世界の航空会社の回復はいつか? ワクチン接種で期待高まるも、先行きは依然として不透明【外電コラム】

航空会社は2021年も数々の困難に直面する。特に問題なのは、いつ、旅行者がまとまった数で戻ってくるかだ。航空旅行者が戻れば、航空業界は危機から脱することができ、再び前を向くことができるだろう

言うまでもなく、航空会社はまとまった数の旅客が戻ってくることを切望している。そうなれば、運航スケジュールを元に戻し、一時解雇した従業員を復職させ、バランスシートを黒字に戻すことも可能になる。

しかし、いつそうなるのだろう?

止まったままの旅行需要を急ピッチで回復させるのは容易なことではないが、「旅行者はみんな旅行をしたがっている」ことは誰もが認めるところだ。中国を見てみると、新型コロナウイルスの制御に成功すると、すぐに航空旅行が回復し、国内旅行はすでに2019年レベルに回復している。

「航空機の運航を再開し、収益を取り戻すことができるのは、需要の回復次第だ」。アメリカン航空CFOのデレック・カー氏は2020年10月にそう話したが、その状況は現在でも変わらない。

米国運輸保安庁(TSA)のデータによると、米国のクリスマス休暇中の航空旅行者は、前年比で半分にとどまった。その数は今冬、新型コロナウイルスの感染拡大に合わせるように、さらに悪化していくと予想されている。

それでも希望はある。英国や米国、その他の国でも、大規模なワクチン接種が開始された。米国では、3月末までに約1億人に接種し、夏にはさらに拡大していくことを目指している。

航空会社の上層部やウォールストリートのアナリストたちは、ワクチン接種が進めば、多くの人が、喜んで航空旅行に戻ってくると考えている。

ユナイテッド航空CCOのアンドリュー・ノセラ氏は2020年12月にブルムバーグ紙の取材に対して、「来年の夏は今年よりもはるかに良くなっていると思うが、まだ正常には戻らないだろう」と語った。

いつ、ワクチン接種が搭乗率に反映されるかまだ分からない。ウォールストリートのアナリストたちは、ワクチン接種が順調に進めば、2021年の3月~6月の間、つまり第2四半期のどこかで、航空旅行者の顕著な増加が見られると見ている。まず、レジャー旅行や友人や親戚への訪問から始まるだろう。

それでも、全体の回復にはまだ時間がかかる。投資銀行コーウェンのアナリストであるヘレン・ベーカー氏は2020年12月、「米国では、今年秋までに、集団免疫が獲得できるとの見方があるが、そう簡単にはいかないだろう」との見解を示した。集団免疫は一般的に、ワクチン接種と自然免疫の獲得をあわせて、人口の70%が免疫を獲得することだと言われている。

出張需要回復の遅れや雇用維持は大手航空会社の課題に

出張需要については、2021年の第4四半期、あるいは2022年初めまで回復しないと、金融サービス会社レイモンド・ジェームズのアナリストは見ている。出張需要の回復は、アメリカン航空、ユナイテッド航空、デルタ航空などの大手航空会社にとっては復活の鍵になる。

国際航空運送協会(IATA)は、2021年の回復は2019年比で半分にとどまり、完全な回復は早くても2024年にずれ込むと予想している。IATAチーフ・エコノミストのブライアン・ピアース氏は2020年11月に、2021年下半期にワクチン接種が広がることを前提に、「2021年の旅行需要は前年比50%ほど増加するだろう」との予測を立てた。

航空会社にとっては旅行者が回復しても十分とは言えない。毎日の損失額を、利益は言うまでもなく、プラスのキャッシュフローに変えることができると思っている人はほとんどいない。航空旅行者が戻ってくると、航空会社は従業員を復職させることになる。米国の場合、給与支援法が3月31日で期限を迎えたあとも、運航を維持していくためには追加解雇を最小限に抑える必要がある。

旅行者の回復は航空会社の苦悩を和らげるものだが、それがいつになるのか。その予測は2021年の最大の課題だ。デルタ航空フライト・オペレーション担当上級副社長のジョン・ラフター氏は最近、同航空のパイロットに対してこう言った。「回復への道のりは長く、そして、平坦ではない」。

※この記事は、米・観光専門ニュースメディア「スキフト(skift)」から届いた英文記事を、同社との提携に基づいてトラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

オリジナル記事:The Biggest Challenge to Airlines’ Recovery in 2021

著者: エドワード・ラッセル(Edward Russell)、Skift

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