世界の航空旅客数、2016年は過去最高の37億人に成長、6.3%増で「力強い」伸び ―IATA調査

IATA(国際航空輸送協会)は、2016年暦年での世界の航空需要統計を発表した。それによると、有償旅客の輸送距離となる有償旅客キロ(RPK)が前年比6.3%増と、過去10年間の成長率の平均値(5.5%)を上回るなど、「引き続き力強い成長」(IATA)を維持。座席利用率(ロードファクター:L/F)の年間平均は同0.1ポイント増の80.5%で、過去最高。供給座席量となる有効座席キロ(ASK)は前年比6.2%増となった。

IATAによると、昨年は欧州、北米などで年後半に需要回復が見られた。特に12月の輸送実績が好調で、前年同月比8.8%増に。同月の供給は同6.6%増となった。

アレクサンドル・ド・ジュニアックIATA事務総長兼CEO(最高経営責任者)は「昨年、新たに開設された路線は700以上。コネクティビティが充実した上に、往復運賃の平均価格は44ドル安くなり、過去最高の37億人が空を旅した。航空需要は引き続き拡大基調にあるが、各国政府の課題は、マーケットの成長に対応したインフラ拡充と、成長を損ねることのない規制や税制への取り組み」と指摘した。

さらに「航空産業は、人々に自由な移動の手段を提供し、世界の相互理解とイノベーション、新しいビジネス創出に貢献してきた。旅行の自由を妨げるような障壁、保護主義には反対だ」(同事務総長)としている。

地域別トップは中近東、欧州キャリアは後半15%増に

また昨年の国際線の旅客数は、世界全体で前年比6.7%増、供給座席量(ASK)は同6.9%増に。旺盛な需給のなか、座席利用率は微減となり、同0.2ポイント減の79.6%だった。

このうちアジア太平洋地区の航空会社による実績を見ると、旅客需要は同8.3%増となり、過去2番目に高い伸び率に。5年間の平均伸び率(6.9%)をも上回った。供給量は同7.7%増。座席利用率は同0.4ポイント増の78.6%だった。

欧州の航空会社では、国際線利用客数は同4.8%増、供給5.0%増に。座席利用率は同0.1ポイント減ながらキャリア地域別で最も高く82.8%だった。前半の旅客数はマイナスで推移したが、6月以降、前年比で平均15%増に転じたことが奏功した。

北米の航空会社でも、欧州と同様、夏以降に需要が伸びたが、牽引役は大西洋ではなく、太平洋路線。北大西洋路線は横ばいで推移した。年間の有償旅客キロは2.6%増、座席供給は3.3%増。座席利用率は同0.5ポイント減・81.3%だった。

昨年、世界で最も大きく需要を伸ばしたのは中近東の航空会社で、地域別の伸び率トップの座を5年連続で維持。有償旅客キロは同11.8%増、座席供給は13.7%増と、需要を上回る路線拡大を継続。座席利用率は同1.3ポイント減の74.7%となった。

南米の航空各社は、有償旅客キロが同7.4%増、供給4.8%増。座席利用率は同1.9ポイント増・81.3%。最大の市場であるブラジルで政治・経済の先行き不透明感はあるものの、全般的に国際線需要は好調に推移した。

アフリカの航空会社は、有償旅客キロが同7.4%増となり、2012年以来の好調な実績に。アジアおよび中近東路線が牽引役となった。供給の伸び率は需要増にぴったり重なり、座席利用率も前年と同じ67.7%だった。

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