空港の混雑緩和へ新ソリューション、オリンピック選手村など空港外でチェックイン可能に、アマデウスが日本で本格展開へ

旅行業界向けにITソリューションを提供しているアマデウスは、新たに開発した空港向けソリューション「Passenger Processing Suite (PPS)」を日本市場で本格的に展開する。同社が行ったメディアラウンドテーブルでアジア・パシフィック・エアポートIT部門代表のサラ・サミュエル氏が明らかにした。このソリューションは、空港以外の場所でも簡易に外部チェックインデスクを設置し、フライトのチェックインや手荷物預け入れを可能にするもの。すでにオーストラリアなどで導入されている。

アマデウスの最新データでは、2019年9月に向けた日本を目的地とした旅行検索数が今年9月までと比較して77%増加。サミュエル氏は、2019年のラグビー・ワールドカップや2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは訪日外国人がさらに増加し、空港の混雑も激しくなると見込まれるとしたうえで、「PPSによって、旅行者は空港以外の場所でチェックイン手続きを済ませることで、手ぶらで空港まで行くことができる。また、空港側にとっても、カウンターや入国審査での長い列を解消し、手続きの処理時間を短縮することが可能」と利点を説明した。

サラ・サミュエル氏

サミュエル氏によると、PPSの活用場所としては、イベント会場や主要駅のほか、たとえばオリンピック・パラリンピックの選手村など、オーバーサイズのスポーツ用具や取り扱いに注意が必要な機材を預ける必要がある場合などを想定。まずアマデウスと空港運営会社が契約を結び、その後空港運営会社が各航空会社と運用に向けた合意を形成する。一義的な契約者は空港運営会社になるが、コストの負担については両者間の取り決めになるという。

アマデウスは、PPSのために「Amadeus Airport Common Use Service (ACUS)」を開発。アマデウスのデータセンターとクラウドで接続されたプラットフォーム上で一元管理するため、航空会社にとってより効率的でコスト効果の高いチェックイン手続きが可能になるという。オーストラリアでは、ヴァージン・オーストラリア航空がPPSを導入。オーストラリア・フットボール・リーグ(AFL)で使われる機材や備品を取り扱っているという。サミュエル氏は、具体的な空港名は避けたものの、「日本の空港とも話を進めている」と明かした。

ヴァージン・オーストラリア航空の実例

NDC、2020年以降の完全統合を目指す

このほか、メディアラウンドテーブルではトラベル・チャネル・トラベル・コンテンツ・ソーシングEVPのアンナ・コーフッド氏が、国際航空運送協会(IATA)が推進するNDC(New Distribution Capability)の取り組みについて説明。「テクノロジーの進化によって旅行者の行動が大きく変わっており、いまは旅行者みずからが決定を下す時代」との認識を示したうえで、そのニーズに応えるために「旅行会社も進化する必要がある」と話し、NDCへの対応を求めた。

アマデウスはNDCアグリゲーターとしてレベル3認証を取得しており、NDCプラットフォームの構築に注力しているところ。今年4月にはNDCの基本情報をウェブサービスとして展開。異なる予約方法を統合された1つの検索で対応できるようにした。今後については、2019年第2四半期にはNDCの機能を拡充し、旅行会社向けに開発されたブラウザベースの旅⾏予約プラットフォーム「Selling Platform Connect」への統合を進め、2020年以降にすべてのコンテンツを1つのフローで提供できるようにしていく計画だ。

アンナ・コーフッド氏

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