観光庁、新たな観光立国推進基本計画へ最終審議、3月中に閣議決定へ、「観光は地域経済や日本経済の発展をリードする戦略産業」と明記

観光庁は、2026年3月11日に第55回交通政策審議会観光分科会を開き、2026年度からの第5次観光立国推進基本計画の策定に向けた最終審議をおこなった。委員からの前回会合時の意見やパブリックコメントを反映し、基本計画(案)の文言に若干修正を加えたものの、内容に変更はない。観光庁としては今後、国土交通大臣への答申を経て、3月中の閣議決定を目指す。

最終審議で示された内容と、前回からの修正点をまとめた。

訪日消費単価は25万円からさらなる拡大を目指す

基本計画(案)の方向性として、新たに「観光は地域経済や日本経済の発展をリードする戦略産業である」と明記した。

また、施策としてあげている3つの柱のうち「インバウンドの受入れと住民生活の質の確保との両立」については、委員の意見を反映し、「インバウンドの戦略的な誘客と住民生活の質の確保との両立」という表現に変更した。残りの2つの「国内交流・アウトバウンド拡大」と「観光地・観光産業の強靱化」に変更はない。

観光立国の実現に向けた目標については、2030年までに訪日外国人旅行者数6000万人、消費額15兆円、リピーター数4000万人、地方部での延べ宿泊者数1.3億人泊、観光客の受入れと住民生活の質の確保との両立に取り組む地域数を現在の47地域から100地域への拡大などに変更はない。一方、消費単価については、「少し弱気な目標」との意見があったことから、「まずは25万円への引き上げを確実に達成することを目指し、その後も持続的に更なる消費拡大を図る」という表現に変更された。

アウトバウンド拡大については、委員から「若年層の海外旅行率などをKPIに設定すべき」との意見があったが、現在の年代別の出国率は20代が高いことから、特定の年代に限定した目標設定をするのではなく、年代に関わらない目標として2030年に過去最高値(2008万人)超えを据え置く。

また、観光地・観光産業の強靱化として、宿泊業が創出する付加価値額の目標設定については、2030年度までに宿泊業が創出した付加価値額の目標を6.8兆円(2024年度4.3兆円)に設定する。それとともに、付加価値額の伸びが従業員にも還元されていることを確認する観点から、宿泊業の平均賃金の推移も注視していくことを明記した。

3つの柱で具体的な施策を明記

3つの柱のそれぞれの具体策も明記される。

「インバウンドの受入れと住民生活の質の確保との両立」では、国際観光旅客税も活用し、各地域が継続的かつ計画的に対策を講じていけるよう、過度の混雑やマナー違反対策、地方分散の推進に必要となる様々な基盤整備など、オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策を一層強化し全国展開していく。そのうえで、手ぶら観光や需要に応じた予約制の導入の推進にも触れている。

また、民泊の適切な運営確保も明記。現在、住宅宿泊事業のみを対象としている「民泊制度運営システム」を拡充し、特区民泊や簡易宿所も対象に加えることで、各種民泊を一元的に管理できるデータベースの整備をおこなうことを記載した。

DMOについては、持続可能な観光地域づくりを戦略的に実践する質の高いDMOの形成・確立を図るほか、課題となっている人材の育成・確保、宿泊税、入域料などを財源とした安定的な運営資金の確保に係る取組みなどを支援していく。

「国内交流・アウトバウンド拡大」では、国内旅行市場について観光地・観光産業を支えるために不可欠な市場と明記。そのうえで、国内旅行需要の平準化の促進という観点から、ラーケーションの推進を明記した。また、新たな交流市場の開拓の施策として、関係人口の創出や二地域居住の促進も記載した。さらに、今後増加が見込まれる高齢者などの旅行需要を喚起する目的で、観光施設や宿泊施設のバリアフリー化などユニバーサルツーリズムの推進に取り組む。

「観光地・観光産業の強靱化」では、自然資本の地域観光への利活用推進、国立・国定公園の保護と利用の推進などに加えて、観光 DX・地域交通 DX の推進を掲げた。また、観光産業の経営力の強靭化として、廃屋撤去・再生による地方温泉地などのまちづくり支援などを進める。さらに、観光地・観光産業の担い手の確保を進めていくことも明記した。

旅行会社の役割の重要性も明記、JNTOの双方向交流に向けた機能活用も

3つの柱に加えて、観光立国の実現に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項も示された。

多様な関係者の適切な役割分担と連携・協力の強化として、「旅行会社などはインバウンド、アウトバウンド、国内旅行のいずれにおいても観光旅行者の旅行需要を喚起する上で重要な役割を果たすことが求められる」とした。

このほか、日本政府観光局(JNTO)の機能活用について、「インバウンド市場の多様化を図るに際しては、日本からのアウトバウンドも同時に拡大させることが肝要」と踏み込んだ。具体的には、多国間や二国間の観光に関する会議の開催、各国の政府観光局との連携を強化、相互交流キャンペーンなどを通じて、相互のアウトバウンドの拡大にもつなげていく方針だ。

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