海外旅行者受け入れ再開で揺れるギリシャ、感染リスク払拭できず、強制検査や隔離措置など入国規制は維持へ 【外電】

(写真:AP通信)

ギリシャ政府は今夏、すべての国からの観光客を受け入れる準備を進めているが、ハリー・テオハリス観光大臣は依然として慎重な態度を崩していない。

観光大臣はAP通信とのインタビューで「すべての観光客を迎え入れたいが、そうするためには、専門家や国際機関の判断を待たなければならない」と語っている。

ギリシャは早々とロックダウンを強行したことが功を奏して、ヨーロッパのどの国よりも感染者数を低く抑えることに成功した。6月2日現在の感染者数は2900人で死亡者は179人。過去24時間で新規感染者はゼロという状況だ。

ギリシャは10年にわたる財政危機から復活したものの、新型コロナウイルスによって1四半期分のGDPが吹き飛んだ。ギリシャ政府は、海外からの観光客を呼び込むことで、経済を浮揚させようと躍起になっているが、観光プロモーションを推進しながらも、新たな感染を持ち込ませないようにするという微妙な舵取りが必要になってくる。

実際、6月1日にはカタール・ドーハからの便で12人の陽性者が見つかり、ギリシャ当局は即座に6月15日までカタールからの便の受け入れを中止することを決めた。現在、ギリシャに到着する便の搭乗者全員がPCR検査が求められ、結果が出るまで、指定されたホテルで待機することが義務付けられている。

ある感染症専門家は、「ギリシャは、収束に向けた軌道に乗っている。もし新たな感染者が外から入らなければ、1ヶ月以内にこのウイルスはギリシャから消滅するだろう」と明かすが、「しかし、海外から観光客を受け入れれば、確実に新規感染者は出る」と警鐘を鳴らした。

ギリシャ政府は、観光客受け入れの再開を2段階で進める計画だ。まず6月15日まではアテネと北部のテッサロニキの空港に限り、7月1日からはすべての空港で受け入れを許可する。

入国時の規制については、5月末に、指定した29カ国からの乗客に対しては、全員への強制的な検査や隔離は行わず、無作為検査にとどめ、隔離も行わないと発表したが、その後、その決定を撤回。対象を国ではなく空港に変更するとともに、これまで通り、指定空港からの旅行者であっても強制検査を実施し、陰性であれば7日間の自主隔離、陽性であれば14日間の監視隔離を行うことを決めた。

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