ブッキング・ドットコムが金融サービス開始、銀行やカード会社より有利な為替手数料で、新たな収益源狙う【外電】

ブッキング・ドットコムが2021年7月初めに、社内にフィンテック・ビジネス部門を立ち上げる方針を発表した。その主な目的は、旅行者が銀行やクレジットカード会社から高い外国為替手数料を取られないようにするためだ。また、別の目的として、新たな収益源を得ることへの期待もある。

フィンテック部門でリーダーを務める同社上級副社長のダニエル・マロビッツ氏は米観光産業ニュース「スキフト」のインタビューに答え、「我々の目標は、旅行者に銀行やクレジットカード会社よりもいい為替手数料レートを提供すること。加えて、外国為替でいくらか稼げるまでビジネス規模を拡大していく」と語った。

マロビッツ氏は「旅行者が予約をする際に手頃な価格を提供したうえで、旅行から帰った後にクレジットカードの請求書に驚かないようにするためのサービス」と説明する。

このフィンテックサービスは現在、ブッキング・ドットコムのほか、プライスライン(Priceline)、アゴダ(Agoda)、オープンテーブル(Open Table)、カヤック(KAYAK)などグループ企業全体で取り組んでおり、一部はすでに試験運用に入っている。

ブッキング・ドットコムは過去5年にわたり代替支払いシステムの構築に取り組んできた。しかし、マロビッツ氏によると、今回のフィンテックサービスは、旅行者とパートナーの宿泊施設双方にメリットを提供するため、ゼロからシステムを構築したという。

同社のフィンテック部門はアムステルダムと上海に400人以上の従業員を抱える。今年中にはさらに10%ほど増員する予定だという。従業員全体の7~8%が上海をベースにしているが、テクノロジー企業への規制を強化している中国での事業展開に、マロビッツ氏は「状況を注視している」と話した。

マロビッツ氏は、将来的なビットコインなど仮想通貨の取り扱いについては、仮想通貨は非常に不安定で、まだ利用者も多くないため、「すべてはマーケット次第。それを先取りして始めることはない」と話すにとどめた。

世界の旅行業界でフィンテックは大きな潮流のひとつになっている。インドネシアのトラベロカは、コロナ禍で旅行がストップしている期間、金融サービスに移行。今後、それを拡大していく計画だ。エアアジア・デジタルはタイでのゴジェック事業を買収。ライドシェアに加えて、支払いサービスも傘下に収めることで、同社のBig Pay事業を強化する。

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