LINEヤフー、「LINEミニアプリ」の新機能を続々、海外旅行関心層に絞り込み配信でクリック率177%向上、JALとも連携

LINEヤフーは、2024年11月26日、企業クライアント向けに広告事業の最新動向を伝える「LINEヤフーBIZ Conference 2024」を開催した。昨年、LINEとヤフーの統合時に発表された、両事業の法人向けサービスを連携して顧客起点を一気通貫させるプラットフォーム構想「Connect One」の進捗状況や次のフェーズ、広告事業の最新アップデートを発表。また、JALが登壇し、売上拡大から顧客体験の向上を図る活用方法を共有するセッションもおこなわれた。 ※上写真は、JALのセッションの様子。

「Connect One」とは、LINE公式アカウントを起点として、LINEヤフーのあらゆるビジネスソリューションを連携させ、企業と生活者をつなぐことで、ユーザーのLTV (顧客生涯価値)を作っていくプラットフォーム構想。

基調講演では、LINEヤフー上級執行役員マーケティングソリューションカンパニーCEOの池端由基氏が「ユーザーの消費行動は、メディアやテクノロジーの進化、さらには価値観の多様化によって、これまでの認知、検討、購入といったファネル的行動から、瞬間、瞬間の感情の変化によって変わってくる」としたうえで、「LINEヤフーの複数あるビジネスソリューションが連携するだけではなく、LINEヤフーのメディアやサービスを通して、企業クライアントと1億人のユーザーとの最適な出会いや、最高の顧客体験というものをつくっていきたい」と意欲を示した。

LINEヤフー上級執行役員マーケティングソリューションカンパニーCEOの池端由基氏

企業とユーザーをつなぐ機能が続々

現在、アクティブなLINE公式アカウント数は49万以上。1ヶ月に送信されるメッセージ数は、2024年10月で前年比111.8%の72億件まで拡大している。その中で、2025年以降、新たにLINE通知メッセージの利用用途を大幅に拡大していく。現在の決済・料金、発送、サポート、予約に加えて、抽選結果、金融手続き、アンケート・顧客管理、クーポン・ポイント、安全・セキュリティなどに用途を拡大していく計画だ。

また、企業がLINE上で自社サービスを提供できる「LINEミニアプリ」を大幅にアップデートする。これまでは主にオフラインサービスでの活用が進んでいたが、今後はゲームやEC、メディア、エンターテイメントなどオンラインサービスでの活用を促進していく。池端氏は記者会見で「これまでは、様々な条件やステップのようなものを設けていたが、今後はより多くの業種や業界向けに提供していく」との方針を示した。

そのために、「LINEミニアプリ」では、「認証済ミニアプリ」と「未認証ミニアプリ」の2つに分類する。「認証済ミニアプリ」では様々な拡張機能の利用が可能になる一方、「未認証ミニアプリ」審査不要で素早くリリースすることが可能になる。

「認証済ミニアプリ」では今後、アプリ内課金、LINEミニアプリストアへの掲載、LINEやYahoo!検索でのアクセス導線の強化、LINEミニアプリ内での広告掲載やレベニューシェアなどの機能を追加していく予定。

一方、「未認証ミニアプリ」について、池端氏はユーザーのセキュリティ保護のために「その内容についてモニタリングを強化していく」と説明した。

LINEヤフーの今後の展開について説明する池端氏

さらに、LINE広告とYahoo!広告の統合では、ユーザーアカウント連携によるデータ相互利用を進めたうえで、2025年以降に広告プラットフォームの統合を実現していく。LINEとYahoo! JAPANのアカウント連携済みのID数は、現時点で2600万を超えた。池端氏は「非常に順調に進んでいる」との認識を示し、「これが進むと、LINEとヤフーを横断したデータ活用、それに基づくマーケティングや広告にも広がりが出てくる」と説明。よりユーザーにあった広告配信が可能になり、発見からアクションにつないでいく広告ツールとしてさらなるアップデートを進めていく考えだ。

このほか、2025年度からは「Business Profile」機能の提供も開始する予定。池端氏は「メディアサービスが変わっていき、ビジネスソリューションがつながり、データも繋がっていくが、ユーザーと企業が出会う瞬間は1対1な関係。その企業の顔としてBusiness Profileを提供していく」と話す。

具体的には、LINEヤフーで展開しているサービス情報を集約した情報ポータルとして提供。さらに、Business Profile上で予約や販売などのアクションまで完結させていくほか、Business Profile上の情報がLINEヤフーのメディアと連動してユーザーに届くようにする。

池端氏は「生活者の価値観が多様化し、これまでの一般的な消費者層はほぼ意味をなさなくなっている。マーケティングの世界では、それは大きな障壁になる。消費者が見えにくくなっている中、LINEヤフーのサービスやブロダクトがその答えの一つになる」と今後を展望した。

JAL、「Yahoo! JAPAN」と「LINE」の横断的データ活用に手応え

「LINEヤフーBIZ Conference 2024」では、企業の活用事例として、JALのLINEヤフーを活用したマーケティング戦略についてのセッションも開催された。

JALは現在、ヤフー広告、LINE広告、LINE公式アカウントの3つを活用。ヤフー広告とLINE広告は、認知から興味関心といった潜在顧客に向けた部分を担い、LINE公式アカウントについては、潜在顧客からロイヤル顧客までファネル全体を網羅している。LINE公式アカウントではまもなく1000万人の友だちに達するという。

その中で、新たに「統合分析レポート」の活用も始めた。これは、LINEとYahoo! JAPANのデータ横断で活用し、見込み度が高い顧客の属性の発掘、LINE広告やヤフー広告に接触したユーザー、またはLINE公式アカウントの友だちになったユーザーに対する影響を可視化できるもの。

JALは、Yahoo! JAPANのデータから国内旅行と海外旅行それぞれの関心層を抽出。合わせて、LINE公式アカウントに国内旅行、海外旅行に関心を持っている人がどれほどいるのかを分析した。その結果、国内旅行関心層は15%、海外旅行関心層は6%だったという。

Yahoo! JAPANのデータを使用して、LINE公式アカウントで配信する仕組みを活用。海外旅行関心層にターゲットを絞って、LINE公式アカウントから海外旅行情報を配信したところ、クリック率は177%、CVRは117%向上した。

(左から)LINEヤフービジネスデザイン統括本部の仮屋崎亨氏、JAL Web販売部1to1マーケティンググループの中切友太氏、 JAL Web販売部1to1マーケティンググループの小島史也氏

このほか、2024年9月からは、JALマイレージ会員IDとLINEユーザーIDを連携することで、LINEからのログインも可能にした。さらに、航空業界として初めて、個々の予約内容に基づいた案内サービスをLINE通知メッセージを通じて提供する取り組みも始めた。

JAL Web販売部1to1マーケティンググループ主任の小島史也氏は「JALが理想としているのは、タビマエからタビナカ、タビアトまで一貫してユーザーにとって便利で快適な旅行体験を提供すること」と話し、LINEヤフーとの協業に手応えを示した。

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