世界のクルーズ旅行者を引き付けるカリブ海クルーズの魅力、世界最大客船ハーモニー・オブ・ザ・シーズに乗船してきた(2)

日本でクルーズといえばシニアの高額旅行のイメージがあるが、世界では幅広い世代が楽しめる旅行として親しまれている。今回乗船したロイヤル・カリビアン・インターナショナル(RCI)のハーモニー・オブ・ザ・シーズのカリブ海クルーズでは、熟年・シニア世代から働き世代、その子どもたちまで、船旅を思い思いに楽しんでいた。世界のクルーズ旅行者の3割超が出かけるカリブ海クルーズの魅力は何か。実際に乗船して体感した魅力を紹介する。

今回の西カリブ海クルーズでは、アメリカン航空でマイアミへ飛び、マイアミから車で約50分陸路を移動。フォートローダーデール発着でラバディー(ハイチ)/ファルマウス(ジャマイカ)/コスメル(メキシコ)の3つのカリブの国々を、7泊8日の日程で訪れた。

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カリブ海のプライベートビーチに楽々アクセス

日本人にとってカリブ海は、その海の美しさや「カリブの海賊」のイメージなどで憧れを持つデスティネーション。しかし、距離の遠さや情報の少なさもあり、実際の旅行者数は決して多くはない。ところがクルーズなら、船が各地に連れて行ってくれるので、旅行の不安を除き、準備の手間を省ける気軽さがある。

この西カリブ海クルーズは、海をはじめとする自然に加え、歴史・文化、アクティビティなど、多様性に富んだコースだ。

まずはハイチのラバディー。RCIが半島の一部を所有し、乗客用に開発したプライベートビーチリゾートだ。ここでは、白砂ビーチとエメラルドグリーンの海でのんびり過ごす、カリブ海らしい休暇体験ができる。

ハイチのラバディーに停泊するハーモニー・オブ・ザ・シーズ。島内アトラクションで一番人気の巨大ジップラインでは、船と半島を一望

徒歩で、約1時間半でぐるりと回れる大きさのリゾートには、船から直接徒歩でアクセス可能。縦横に2本の無料トラムが運行され、リゾート内4つのビーチエリアへのアクセスもしやすい。設置されたビーチチェアで日光浴をしたり、中央のビーチバレー場でアクティブに遊んだりと、過ごし方は人それぞれ。船の乗り降りは自由なので、日中の暑いときはエアコンの効いた船内でひと休みをして、ビーチに戻るという乗客も。

島内には雰囲気が異なる4つのビーチがある。船が見えるこのビーチは、無料で利用できるチェアのほか追加料金制のガゼボもある

有料の寄港地観光も用意されていて、一番人気は「ドラゴンズ・ブレス・フライトライン」。約150メートルの高さから、停泊中の客船の方へと下るジップラインだ。その距離なんと約800メートル。時速60キロから80キロの速さでカリブ海の上を駆け抜けるのは、想像以上に爽快な体験だ。

昼食時には無料のバーベキューランチが提供され、飲物コーナーではソフトドリンクやアルコールも販売。これらは船内のクルーズカード「シーパスカード」での購入が可能だ。また、マーケットでは、ラム酒やコーヒー、伝統民芸品など、ハイチらしさに触れられる。マーケットでの買物は現金、またはクレジットカードが必要だ。

アクティビティや歴史観光、カリブの多様性を感じる寄港地

カリブといえばビーチや海の印象が強いが、実はカリブは海以外の自然や文化、歴史など、変化に富むデスティネーション。例えば、ジャマイカのファルマウスでは、有料の寄港地観光で人気観光地、ダンズ・リバー・フォールズの滝登りをはじめ、かつてのプランテーション(大農場)見学、英国植民地時代にサトウキビやラム酒の貿易で栄えたファルマウスの街観光など、地元文化に触れる機会も。

RCIの総代理店であるミキ・ツーリストによると、ファルマウスでは船主催の寄港地観光ツアー以外にも、港から街中を周遊するトロリーや近郊のビーチへの往復シャトルもあり、観光の選択肢が多い。これらのチケットは、港ターミナル内の売り場で販売しているという。

ジャマイカの寄港地観光で一番人気のダンズ・リバー・フォールズ。
早々に売切れるのが珍しくないので、乗船前の予約がおすすめ

もう一つの寄港地、メキシコのコスメルでは島内、または本土のトゥルムなどでマヤ文明の遺跡を見るツアーや、セノーテ観光、透明度で定評のある近郊の海でのダイビング、シュノーケリングなどが、有料の寄港地観光で設定されている。

カリブ海への1度の旅行で、これだけ印象が異なる体験ができるのも、“目覚めれば次の街”のクルーズならでは。寄港地観光は任意だが、ツアーの現地ガイドに質問をしながら親睦を深めれば、より寄港地に対する愛着が深まる。カリブ海地域を旅行した実感が強まるだろう。

また、ファルマウスとコスメルでは、港の整備にも注目したい。港の門前に、免税店、土産店などがきれいに整い、現地に降り立った時の印象が良い。訪れた観光地はいずれもゴミなどは見当たらず、トイレもきれい。清掃管理が徹底されていた。

さらに同船では、船内やセキュリティ場所での混雑回避のため、寄港地観光の集合場所は船内ではなく、港の指定場所に各自で集合する場合が多いが、その場所も分かりやすい表示がされていた。もし不安に思ったら、現地の係員にチケットを見せれば、その場所を案内してくれる。寄港地観光でも、効率的なオペレーションが行き届いている印象だ。

実は若者世代の参加が増えているクルーズ、勧めたい理由

冒頭に書いたように、日本ではクルーズはシニア向けの高額旅行のイメージが強い。しかし、今回のクルーズにはシニアはもちろん、家族旅行や若いカップルなど幅広い年代が乗船していた。実はミキ・ツーリストによると、日本人旅行者でもクルーズを利用する若年層が増えているという。施設やアクティビティ、観光のバリエーションを踏まえれば、全世代に勧められるクルーズであるが、今回はあえて「若い世代こそクルーズがぴったり」と提案したい。

その理由の1つは、体力があるからこそ大型客船の魅力を存分に楽しめるから。スリル満点のスライダーから滑り降りてくる元気なシニアもいるけれど、日中にアクティビティや寄港地観光に参加し、夜はショーやバー、カジノなど船内をフルに遊び尽くすには体力がいる。そんな欲張りな旅行はぜひ、現役世代にこそ挑戦してもらいたい。特にカリブ海クルーズは、船で楽しむ終日航海日と寄港地観光日のバランスの良さも、クルーズファンの支持が高い理由だそうだ。

ハイチ・ラバディーの巨大ジップラインは終盤、海の上すれすれに通る

2つ目は、ハネムーンにぴったりの旅行だから。日本では特に働き世代は1週間以上の長期休暇はなかなか取得しにくいが、一生に一度のハネムーンなら休暇申請の大義名分がある。この機会に、日数が必要な旅行先で特別感のあるカリブ海に旅行をしてほしい。日中の遊びに事欠かず、夜は有料レストランやバー、ショーなどで感情を共有しながら関係を深められるクルーズは、ハネムーンにぴったり。旅の初心者でも失敗の少ない旅行になるはずだ。

スペシャリティレストランは記念日などで利用すると特別感が増す。「150セントラルパーク」はエレガントな雰囲気で、テーブルサイドで仕上げる料理も多い。ウェエイターとのコミュニケーションも印象的な体験に

3つ目は、船内で高速Wi-Fiが使えるようになったこと。RCIでは高速大容量のVOOMを導入しており、動画再生やビデオ通話に対応できる容量のプランも購入できる。「働き方改革」「テレワーク」などのキーワードがメディアで散見される今、「旅行中に少しでも業務ができれば休暇が取得しやすい」という考えはこれから出てくるのではないか。

実はクルーズは、同行者との別行動がしやすい旅行。陸上に比べて行動範囲が船内のみとわかっているクルーズは、事故や事件に巻き込まれるような心配が軽減され、安心感がある。RCIの船内アプリ「ロイヤルiQ」にはチャット機能(要追加料金)もあるので、広い船内ではぐれてしまったり、別行動をしていても、その場で連絡を取りあうことができる。ただし英語表記のみなので、日本語でのやり取りはWi-Fiプランを購入し、いつものメッセージアプリを利用するのが便利だろう。

船内の寄港地観光デスク。スタッフによる受け付けもあるが、タブレットで予約購入ができる

ニーズが高まるカリブ海クルーズ

国交省が発表した2016年の外航クルーズ(海外を旅程に含むクルーズ)の日本人旅行者数は15.5%増の15.4万人で、同年の日本人の海外旅行数の伸び率4.8%増を大きく上回った。このうち、地中海は14.5%増の2.12万人、欧州(地中海除く)は24.2%増の2.72万人と2ケタ増だが、カリブ海は100.9%増の1.32万人で前年の倍以上に成長。「フライ&クルーズ」のなかでも、カリブ海のニーズは高まっている。

ソラリウムでくつろぐ乗客たち。寄港地に着いても下船しなかったり、すぐ戻って船内で楽しむという乗客は実は多い。クルーズ旅行の楽しみ方は人それぞれ

一方、前回のレポートでも述べたように世界のクルーズ旅客数の統計では、カリブ海クルーズが3割超で圧倒的なシェアを誇る。カリブ海クルーズを発祥とするRCIでは2018/2019年シーズン、さらにカリブ海のクルーズを増強させる計画だ。

まず、ハーモニー・オブ・ザ・シーズと同型のオアシス・オブ・ザ・シーズ、アリュール・オブ・ザ・シーズの3つの世界最大客船を、カリブ海に通年で配船。さらに2018年4月にデビューする4隻目の世界最大客船シンフォニー・オブ・ザ・シーズも、夏季の地中海クルーズの後、カリブ海クルーズの本格シーズンとなる冬季はカリブ海クルーズに配船する。つまり、2018年冬季には、カリブ海で4隻の世界最大客船が揃うことになる。旅行会社には、販売チャンスが訪れている。

ハイチのラバディーではいたる所で、音楽やダンスが披露された。カラフルな衣装がカリブ気分を盛り上げる

取材協力:ロイヤル・カリビアン・クルーズ日本総代理店


(株)ミキ・ツーリスト クルーズカンパニー

取材:山田紀子

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