国際航空運送協会(IATA)は、2026年の航空会社の業績予想を明らかにした。サプライチェーンの問題による航空機の納品遅れが続く中でも収益性は安定化すると見込んでいる。
IATAによると、航空会社全体の純利益は前年の395億ドル(約6.2兆円)から410億ドル(約6.4兆円)に増加し、過去最高となる見通し。一方、純利益率は2025年から横ばいの3.9%で、旅客一人当たり純利益も横ばいの7.90ドル(約1230円)と予想している。
営業利益は前年の670億ドル(約10.5兆円)から728億ドル(約11.4兆円)に増加。純営業利益率は前年の6.6%から6.9%に改善する見通しを示した。
また、負債比率の削減と営業収益性の向上にもかかわらず、投下資本利益率(ROIC)は横ばいの6.8%にとどまると予想している。
2026年の総収入は、前年比4.5%増の1兆530億ドル(約164兆円)を見込む。搭乗率は引き続き過去最高を更新すると見込まれ、平均搭乗率は83.8%と予測。総旅客数は同4.4%増の52億人に達すると予測した。
航空券収入は、航空会社の輸送サービス量を示す有償旅客キロ(RPK)が4.9%増加すると見込まれることから、同4.8%増の7510億ドル(約117兆円)。一方、非航空収入は同5.5%増の1450億ドル(約22.6兆円)に達すると予測。非航空収入が占める割合は、パンデミック前の12~13%から約14%に増える見込みだ。
アジア太平洋地域、供給過剰が依然として課題に
アジア太平洋地域を見ると、純利益は同2.3%増の66億ドル(約1.03兆円)。旅客一人当たり純利益は3.20ドル(約500円)と予想。中国とインドが市場を牽引し、韓国への中国人団体旅行および中国人旅行者に対するビザ要件の緩和は、特に休暇シーズンのピーク時に、短期的なインバウンド需要を刺激すると予想している。
一方で、供給過剰は依然として課題と指摘している。搭乗率は過去最高の84.4%を予想した。
SAF購入コストは45億ドル
コスト面については、燃料費は同0.3%減の2520億ドル(約39.3兆円)と予想。燃料費は総営業費用の25.7%を占めると予想され、2025年の26.8%から減少する見込みだ。一方、航空機の引き渡しが遅れている影響で、平均機齢が過去最高の15年を超えてることから、燃料効率の向上はわずか1.0%にとどまる。
「国際航空のためのカーボン・オフセットおよび削減スキーム(CORSIA)」の遵守コストは前年の13億ドル(約2030億円)から17億ドル(約2650億円)に増加すると予想。航空会社の持続可能な航空燃料(SAF)購入の増分コストは、2026年には45億ドル(約7020億円)に達すると見込まれ、240万トンのSAFが利用可能になると見ている(総燃料消費量の0.8%)。
※ドル円換算は1ドル156円でトラベルボイス編集部が算出
