訪日タビナカ販売の課題と世界とのギャップとは? 売れる仕組みづくりと「マルチチャネル戦略」を解説 -トラベルボイスLIVEレポート(PR) 

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地域に観光客を呼び込み、観光消費を落とすタビナカ体験商品の重要性が増している。しかし、「良いものを作れば売れる」とも限らない。旅行者が触れる旅の情報源や予約先は多岐にわたり、そのタイミングもタビマエからタビナカまで広がっている。国籍や習慣に応じて異なる行動を把握し、自社の商品を見つけてもらう準備が不可欠だ。

2026年6月に実施したトラベルボイスLIVEには、BtoBチケット販売管理プラットフォームのリンクティビティ(Linktivity)のエクスペリエンス事業部マネジャーであるイーブン・ウー氏が出演。国内のタビナカ観光事業者や交通事業者、宿泊施設と世界のOTAをつなぐ同社だからこそ知る事例を、世界のタビナカ体験商品の最新トレンドから販売戦略まで解説した。

体験商品への「リーチのしやすさ」が売上に直結

まず、イーブン氏は、日本は世界のタビナカ体験市場を牽引する有力市場であることを説明。タビナカに特化した国際会議「アライバル」が発表した予測として、世界の体験市場が2024年の43兆円から2029年には54兆円に拡大し、アジア太平洋地域は同期間に世界平均の約4倍のスピードで成長するとのデータを共有した。すでに、体験予約に強いグローバルOTA各社は、日本商品の拡充を進めているという。

日本市場が成長するという予測の背景にあるのは、訪日客数の増加だけではない。イーブン氏は「アニメや漫画の聖地巡りや相撲観戦など、日本でしかできない体験を目的にする旅行者が増えている」と説明する。

ただし、市場に勢いがあるからといって、体験商品を発表すればすべてが売れるわけではない。イーブン氏は「情報があふれるネットの中で、商品を見つけてもらえなければ、存在していないのと同じ」と指摘する。旅行者の約80%はオンラインで情報収集をしており、約70%はクチコミを意思決定の根拠としている。インスタグラムで発見し、グーグルで検索し、トリップアドバイザーでクチコミを確認する。こうした横断的な予約行動が一般化しており、特にZ世代に顕著だという。

予約のタイミングへの対策も重要だ。現在もタビナカ体験を含め、訪日旅行の予約がされる主流は出発前(タビマエ)だが、日本滞在中のタビナカにおける予約は40%に上昇している。このうち25%は体験当日24時間以内のラストミニッツ予約だ。つまり、タビナカ体験の予約はギリギリまで検討しておこなわれるようになってきている。

イーブン氏は「旅行者が天候や気分、混雑状況などを見て予定を決めるなか、事業者側ができることは在庫をリアルタイムで見せること。営業時間外でも旅行者は翌日の予定を考えている。その瞬間に予約を確定できる仕組みがあるかどうかが、収益の差を生む」と強調した。

さらに、OTA経由の予約対策も欠かせない。2025年には、その予約比率は37%へ拡大した。イーブン氏は「OTAを競合ではなく、自社だけではリーチしにくい顧客に商品を届ける販売チャネルとして活用する視点が欠かせない」と話した。

リンクティビティ エクスペリエンス事業部 マネージャー イーブン・ウー(呉 懿文)氏

市場ごとに異なる購買行動、選ぶOTAの特性

イーブン氏は、インバウンド向けのタビナカ商品の販売では、市場(国・地域)ごとに異なる流通経路を理解する重要性も説いた。旅行者は、自国で使い慣れたOTAや決済手段を選ぶ傾向があるからだ。使い慣れたOTAなら母国語で完結でき、トラブル発生時も安心感がある。また、Alipay、WeChat Pay、Kakao Payなど、各国のローカル決済への対応も、予約率を左右する。イーブン氏は「皆さんが、自分で海外旅行をする時のことを想像すればわかりやすい」として、各市場の特性を説明した。

体験予約が成熟している欧米豪市場では、トリップアドバイザー傘下のビアター(Viator)や、品質基準を満たす商品を掲載するキュレーション型に移行したドイツ発のゲットユアガイド(GetYourGuide)などの利用が多い。イーブン氏は「欧米豪の旅行者は滞在日数が長く、体験単価も高い。長文のクチコミやレビューを重視し『何ができるか』だけでなく、『なぜその体験に価値があるのか』を伝えることが重要」とアドバイスした。

近隣アジアも、国・地域によって特性が異なる。例えば、中国市場では、トリップドットコム(Trip.com)など大手OTAやスーパーアプリの存在感が大きい。価格競争も激しく、クーポンやディスカウント施策が頻繁に実施される。情報収集では、中国版インスタグラムといわれる「RED(小紅書/レッド)」の影響力が大きく、中国人旅行者にとって旅の情報を探す定番ツールとなっている。AI検索の利用も広がりつつあるが、現時点ではインフルエンサーやクチコミの影響が大きいという。

週末など短期・高頻度の訪日旅行が特徴の韓国市場は、限られた時間で価格と体験時間のバランスを合理的に判断する傾向がある。検索はグーグルの代わりにネイバー(Naver)を使い、情報収集の動線も日本や欧米とは異なる。地方空港への就航増加を受け、日本到着後の域内交通が付いたオプショナルツアーの需要も強い。

台湾・香港では、クルック(Klook)やケーケーデイ(KKday)の認知度が高い。若い個人旅行者の支持が強く、SNSやインフルエンサーを活用した集客と相性がよい。東南アジアでは、アゴダ(Agoda)やトラベロカ(Traveloka)のユーザー基盤が大きい。家族や友人とのグループ旅行が中心で、一緒に楽しめるか、写真映えするか、友人がシェアしているかが決め手になる。

一つのOTAだけですべての市場をカバーすることは難しいことがわかる。イーブン氏は「各市場で強いOTAを活用しながら、より多くの旅行者との接点を複数持つ『マルチチャネル戦略』が、インバウンド販売の前提になっている」と話した。

旅行者の国・地域の特性によって予約までの行動や、好む情報源・予約メディアが異なる

売上は“仕組み”で作れる

イーブン氏は、タビナカ商品を提供する事業者や地域がとるべきアプローチとして「クチコミ対策」と「複数販路の確保(マルチチャネル戦略)」の2つをあげた。

まず、集客のカギを握るクチコミ対策。イーブン氏は「最も費用対効果が高いマーケティング施策の1つ。わずかなスコアの差が売り上げを左右する」とし、目指すべきスコアとして「4.8以上」を示した。この基準に達すれば、検索結果の上位10%に入りやすくなり、約20%のプレミアム価格を設定しても売れるという。逆に、4.2以下になると露出が急激に低下し、値引きをしても回復が難しい。

クチコミを味方につけるためには、レビュー回収のゴールデンタイムとされる「体験終了後48時間以内」に旅行者にアプローチすることが有効で、「体験直後の新鮮な感動があるうちに一声かけるだけで、レビューは仕組みとして集められる」と強調した。

もう1つのマルチチャネル戦略については、販路が増えるほど運用負荷が高くなる課題がある。これを解決するのが、チャネルマネージャーだ。その代表格であるBtoB流通プラットフォーム「リンクティビティ」は、複数のOTAと体験事業者やホテルをつなぐハブとして、在庫を一元管理する。変更も一斉にリアルタイムに反映し、精算や多言語対応も一本化できる。

導入事例として、イーブン氏は3つのケースを紹介した。1つ目の東京のエンターテインメントショーでは、在庫の一元管理により、直前まで座席のオンライン販売が可能になり、月間予約数が約300件増加。直近5月の予約の36%が当日予約で、ラストミニッツ需要が売り上げの積み増しに貢献した。

2つ目の大阪のクルーズ商品では、商品ページの改善が成果につながった。ターゲット市場の旅行者が参加している写真の掲載や、飲食物を持ち込んで仲間と楽しめるといったセリングポイントの明確化、当日予約への対応により、導入後の第3四半期の売上は第1四半期比で14倍となった。

3つ目の富山県の高単価宿泊施設では、宿泊単体の価格競争を避けつつ、地域の認知度の低さから検索が少ない課題に対応するため、その施設ならではの「クラフト文化体験」として商品を再設計。欧米の旅行会社に岐阜から金沢への周遊ルート上で立ち寄れる場所としてオンライン上で商品を販売した結果、1名20万円超の予約につながったという。

イーブン氏は、インバウンド体験商品の販売には「商品と仕組みの両輪」が不可欠と説明。「評価を可視化し、効率的な販売基盤で展開する。データを分析して商品を磨き続けることで、売れる商品は構造で作ることができる」と締めくくった。

売れるタビナカ体験商品は構造で作ることができる。そのための3つのステップをリンクティビティのプラットフォームでサポートする

世界の旅行者の感覚で商品を見直す

クロストークとQ&Aでは、講演内容を実務に引き寄せるための議論が交わされた。トラベルボイスの鶴本浩司代表は、タビナカ体験事業者に「ぜひ、自分自身でも海外の体験商品を予約し、実際に参加してほしい」と呼びかけた。海外の体験商品の価格やその価値などを体感して、世界の体験市場で起きていることを理解する大切さを説いた。

特に、値付けについては、日本の事業者と海外旅行者の感覚にギャップがある。鶴本代表は、ある居酒屋めぐりツアーの事例を紹介。当初販売していた1人2時間3000円では売れ行きが良くなく、1万円に値上げしたところ売れはじめたという。その理由を「海外旅行者から見ると、安すぎる価格は魅力ではなく、むしろ『大丈夫なのか』という不安につながる場合がある」と説明した。イーブン氏も、日本の体験商品の値付けが、国内物価が基準になっていることを指摘。「海外では1万円以上がスタートラインに近い。値段を下げる必要はない」と応じた。

全世界の体験市場の感覚を、国内の事業者や地域だけで理解するのは容易ではない。鶴本代表はリンクティビティの特徴として、複数OTAへの商品掲載だけではなく、海外市場の動向や旅行者の嗜好を踏まえ、商品の見せ方や展開すべき販路まで伴走できる点をあげた。

トラベルボイス 鶴本浩司代表広告:リンクティビティ(Linktivity)

お問い合わせ:info@linktivity.co.jp

記事:トラベルボイス企画部

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