観光庁は「観光DX推進に向けたデジタルツールのデータ連携における標準化に関する調査結果」を公開した。この調査は、宿泊事業者におけるデータ連携仕様の標準化を推進することを目的に実施されたもの。あわせて「標準データセット定義書」や「標準データセット利用の手引き」、「国内外主要仕様の比較表」、さらに今後の政策への「データセット仕様に関する提言書」などが公開された。
データ連携の標準化に向けて
今回の調査は、宿泊施設の基幹システムである予約管理システム(PMS)と、各種デジタルツール間のデータ連携仕様の標準化を推進するためにおこなわれた。現状、仕様が標準化されていないことが課題。データ項目や形式がサービス提供者と使用者の相互で交換、蓄積、分析が可能となるように収集するデータ規格を揃えることを目指し、国内の事業環境(制度、商習慣等)を考慮した業界標準のデータセットに係る調査に取り組んだ。
調査は、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会が主体となって国内外の主要6仕様を比較分析し、事業者等へのアンケートやヒアリングを実施。その結果、業界横断的な「標準データセット(v1.0)」が策定された。
国際標準と日本のギャップ、今後のロードマップ
調査を通じ、データ連携を阻む課題が整理された。大きなポイントとしては、日本の商習慣と国際標準の間にある「料金体系の根本的なギャップ」を指摘。国際標準が「1室あたり」課金や「年齢ベース」の子ども区分を主流とするのに対し、日本は「1人あたり」課金や食事・布団の有無等に基づく「ABCD区分」が一般的であることなど、構造的な違いが海外OTAとの連携を困難にしているとした。また、施設コードの乱立や、自治体条例によって異なる「宿泊者名簿」の記載事項といった法制度面の壁も浮き彫りになった。
これらの結果を踏まえ、提言書では今後の方向性が示されている。
短期的な取り組み(2026年度)では、子ども料金体系などの国際整合性の調査を実施するとともに、特定地域でデータ連携を行う実証事業をスタートさせる。中期的(2027〜2028年度)には、地域実証の成果を全国へ展開し、「料金体系変換ガイドライン」や「宿泊者名簿の統一ガイドライン」の策定し、施設コードの整備を進める。
長期目標(2029年度以降)としては、標準仕様に基づくデータ連携を業界全体に定着させ、標準化されたデータを基盤とした観光DXを推し進めることで、日本の宿泊施設が国内外の旅行者へよりスムーズに販売される環境の構築を目指すとしている。
「標準データセット利用の手引き」で実践的アプローチを示す
公表された「標準データセット利用の手引き」は、策定されたデータセットをPMSへ導入するための実務を解説している。
外部システムとの連携効率化や開発・保守コストの削減、インバウンド対応の強化に繋がる。同時に、国際標準には存在しない「和洋室」や「部屋食」といった日本固有の客室仕様、独自の税区分等についても、拡張ポリシーや独自定義コードを用いた柔軟な対応方針を提示。これにより、既存のシステム体系を活かしつつ、国際標準との整合性を担保する具体的な設計アプローチが明示された。
具体的には、国際標準のOTAコードをシステム連携の「共通軸」に据えることを推奨。実際の導入にあたっては、既存のPMS独自コード体系を無理に変更するのではなく、両者を紐づける「マッピングテーブル」を追加する手法が有効とした。これにより、既存システムの改修リスクを最小限に抑えつつ標準化が可能になる。
また、OTA標準にない日本固有の項目を独自に追加する際は、OTAの採番と衝突しないコードを付与するなど、国際互換性と国内要件を両立させる柔軟な拡張ポリシーが提示されている。既存のシステム体系を活かしつつ、国際標準との整合性を担保する具体的な設計アプローチが明示された。
詳細は、以下で確認することができる。




