し、2017年5月に収益が見込める温泉旅館事業を善吾楼に移管。同社は2019年9月3日に商号をゼットに変更していた。

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