地図上で旅行プランを作成できるサービス、韓国発の「アーストーリー」に日本での事業展開を聞いてきた

韓国で2012年にITベンチャーとして起業したEarthtory(アーストーリー)。自由旅行者のための旅の「プランニング」サービスとして、オンライン上の地図から旅行者が行きたいスポットをクリップし、自分だけのオリジナル旅行プランを作成することができるサービスを提供する。

その同社が2014年5月に日本法人を設立。創業から約2年のサイト安定化やデータ蓄積期間を経て、2015年は韓国とともに本格で展開を目指している。日本での目標は、2014年に4万人だったユーザーを2015年中に50万人、2016年には190万人に拡大すること。

そこに潜むビジネスチャンスとはーー?同社に、韓国発の旅行プランニングサービスが目指す未来と日本での展開を聞いた。

*写真:ジョン・ビョンウCTO/右:ジュ・ウォンウCEO


この事業のはじまりは、ジュ・ウォンウ(Joo Wonwoo)CEOの個人的な体験から。大学時代から、地図を見ながら旅の計画をすることに多くの時間を割いてきたが、それを簡素化するサービスにビジネスチャンスを見出した。



同サイトで観光地をクリッピング中の画面

このサイトでは、自分が行きたいスポットを選んで、地図上でオリジナルのプランを作成できるのが大きなポイント。点と点をクリップし、地図上でつなげていく。可視化することで、効率的な旅プランをつくれるサイトとしている。同社は、「3ステップ」で気になるスポットをクリップ することをECサイトで商品をお気に入りに入れる感覚で、位置や動線をプランニングできると説明している。

同社のウォンウCEOは、この事業が旅行プランニングを基盤に旅行商品を仲介するプラットフォームを目指していることを明かす。旅行計画をするユーザーは、航空券、ホテル、ツアー商品を予約・購入する可能性が高いからだ。現在、個人旅行で個別に行われている予約行動を、旅程上で計画しているときにレコメンドし、仲介するサービスを目指す。ビジネスモデルはアフィリエイト(仲介手数料)だ。

地図上にホテル紹介とともに予約サイトへの動線をつくっている

現在、レコメンドできるのはホテルのみ。これを、今後は、航空券、現地ツアーなどの表示をさせていき、各種サプライヤーからの手数料を収受する流れを作り出すという。日本市場では、旅行会社のツアーが消費者に好まれることもありOTAや旅行会社との連携も重要との認識。さらには、個人の空き部屋を仲介するサイト、旅行サイト一括検索(メタサーチ)、などとの連携にも意欲的だ。

ここまでは、いわゆる「タビマエ」。一方、同社サイトでプランニングした旅程はアプリからも表示可能で、旅行者はスマートフォンで旅先でも持ち歩くことができる。将来的にはGPS機能を追加し、旅行中のユーザーが地図上で現在地を把握できる機能も追加する計画。それが実現すれば、旅行者の「タビナカ」でも現地ツアーなどのレコメンドが可能になる。

旅行中・旅行後のユーザーのレビューを増やすことにも力を入れる方針で、「タビマエ」「タビナカ」「タビアト」の一連のサイクルができあがる。旅行後のレビューは、情報収集を始めた他の旅行者が閲覧してもらうことでコンテンツとすることができるからだ。今後は、公開・非公開の設定を選択できる機能で、公開するユーザーを増やすことが課題だろう。同社としては、何らかのメリットを提示することで解決できるものと考えているという。


▼日本市場への期待

日本市場にかける期待は、どういったことなのか?韓国という起業精神が旺盛な土壌で、世界や日本を目指すのは当然のことなのかもしれない。ウォンウCEOは、旅行のプランニングサービスは「韓国や日本のように1週間以内の短い旅行スタイルが多いアジア圏に適している」とみている。

欧米では、旅のプランニングでは、トリップアドバイザーやgogobotなどのレビュー型サービスがヒット。一方、長期休暇が取りにくい韓国や日本は、旅行が短期間なため事前の計画を綿密に立てる傾向があり、レビューも地図も重要な存在だ。そして、オンラインで計画を立てることが普及していないため、「一番可能性が高い市場だと判断(ウォンウCEO)」しているという。

現在、掲載されているは世界21都市。ハワイ、ソウル、ロンドン、パリなど主要観光都市だ。そこには、日本がカバーされておらず、今は日本人の海外旅行が主な利用。今後は、訪日外国人の需要、日本人の国内旅行の両方で見てもらえる日本の都市を追加する。6月には現地ツアー、9月にはビジネスアカウントを開設する予定だという。

ウォンウCEO は、「2105年は、サービスをより多くの人に知ってもらい、ビジネスモデルを高度化させる」と日本での展開に意欲的だ。

(トラベルボイス編集部:山岡薫)

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