ラグジュアリー市場の最新トレンド調査発表、高級品の購入タイミングは旅行中が約半数、求められるデジタル体験や個人化対応

デロイトトーマツが発表した「世界のラグジュアリー企業ランキング」で、旅行・観光分野がラグジュアリーマーケットの重要な成長機会として紹介された。

同社は2017年2月に、11か国1300人以上のラグジュアリー消費者を対象に行なった「購買行動に関する調査」を実施。このなかで、ラグジュアリー品購入のほぼ半数が、旅行中の消費によるものという結果となった。その割合は国外市場が31%、空港滞在中が16%で、特に新興市場の消費者は旅行中の購入が60%にまで高まるという。

デロイトトーマツ「世界のラグジュアリー企業ランキング」より

デロイトでは同調査をもとに、ラグジュアリー品への支出は過去5年間、比較的堅調に推移していると説明。市場別に支出を増やした消費者の割合を見ると、新興市場に分類する中国、ロシア、アラブ首長国連邦(UAE)は70%以上で、成熟市場(EU、米国、日本)の53%を上回った。ラグジュリー市場の成長は引き続き、新興市場の消費者が牽引しているとする。

ただし、最近12か月のラグジュアリー品の購入傾向では、前年より購入を増やした消費者の割合が約半数に減少し、変化なしの回答は43%に増加した。このことから、成長はわずかながら減速しているとの考えも提示。ラグジュアリー市場の成長機会として、旅行・観光分野への期待を示した。

ラグジュアリー市場もデジタル体験へ

デロイトでは調査結果から、ラグジュアリー市場における変化も指摘。2017年の主要トレンドとして、デジタル体験へのシフトやパーソナライゼーションへの対応の2つを提示した。

デジタル体験へのシフトについては、自国のラグジュアリー市場の発展に関する質問に「Eコマース・M(モバイル)コマースがさらに普及する」が48%と約半数、「ラグジュアリー品とテクノロジーとの連携が強まる」も37%と、3分の1以上が意識している結果に。3DプリントやAI(人工知能)ロボティクス、AR(拡張現実)・VR(仮想現実)など新たなテクノロジーが、ラグジュアリー業界にイノベーションを起こすとの回答は61%となった。

この市場の期待に対し、デロイトではラグジュアリー企業の重要な課題の一つに、「品質を維持しつつ、デジタル主導の流通モデルへと移行すること」があると指摘。調査によるとラグジュアリー品購入の63%が現在も実店舗で行なわれているが、市場別で見ると成熟市場は実店舗での購入割合がより高く、新興市場では成熟市場よりPCまたはモバイル経由での購入割合が高い。世代別で見れば、ミレニアル世代は42%がPCまたはモバイルでラグジュアリー品を購入している。デロイトではラグジュアリー販売でも他の市場と同様、オムニチャネルが支配的モデルとして台頭すると予想している。

デロイトトーマツ「世界のラグジュアリー企業ランキング」より

また、パーソナライゼーションについては、45%がパーソナライズされた商品・サービスを求めていると回答。デジタルチャネルが大規模かつ高品質なパーソナライズコンテンツのニーズを生み出しつつあるとし、ラグジュアリー企業のなかにも消費者との対話を通じたマーケティングプロセスへの取り組みが始まっていることを紹介した。



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