観光産業のカスハラ防止策の実態調査、名札の義務付けは8割、うち個人情報保護で「ビジネスネーム」可は6%のみ ーサービス連合調査

サービス・ツーリズム産業労働組合連合(サービス連合)は、従業員のプライバシー保護に関する加盟組合の実態調査結果を公表した。サービス連合は、旅行業、宿泊業、国際航空貨物業、人材派遣(添乗員)などの労働者で構成されており、SNSで実名をさらされるなど社会的な問題となっているカスタマーハラスメントの実例もあることから、職場でプライバシーがどう扱われているかを調査したもの。

旅行業と宿泊業では長年ネームプレートの着用が習慣化しており、加盟組合の職場で義務づけられているのは78%。このうちフルネームや名字での表記は94%、ビジネスネーム(通称)が認められているのは6%にとどまった。結婚後の旧姓使用は進んでいるものの、プライバシー保護を目的とした通称使用は浸透していない結果となった。

発表資料より

電話対応も欠かせない業務で、応対マニュアルが決められている職場のうち、65%は実名を名乗ることとなっているのが現状だ。また、メールアドレスに実名のアルファベット表記を使用しているケースは82%に及んだ。さらに、22%の職場では仕事に個人の携帯電話を使用している。

企業の採用ホームページで先輩の声や近景を掲載する実態もあるが、出身学校名や個人名を掲載している例は34%。プライベートでの営業活動も、40%の職場には社内ルールがなく、放任されて個人などの判断にゆだねられている。

「結婚しているの?どこに住んでいるの?」など、その場にいない同僚のプライバシーに関して、顧客から尋ねられた場合の応対について、26%の職場には社内ルールがあるが、48%はルールがなく、常識的な対応に任せられている状況も明らかになった。

発表資料より

こうした結果を受け、サービス連合は「特に宿泊業や旅行添乗の職場においては、お客様の顔と名前を覚えることが大切だと言われ続けてきた以上に、お客様に顔と名前を覚えてもらうこと、勲章のように上司や先輩から言われてきた。このことは必ずしも間違いではないが、SNSが発達してカスタマーハラスメントが大きな問題となっている以上、看過できない職場実態が判明した」とし、企業や業界、社会に対し、プライバシー保護のあり方について問題提起をおこなっていきたいとしている。

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