リクルートの観光に関する調査・研究、地域振興機関「じゃらんリサーチセンター(JRC)」は、全国1万5548人の宿泊旅行者を対象に実施した「じゃらん観光国内宿泊旅行調査2026」の結果を発表した。この調査は、2025年度(2025年4月~2026年3月)の観光などを目的とした宿泊を伴う国内旅行の実態をまとめたもの。結果によると、旅行者数の伸び悩みが続く一方で、旅行単価の上昇が国内旅行市場を下支えしている実態が浮き彫りとなった。
宿泊旅行実施率は微減、費用総額は8兆3883億円へと拡大
2025年度の1年間に国内宿泊旅行を実施した人の割合は48.9%で、前年度の49.3%から0.4ポイント減少した。延べ宿泊旅行者数も推計1億2763万人回と微減となった。
一方で、実施者の年間平均旅行回数は2.78回、1回の旅行当たりの平均宿泊数は1.75泊といずれも微増し、延べ宿泊数は2億2372万人泊とわずかに増加した。
特徴的だったのは、市場全体の費用総額の拡大だ。国内宿泊旅行にかけられた費用総額は推計8兆3883億円に達し、前年度比で2.5%の増加となった。
この拡大を牽引したのは「現地消費」の増加だ。1回の国内宿泊旅行にかかった平均費用(大人一人当たり)は6万5700円と前年度から1600円上昇した。費目別に見ると、宿泊・交通費が3万6900円とほぼ横ばいであったのに対し、現地消費は2万8800円と前年度から1700円上昇している。 このうち、個人旅行は、総額6万3400円で、宿泊費1万9200円、交通費1万5500円、現地消費2万8700円となり、前年度からは現地消費が上昇。パック旅行は総額8万9100円で、前年度から5800円増と大きく上昇した。
費用総額8兆3883億円のうち、現地消費は3兆6767億円を占め、全体の43.8%にのぼる結果となった。
都道府県別ではトップが東京、万博で大阪が躍進
都道府県別の延べ宿泊旅行者数では、東京都が1102万人で1位となった。前年度からの増加幅・増加率で最も存在感を示したのが大阪府だ。増加幅は174万人増(総数940万人)、増加率は22.8%増といずれも極めて高い伸びを記録し、増加率では徳島県(23.3%増)に次ぐ2位となった。
宿泊先ブロック別の動向を見ても、関西ブロックへの流入が増加している。居住ブロック別の傾向では、関東ブロックから関西への旅行者が66万人回増となったほか、九州や甲信越・北陸などからも増加しており、大阪・関西万博開催の影響もあって、大阪府を中心に広域からの需要を効果的に取り込んだことがうかがえる。一方、甲信越・北陸ブロックは関東からの旅行者が72万人回減少しており、地域間の明暗が分かれる結果となった。
都道府県別の延べ宿泊旅行者数(リクルート発表資料より)
居住ブロック別の傾向(リクルート発表資料より)
旅の目的は定番が根強い人気
国内宿泊旅行の目的については、「地元の美味しいものを食べる」が43.7%でトップとなった。次いで「温泉や露天風呂に入る」「宿を楽しむ」(ともに35.6%)が続いた。同行者別に見ると、小学生以下連れ親子旅行では「テーマパークに行く」、ひとり旅では「スポーツ観戦や芸能鑑賞をする」が全体より高くなるなど、多様化するニーズの傾向も確認された。
今回の調査結果を受け、JRC研究員の池内摩耶氏は、旅行単価の上昇が市場拡大に寄与しているものの、今後の課題があることを指摘している。「人口減少も見据えると、国内宿泊旅行市場は、旅行者数の拡大だけを前提に成長を描くことが難しい局面にある。旅行単価の上昇には、人件費や物価の上昇などコスト構造の変化も影響していると考えられる」とした上で、「単価上昇を旅行者の負担増で終わらせず、満足度や支出への納得感を下げないことが重要」と警鐘を鳴らした。



