日本政府観光局、サステナブル観光への取り組みを本格化、「環境」「文化」「経済」で地域に貢献

日本政府観光局(JNTO)は、ポストコロナの観光を見据えて、新たに「SDGsへの貢献と持続可能な観光(サステナブル・ツーリズム)の推進に係る取組方針」を発表した。昨年末に策定したが、今年に入り世界中でワクチン接種が加速し、旅行市場の回復も見えてきたことから発表したもの。

JNTO理事の金子正志氏は定例会見で、コロナ禍で旅行者のサステナビリティに対する意識が高まっているとしたうえで、「これからの観光は、環境への負荷や悪影響を最小化する形で回復し、旅行者から選ばれる観光地になるために、地域全体でサステナブル・ツーリズムを推進していく必要がある」と話し、方針策定の背景を説明した。

JNTOは、サステナブル・ツーリズムを地域の「環境」「文化」「経済」の保護と発展への貢献と位置づけ、SDGsの取り組みを進めるとともに、サステナブル・ツーリズムの観点から地域の観光コンテンツを整理し、海外に発信していく。

また、金子氏は、旅行者が旅先での行動に責任を負う「レスポンシブル・ツーリズム(責任ある観光)」やダイバーシティに向けた「ユニバーサル・ツーリズム」の推進もJNTOの役割として位置づけ、認知向上や啓蒙に向けた取り組みを進めていく考えを示した。

各地域に向けては、「特別なことをしなくても、知らずにすでに取り組んでいることも多い。それを上手に見せていくことが大切」と指摘。その例として、コンテンツでは里山体験や農泊、地産地消など、活動としては混雑緩和対策、景観への配慮、掃除などを挙げ、「サステナブル・ツーリズムは地域にとっても難しいことではないというメッセージを伝えていく」と付け加えた。

定例会見でJNTOの取り組みを説明する金子氏バーチャルツアーとeコマースの組み合わせた企画も予定

東京オリパラに向けた活動では、これまで展開してきたメディアでの広報戦略について、開催が間近に迫るなか「ラストスパートで取り組んでいる」と強調。地域の知られざる観光の魅力を発信するとともに、オリパラを切り口とした観光コンテンツ情報の発信をグローバルメディアの番組やCMで打ち出していると説明した。

海外への情報発信については、旅行会社向けにバーチャルファムツアーを実施。第一弾として、米国の富裕旅行を取り扱う旅行会社向けに、沖縄、石川、岐阜、長野のコンテンツをリアルタイムで配信した。また、6月~7月にかけては、米国とカナダ向けに横浜、静岡、滋賀、香川、山陰の素材を紹介する。

さらに、JNTOはバーチャルツアーとeコマースを組み合わせた物販による観光プロモーションも企画。まず中国市場で今年度下期の国慶節、独身の日、春節などの機会を捉えて、展開していく予定だ。

このほか、地域と海外をライブ配信で直接つなぐ取り組みも拡大。JNTOは、これまでの企画作成のコンサルティングに加えて、撮影、配信なども支援し、JNTO海外事務所からSNSで配信する。現在2021年度の募集を行っており、配信は10月から開始される計画。

金子氏は、インバウンド市場の回復時期について、感染状況、航空ネットワーク、ワクチン接種などさまざまな要因が絡んでくるため、「はっきりとは分からない」と明言を避けた。そのなかで、JNTOとしては、「地域の魅力の発信を継続することで、滞在日数の拡大や単価の上昇など質の向上を目指す」とし、欧米豪や富裕層の誘客に引き続き注力していく方針を示した。

SDGsへの貢献と持続可能な観光(サステナブル・ツーリズム)の推進に係る取組方針 (PDF)

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