米国で観光産業の人材不足が深刻に、一時解雇の従業員が戻らず、需要回復の足かせになる恐れも

米国では、ワクチン接種が進み、規制も緩和されていることから、今夏のバケーション需要が高まると期待されている。その一方で、観光業界での深刻な労働力不足は市場回復の足かせになる恐れがある。AP通信が米国の観光業界の最新動向を伝えている。

人手不足は、特にホテルのハウスキーピングやビーチのライフガード、レンタカー業界で深刻だ。1年前、ロックダウンによってホスピタリテイ業界では多くの従業員を一時解雇せざるを得なかったが、観光市場が回復の兆しを見ている中でも、現場に復帰せず、他業種に転職した人も多い。

米政府は、新たに週300ドルの失業者支援の拠出を決めた。多くの経営者は、その影響もあると非難している。

一方、ある労働組合の幹部は、ホスピタリティ業界の一部の経営者は、解雇した従業員を呼び戻すのではなく、低賃金で新しい労働力をまかないたいと考えていると話す。

そのような雇用環境のなか、フロリダアトランティック大学が今年初頭に4000人の旅行・観光労働者に行った調査では、多くの人が高賃金で安定した職場環境を見つけて、すぐにホスピタリティ業界から離れてしまう実態が明らかになった。

調査を行った同大学観光マネージメント・プログラム・ディレクターのピーター・リッチ氏は、「旅行・観光業界は変化の時期を迎えている。従業員を惹きつけるために、より良い賃金と福利厚生を提供することを考え直す必要がある」と警告する。

フロリダ州デルレイビーチのブティックホテルでジェネラルマネージャーを務めるキャシー・バレストリエール氏は「業界は、目を覚ます時が来ている」と危機感を表す。このホテルは、スパでは新たな人材を確保することができたが、人材不足のためホテルの朝食は中止し、ブールサイドのバーも閉鎖。マネージャーとメンテンナススタッフが客室清掃を兼務している状況だ。

メイン州で最大の遊園地ファンタウン・スプラッシュタウンUSAは、5月最終週の週末に営業を再開するが、十分な労働力を確保できないために、営業時間を短縮したうえで、週5日の営業にせざるを得ない。

東海岸を中心に事業を展開するキューバレストランチェーンは、人材確保のために、賃金を上げ、英語やスペイン語の学習機会や資産運用の支援などを用意しているが、雇用状況は依然として厳しいままだ。

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