企業からユーザーに、個別のメッセージを送ることができる「LINE通知メッセージ」が好評だ。企業側からLINEユーザーに重要性や必要性の高いメッセージを通知するサービスで、広告やマーケティング目的の配信ではなく、あくまでも重要なお知らせが対象となる。航空会社をはじめとする交通や旅行会社、ホテルなど、観光分野との相性が良く、活用が広がっている。
導入企業の増加を受け、LINEヤフーはさらなる利便性の向上を目的に、サービスをリニューアルした。サービスの概要とリニューアル内容から、メリット、活用事例まで、LINEヤフーの担当者に聞いてきた。
LINE通知メッセージが多くの企業・ユーザーに受け入れられる理由
LINE通知メッセージは電話番号を用いて、重要性や必要性の高いメッセージをユーザーに通知するサービスだ。企業が保有する電話番号と、コミュニケーションアプリ「LINE」に登録されているユーザーの電話番号とをマッチングすることで、企業のLINE公式アカウントを友だち追加していないユーザーにもメッセージを直接届けることができる。LINEヤフーはハッシュ化された電話番号を受領し、宛先照合のためだけに使用。その後、速やかに破棄する。
このサービスの対象は、メッセージを受け取る人にとって重要な内容に限られ、広告や宣伝、マーケティング目的の利用は対象外だ。すでに航空や旅行分野をはじめ、幅広い事業者が利用している。フライトのリマインド通知や宅配便の事前通知などで、同サービスを体験したことがある人も少なくないだろう。
同サービスの事業企画を担う中村宗樹氏は、受け手となるユーザーのメリットとして、通知に対する安心感をあげる。LINE通知メッセージを送信できるのは、LINEヤフーが認証しているLINE公式アカウントのみであるため、「誰もが送信できるSMSやメールと比べて安全性が高い。不審がらずに開封してもらえる」と説明する。
また、ユーザーが日常的に利用する頻度が高いLINEで届くため、見逃しも少ない。メールは重要なメッセージが未読の中に埋もれてしまうケースが多いが、LINE通知メッセージの開封率は79%(2024年平均値、LINEヤフー調べ)。関連ページのリンクを付ければ、そこから遷移して、ワンタップで詳細確認が可能だ。受け手からすれば、最適なタイミングで必要な情報を確認できる、気の利いたサービスとして受け止められるだろう。
LINE通知メッセージは、ユーザーにとっても重要な情報を安心して受け取れる便利なサービスユーザーのメリットは、企業のメリットにもなる。通知を受け取ることでユーザー体験が向上すれば、企業に対するロイヤルティーも高まる。また、ユーザーにとって重要な情報は、企業にとってユーザーに知ってほしい情報でもある。例えば、航空会社のフライト前のリマインド通知は、必然的に航空会社が注力しているオンラインチェックインの誘導となり、チェックインカウンターの混雑緩和や空港係員の業務効率化につながる。
こうしたサービスの利便性や実績が支持され、LINE通知メッセージの利用を申請し、承認を得る企業は年々増加、過去4年間で5倍以上に増えた(LINEヤフー調べ)。航空・観光分野では、日本航空(JAL)、クラブツーリズム、阪急交通社など大手企業も利用し、顧客接点を強化している。
そこでLINEヤフーは2025年6月、同サービスのリニューアルを実施。それまで22種類だった利用用途を大幅に拡充し、新しいAPIである「LINE通知メッセージ(テンプレート)」を用意した。従前のLINE通知メッセージでは、企業が作成した配信内容について、LINEヤフーによる事前審査が必要だ。LINEヤフーが用意したLINE通知メッセージ(テンプレート)を利用する場合は、審査が不要になる。よりフットワーク軽くサービスを利用できるようにした。
テンプレートは、現在、約100種類(2026年4月時点)を提供。用途は、予約完了・リマインド、料金の支払・購入、会員登録・サポートなど幅広い。観光関連企業が使いやすいテンプレートも多く、導入が広がっている。中村氏は「特に、タビマエや空港などのタビナカで使えるものが多い。企業課題やニーズに合わせて利用できる伸びしろがある」と観光分野との親和性の高さを示した。
例えば航空・旅行業界での利用が多いリマインド通知用のテンプレートは「搭乗用」や「乗車用」など、使い分けができるように設定されている。
テンプレートは現在約100種(2026年4月時点)。多様なカテゴリで航空・旅行業界をはじめ、幅広い企業が使える内容をそろえている
LINE公式アカウントとの併用でタビアトもフォロー、次回利用を促進
中村氏は、企業がLINE通知メッセージを活用することのさらなるメリットとして「LINE公式アカウントへの友だち追加(LINE公式アカウントのフォロー)を、自然な流れで促すことができる」ことをあげた。LINE通知メッセージは、すでに企業の商品やサービスを購入・利用しているユーザーに対して通知を配信するため、ロイヤルティーの高い友だちを集客できる。友だち追加後90日の定着率は82%(2024年実績、LINEヤフー調べ)と高水準だ。LINE通知メッセージ自体はマーケティング目的の利用はできないが、CRMを強固にする入り口として機能させることができる。
LINEヤフー コーポレートビジネスドメイン OA‧MINIビジネスSBU プロダクトマーケティング1ユニット APIビジネスディビジョン 中村宗樹氏
法人向けにLINEを活用したDXプランニングや運用支援などを担当している折原彩香氏も、LINE通知メッセージとLINE公式アカウントを組み合わせることで「リテンションにつながる活用ができる」と提案する。
中でも観光関連企業がLINE通知メッセージとLINE公式アカウントを併用するメリットとして、次の3点をあげた。
- 新たな通知手段の確立による業務効率の改善と、ユーザーの利便性向上の両立
- 通知後のマーケティング施策に向けた良質なユーザーの集客
- タビアトも継続的なコミュニケーションが可能となり、次回購入やリピート利用を促進
例えば、日本航空(JAL)では「予約したフライトのリマインドや手続きの締め切りに関する案内、遅延/欠便の連絡でLINE通知メッセージが活用されている」(折原氏)。搭乗をリマインドするメッセージのテンプレートでは、前日と出発前(国際線では出発3時間前、国内線では出発2時間前)の通知を用意。遅延/欠便の発生時にすぐに通知することで、空港係員の案内業務が軽減する上、ユーザーは慌てることなく対応できる。また、旅客がスムーズに搭乗ゲートに移動すれば、航空会社が目指す定時運航にもつながる。
航空業界におけるLINE通知メッセージの活用案の一例。旅行のカスタマージャーニーに沿ってリテンションを高め、次の予約につなげていける施策を打てるのは、LINEを活用したサービスならでは予約のリマインドという用途では、航空会社以外の観光関連企業の事例も多い。折原氏は、旅行会社やバス会社などでも利用されていることを紹介した。
例えば、高速バスの運行やバスツアーを主催する琴平バスでは、LINE通知メッセージを用いて乗車日の前日にリマインド通知を配信。その開封率は平均約70%(2022年6月時点、同社調べ)と高い。そして、通知を受け取ったユーザーの約70%(2022年6月時点、同社調べ)が、同社のLINE公式アカウントを友だち追加した。
「同社では、予約客が予約したことを忘れてしまい、直前での問い合わせが多く、その対策としてLINE通知メッセージを導入した。結果的に問い合わせの減少を実現した上、ロイヤルティーの高い友だち(LINE公式アカウントのフォロワー)の集客につながった。琴平バスでは友だちになったユーザーに、新プランやキャンペーンの情報などのメッセージを配信して関係を深めようとしている。LINE通知メッセージとLINE公式アカウントの相乗効果が出ている好例」(折原氏)。
LINEヤフー コーポレートビジネスドメイン OA‧MINIセールスSBU ソリューション推進ユニット DXプランニングディビジョン 折原彩⾹⽒
LINE通知メッセージで旅のサポートをし、さらにLINE公式アカウントでタビアトのフォローやコミュニケーションを通じて継続的な関係を構築し、次の予約につなげていく。「そういうサイクルができるのが、LINEならではの強み」と、折原氏はアピールする。
「そのトリガーとなるのが、LINE通知メッセージ」と中村氏は続ける。「受容されやすいサービスであり、顧客満足度やロイヤルティーの向上に効いてくるのを実感いただけるはず。日常になじんでいるLINEで、受け入れられやすい顧客体験の設計ができると思っている」と自信を示した。
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記事:トラベルボイス企画部



