OTAにとって、生成AIやエージェント型AIは、これまでのどの脅威より大きく、彼らのビジネスモデルを根底から覆す可能性がある。ChatGPTのような大規模言語(LLM)モデルは、旅行の発見を上流へと押し上げ、雑然としたプロセスを整理されたパーソナライズされた選択肢へと変化させている。
米観光産業ニュース「スキフト」の調査によると、2024年の世界のホテル予約はOTA経由が全体の25%。直販チャネル経由と、ほぼ同程度だ。OTAトップ4の売上高ベースでは、240億ドル(約3.7兆円)のブッキング・ドットコム、140億ドル(約2.2兆円)のエクスペディア、110億ドル(約1.7兆円)のAirbnb、80億ドル(約1.2兆円)のトリップ・ドットコムと続く。
しかし、AIによって、2026年にはこの状況に亀裂が生じるかもしれない。
最も可能性の高いシナリオは?
バーンスタイン・リサーチのリチャード・クラーク氏は今後のシナリオを提示している。最も可能性が高いとしているのは、大手AIプラットフォームがOTAやサプライヤーの在庫にアクセスするようになり、ホテルはOTAを経由せず、最低料金やお得なプランの一部をLLMに直接提供するというものだ。
バーンスタインのレポートによると、インドのMakeMyTrip、南米のDespegarをはじめ各地域の大手OTAは、「存在感は維持するものの、OTAプラットフォーム以外で、もっといいプランが見つかる可能性があるため、市場シェアと手数料率の低下に直面する」という。
「OTAは、AIを従来の検索ほど支配しているわけではない。AIとの連携をめぐる競争がテイクレート(取引から徴収する手数料の割合)に影響を与えるため、市場シェアリスクがこれまでで最も高くなる可能性が高い」としている。
クラーク氏は、ChatGPTやGoogle GeminiがOTAと独占契約を結ぶという「夢のような」話も説明している。そうなれば、確かにOTAの市場シェアは拡大する。しかし、クラーク氏はその確率を10%以下と見ている。仮にそうなったとしても、OTAの手数料は減少するだろう。薄利に苦しむことの多い独立系ホテルは、さらに多くの予約がOTA経由になった場合、現在の15~25%の手数料を支払う余裕がなくなる。
LLMは予約チャネルになるのか?
旅行比較プラットフォームKayakの共同創業者兼CEOであるスティーブ・ハフナー氏は、旅行者がすぐにOTAやホテルのウェブサイトでの予約をやめるとは考えにくいとの認識を示している。また、ホテルが大手AIプラットフォームに頼り、仲介役としてのOTAを外すという見通しには懐疑的だ。
ハフナー氏は「世界最大の直接予約サイトはマリオット。それは優れたロイヤルティプログラムを持っているからだ。しかし、独立系ホテルの直接予約はどうだろう。ウェブサイトはひどいし、カスタマーサービスも悪い。顧客の決済に関する詳細なプロファイルもロイヤルティプログラムもない。OTA外しが起きるとは思えない」と見通した。
※ドル円換算は1ドル155円でトラベルボイス編集部が算出
※編集部注:この記事は、米・観光専門ニュースメディア「スキフト(Skift)」 から届いた英文記事を、同社との正式提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。
オリジナル記事: Cracks Emerge in the Online Travel Agency Oligopoly
著者:Dennis Schaal氏


