フェイスブックの新デジタル通貨「リブラ」、ブッキングやウーバーも参画方針、旅行サービスのデジタル決済は急務

米国オンライン・プラットフォーム企業の間で、デジタル通貨で連携する動きが加速している。

ブッキングドットコムとウーバーは2019年6月20日、マスターカード、ビザ、ペイパルなど金融・決済サービス各社と共に、新しいデジタル暗号通貨「リブラ(Libra)」を支持する方針を明らかにした。

リブラは、フェイスブックがこのほど構想を発表したブロックチェーン活用の新デジタル通貨。フェイスブックでは、リブラ専用のデジタルウォレット「カリブラ(Calibra)」を2020年から提供開始する計画で、MessengerやWhatsApp、専用アプリなどを使い、eコマースにおける各種支払いや送金、貯金をおこなう。

ウォールストリート・ジャーナル報道によると、フェイスブックでは約10億ドルを投じ、リブラを使った金融サービスを運営するコンソーシアムを設立する計画で、賛同する各社も、それぞれ1000万ドルほどを投資する見込み。

一方、オンライン各社にとってデジタル決済の利用拡大は、クレジットカード決済にかかるコスト削減につながるという側面もある。スキフト・リサーチの試算では、ブッキングホールディングスは約2億ドル、エクスペディア・グループは約5億ドルをクレジットカード手数料として負担している(カード手数料が1%で推計した場合)。

ブッキングホールディングスでは、今年初めに発表した年次レポートでも、新しい決済システムの必要性を指摘し、「将来的な課題の一つは、新たなペイメントのソリューションの検討。旅行サービスのサプライヤーや飲食店が、新しい決済手段を受け入れていない場合でも、当社と顧客ユーザーの間では、これを可能にする必要がある」との考えを明らかにしていた。

また旅行需要の拡大が続く中国などアジア市場の取り込みにおいて、ライバル企業に対抗するためには、デジタル決済への対応が急務であることも一因だ。

フェイスブックではカリブラについて「利用者はテキストメッセージを送るのと同じくらい簡単・気軽に、スマートフォンからほぼ誰にでも、無料あるいは少額でリブラを送ることができる」と説明。将来的には公共交通機関の利用にも拡大し、現金や定期券が要らない移動サービスを利用者や企業に提供したい考えだ。

デジタル通貨に対する不安材料の一つ、セキュリティ問題については、銀行やクレジットカードと同じ認証・詐欺防止プロセスを採用し、自動化されたモニタリングシステムで詐欺行為を検知・防止する。携帯電話の紛失や、パスワードを忘れた場合に備えて、専任のオンラインサポート体制も用意する。

またプライバシー保護では、原則として、利用者のアカウント情報や金融情報が、フェイスブックや系列企業のターゲティング広告に使用されることはないとしている。

カリブラ(Calibra)の利用イメージ:フェイスブック報道資料より

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