観光庁は、国際競争力の高いスノーリゾート形成に向けて取り組む地域の支援をおこなう一環で複数回にわたる有識者会議を開催してきた。地域の現状の把握や地域が抱える課題を整理し、より効果的な支援のあり方を検討するもので、2026年3月23日に会議の最終とりまとめを公開した。日本のスノーリゾートが直面する課題と現状を踏まえ、今後の目指すべき方向性と具体的な取り組みを示している。
インバウンド増加によりスノーリゾートへの期待が高まる一方、地域一体の経営視点の不足やニーズの多様化、長期滞在への環境整備不足、さらにはリフトなどの索道(さくどう)施設の老朽化や整備されたコース外を滑るバックカントリースキーの安全管理など、さまざまな課題が浮き彫りとなっている。
こうした課題を踏まえ、最終とりまとめでは、今後目指すべき方向性として、単なるスキー場から年間を通じた「マウンテンリゾート」への転換による事業継続性と雇用の確保、地域住民の満足度向上と地域経済への還元、国際競争力を備えた長期滞在型リゾートの形成という3つの柱を掲げている。
山全体の合理化、投資をすすめるべき
具体的な取り組みの方向性も示している。
まずはマネジメントとマーケティングの強化が挙げられた。DMOが先頭に立ち、多様な関係者が一丸となって計画・実行・評価・改善のPDCAサイクルを回す戦略的な地域経営が必要不可欠であり、客観的なデータに基づき、都市型、温泉地、自然・歴史・文化といった地域ごとの特性を最大限に活かした戦略を推進することが重要とした。 さらに、雪のないグリーンシーズンの誘客やアクティビティ造成を進め、年間を通した事業継続を実現する。
受け入れ環境の面では、コンドミニアムなど長期滞在用施設の整備を進めるとともに、宿泊と食事を分ける「泊食分離」の取り組みを推進し、地域一体で飲食施設を充実させることで夕食場所が見つからない「夕食難民」の発生を防ぐ。あわせて、目的地周辺の移動手段である交通の改善に加えて、地域住民の満足度向上、キャッシュレス化などのデジタル活用、環境に配慮したサステナブルな取り組みも推進していく。
また、国際競争力の高いスキー場を形成するためには、山全体の合理化を含むマスタープラン作成、設備投資やグリーンシーズンに向けた投資を進めるべきとした。近年需要が高まる整備されたコース外を滑るバックカントリースキーへの対応では、スキー場内に雪を押し固めない非圧雪コースを設ける工夫や、人工的に雪崩を起こして危険を取り除く予防措置を実施し、安全の確保に努めることも有効な選択肢としてあげた。さらに、事故や自然災害の発生時に備え、関係機関の連絡体制や医療体制を確立しておくことも重要とした。
最終報告書は、以下で確認できる。



