米政府機関の閉鎖で航空便に大きな影響、2日間で1万便以上が遅延、管制官の慢性的な人員不足が追い打ち

写真:ロイター通信

米連邦航空局(FAA)は、2025年10月8日までの3日間で、各地の空港で航空便の出発を遅らせた。政府機関の閉鎖が8日目を迎えるなか、通常よりも深刻な人員不足に直面しているためだ。

10月6日と7日の2日間では、計1万便が遅延。8日は東部時間午後5時30分までに3000便近くが遅延した。

ショーン・ダフィー運輸長官はFOXニュースの番組で「これまで遅延の約5%は管制塔の人員不足に起因していたが、ここ数日はその割合は53%にのぼる」として、航空管制官に仕事に戻るように呼びかけた。

今回の政府機関閉鎖の期間中における航空管制官の人員不足問題は、ドナルド・トランプ大統領の任期1期目である2019年に政府予算が大幅に停止された時から顕在化していた。

ダフィー運輸長官は「管制官たちはストレスを抱えており、給与が支払われないかもしれないという理由で閉鎖に反発している」と話す。約1万3000人の航空管制官と約5万人のTSA職員は、政府機関の閉鎖中も出勤しなければならないが、給与は支払われていない。

メリーランド州のウェス・ムーア知事と民主党議員らは、閉鎖期間中、航空管制官と運輸保安局(TSA)職員が無給で働いていることを指摘したうえで、ボルチモア・ワシントン国際空港の閉鎖の早期解除を求めた。

また、民主党のクウィシ・ムフメ下院議員は、閉鎖期間中も航空管制官への給与支払いを継続するための補足法案の成立を求めた。

一方、ダフィー運輸長官は、米国運輸省が11月初旬まで「エッセンシャル・エア・サービス・プログラム」の資金を維持するため4100万ドル(約62億円)を確保したことを明らかにしている。

米国では10年以上にわたって航空管制官の人員不足に直面している。多くの管制官は閉鎖以前から強制的な残業や週6日勤務を強いられてきた。FAAは、目標とする管制官の人数には約3500人に不足していることを認めている。

※ドル円換算は1ドル152円でトラベルボイス編集部が算出

※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。

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