ハワイの観光が転換期、観光局トップが語る「環境保全」と「観光産業の発展」の両立

世界から、日本からの旅行者に人気の旅行先ハワイ。そのハワイの観光産業が転換期にある。ハワイ州では、2045年までに消費電力100%を再生可能エネルギーで賄うことを州議会が採択。米国全土のテスト事例として実践されるもので、採択によって環境保全と観光の発展という2つのミッションを両立させる方策を練るタイミングにきている。

このほど、観光産業の成長を牽引するハワイ・ツーリズム・オーソリティ(HTA)からトップらが来日し、その取組みや考え方、今後の方針などについて語った。HTAは2015年6月からトップが入れ替わり、新体制で新たな取り組みを始めたところだ。


IMG_9755HTAプレジデント兼CEOのジョージ・シゲティ氏(写真右)は、今後の観光局としての取り組みでは「“バランス”が重要」と明言する。バランスの中で考慮されるのは環境、現地文化、地元コミュニティ、受入れキャパシティなど多岐にわたる。

このため、観光客の増加や消費額の向上という目に見えた数値目標の設定だけにとらわれることなく、「大きい絵でかんがえていくのが重要(シゲティCEO)」との認識だ。今後、こうした考えのもと、HTAは産業界の既存パートナーや現地住民とともに観光産業の在り方を協議していくことになる。


IMG_9767その中で、一番重要視するのが「ハワイのアイデンティティ」と話すのはCOOのランディ・バルデモア氏(写真右)。「ハワイのアイデンティティ」とは、日本人のおもてなしと同様に旅行者がハワイに期待するアロハスピリッツの原点だ。

バルデモア氏は「素晴らしい旅行者へのサービスをしていて、旅行者にもコミットメントしている」として変わらないハワイの魅力を維持していく重要性を強調した。

今後、持続可能な環境保全への動きが活発になるハワイでは、エコツーリズムの発展や環境保全分野の視察旅行が増えるなど、新たなテーマの市場拡大も考えられる。直近では、来年9月にIUCN(国際自然保護連合)の第6回世界自然保護会議を開催。世界中から約8000名の自然保護、環境保護のトップリーダーが集まる予定だ。HTAとしては、こうしたトレンドもとらえながら、ターゲットとする新たなビジネスセグメントを模索する。


シェアリングエコノミーもトレンドに、新たな旅行者に対応するアイディアを

このような状況のなか、シゲティCEOは旅行者が新しいスタイルの旅行者になっていることを指摘。現地に到着してからアクティビティを探すミレニアム世代といわれる若者旅行者が増えており「スマホやテクノロジーを駆使する新しい旅行者ととらえている(シゲティCEO)」という。

タクシー配車のウーバー、個人宅に泊まるAirbnbなどシェアリングエコノミーの活用も活発に。世界の潮流となっているシェアリングエコノミーについては「旅行者のデマンドがあって、交通のありかた、ロッジの在り方がかわっていく。一方で、これを取り入れることでプラスもマイナスもあることはわかっている」として、今後、こうしたトレンドを把握しながら観光産業の発展への取り組みを協議していく方針だ。

バルデモアCOOは、「新しい市場も台頭している今、観光産業が昔からのやり方の継続だけでなく、イノベイティブな発想でトライ、探求をしていく姿勢が重要。この辺りをパートナーとともに、しっかり協議をしていく」と意気込んだ。

なお、この4年の間、ハワイへの旅行者は旅行者数・消費額ともに新記録の更新をつづけている。日本人旅行者は2014年が151万人、消費額は24億ドルに達した。一方、2015年の日本人旅行者数は、1月から7月の累計で1.4%減の82万2600人。海外旅行全体が低迷する中で厳しい状況が続いているが、ハワイ州観光局は年末にかけての旅行者増に期待する。


参考記事>>>ハワイ・オアフ島で「レジ袋」使用禁止に、リゾート環境保全で

トラベルボイス編集部:山岡薫

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