ヤフーのデータで読み解く「海外旅行」の今、検索データから見える旅行者の心理と有望ターゲット像、市場回復に必要なことは? ―トラベルボイスLIVEレポート(PR)

水際対策が大幅に緩和された後も、日本の海外旅行マーケットは動きが鈍い。燃油高騰や円安、世界的なインフレ、新型コロナウイルス感染症への不安など、様々な要因が作用していることが考えられるが、実際のところ、日本の旅行者は海外旅行に対してどんな姿勢なのか?

2023年1月中旬に開催したトラベルボイスLIVEでは、ヤフーのマーケティングソリューションズ統括本部 第二営業本部の吉川美咲氏が出演。「Yahoo! JAPAN」の検索等のデータや消費者アンケート調査から、海外旅行マーケットで動く消費者の心理を紐解き、潜在需要と今後の可能性に迫った。

「行きやすい海外旅行先」を探す傾向

まず、吉川氏は直近の旅行需要について、Yahoo! JAPANの検索傾向からアプローチした。「国内、海外の主要エリア」と「旅行」「ホテル」「宿泊」「航空券」「ツアー」を組みあわせた検索数は、2022年12月の時点で2019年同月比50%まで回復したが、主要エリアを「海外」に限定すると、2019年同月比で30%にとどまっている状況だ。

海外旅行需要は2019年比で未だ30%

ただし、海外の主要エリアの検索結果を2021年やコロナ前の2019年の状況と比べた結果を見ると、消費者が具体的に行くことができる渡航先を探している様子が見て取れるという。

例えば、エリア別では2021年と比べると、ビーチ(アジア)やオセアニアが400%以上増加。国別ランキングでは2019年と比べ、フランスやイギリス、スイスなどの欧州勢が6~15位もランクアップした。この結果に吉川氏は、「アジアのビーチ圏であるバリやプーケットなどは日本からの行きやすさ、オセアニアは感染者数の少なさや入国規制の緩和、欧州は入国のしやすさなどで検討に入りやすかったのかもしれない」と、検索結果から需要動向を推察した。

さらに、これらの海外旅行関連ビッグワードに、「パスポート」や「旅行保険」を組みあわせた検索も、2022年に入ってから増えたという。吉川氏は「海外旅行に向けて、具体的な検討をしている人が増えているのではないか」と話した。

ヤフーのマーケティングソリューションズ統括本部 第二営業本部(チームリーダー)の吉川美咲氏

観光目的が半数以上、意欲喚起には露出増加を

では、現在の海外旅行に対する姿勢の実態はどうか? 吉川氏は、ヤフーのデータとヤフーが実施した消費者アンケートを用いて、「コロナ前に海外旅行をしていたが、コロナ禍以降はしていない人」(以降、コロナ前渡航者)と、「コロナ禍以降に海外旅行をした人」(以降、コロナ後渡航者)の「客層」や「海外旅行の意欲」「海外旅行をする際の検討事項」を比べた。

すると、コロナ後渡航者のメイン客層は、年収800万円以上で職業は経営者・会社員。渡航目的はビジネス(出張)と、一般的にイメージされているコロナ禍の海外渡航者像が、アンケート結果でも示された。ただし、渡航先の上位はハワイ、韓国、米国、台湾、タイの順でコロナ前からの変化はなかった。また、観光目的の旅行をした人の割合は62%となり、依然として半数以上だった。

コロナ収束後に「海外旅行をする意欲」については、コロナ前渡航者は約3割が「(海外旅行に)行きたいとは考えていない」と回答し、渡航意欲は低い。これに対し、コロナ後渡航者はその96%が渡航意欲を示し、「具体的なエリアを検討している」人も72%に及んだ。この結果に吉川氏は、「コロナ禍に一度でも渡航をした人は、ハードルが低くなる傾向」と指摘した。

一方、コロナ前渡航者で現在は海外旅行の意欲がない人の理由は、「特に行きたい場所がない」「国内旅行で満足している」が最多。感染への不安や円安、世界情勢、旅行費用の高騰などの理由より多く、「そもそも海外旅行への意欲が掻き立てられていない」(吉川氏)ことが判明した。この状況に吉川氏は「海外旅行を喚起するメディアや広告、SNS発信が減少したことで、海外旅行のきっかけが減少したことが一因にあると考えている」と話した。

海外旅行に行きたいと思わない最大の理由は、そもそも意欲が喚起されていないこと

有望な想定ユーザー像は? コロナ以前の海外旅行に戻る兆候も

今後、海外旅行はどう動くのか。

コロナ前渡航者は2023年中の海外旅行を検討する人は少なく、1年以上先とする人が多い。これに対し、コロナ後渡航者の75%が、2023年上半期に渡航を予定していると回答した。渡航目的はビジネスが7%で、観光が87%に拡大。同行者も「子供連れ家族」や「子供なし家族」などの回答が「友人」や「1人」より多かった。

吉川氏は、この中から「子供連れ家族」に焦点を当て、回答者のインサイトをヤフーのデータで深掘りした想定ユーザー像を発表。「年齢は30~50代がボリュームゾーン」「職業は会社員、公務員」「旅行好きで、普段も国内で家族旅行をする」「可処分所得が高く、不動産や金融関連に興味あり」「ふるさと納税や電子マネーなどにも関心があり、金融リテラシーが高そう」などをあげた。

また、渡航先を選定するポイントは「治安が良い」「美しい景観・街並み」「豊かな自然」「歴史的建造物や名所旧跡」などが上位になり、コロナ対策やワクチン接種状況などよりも観光的な観点が重視されている。吉川氏は「今後は今まで通り、観光として楽しめることが重要になる」と、渡航先の検討基準がコロナ前に戻りつつあることを指摘した。

これらを踏まえ、吉川氏は今後、海外旅行市場を活性化させ、海外旅行者数を増やしていくために、「必要なのは需要喚起」とアドバイス。「コロナ禍の約3年間、海外旅行の意欲を失っている人が多い」とし、海外旅行に行きやすい人にアピールすることを勧めた。

その際のターゲット層は、感染リスクの低い30、40代で、可処分所得が高く、金銭的・心的余裕のあるアクティブ層。吉川氏は、ターゲット層の興味関心事項として「銀行、金融系」「ビーチリゾート」「豪華旅行」「ショッピング」「グルメ」などをあげ、「こうした項目にお金を費やすような人が、今後の海外旅行のターゲット層に該当していると、ヤフーのデータから見えている」と話した。

アンケート×ヤフーのデータで深掘りした今後想定される海外旅行者像

このほか、アプローチしやすい具体的な旅行形態として、2022年4月以降の検索数が増加傾向の「海外ウェディング」も提示。人気1位の「ハワイ」では、「ハワイ旅行」を検索する1カ月~1週間前に「結婚証明書」「結婚式」「前撮り」など、結婚式に関連するキーワードが検索されており、吉川氏は「日本での挙式後の新婚旅行を含めて、結婚式前後にハワイへの旅行を検討していることがうかがえる」と考察した。

吉川氏は、ヤフーのデータで深掘りしたユーザー像として、「20~30代」「ビーチリゾート・豪華旅行」「平均年収が高く、年収1000万円以上」「普段のウェブ行動ではショッピングやグルメ」をあげ、「海外ウェディングをターゲットにするにはこれらを参考にしてほしい」と話した。

「海外旅行」を検索する前後のココロの動き

海外旅行を検討するユーザーは、どのようなステップを踏んで旅行実施に至っているか。吉川氏は、「海外旅行」を検索した日を起点に、前後最大60日間で検索されているキーワードをマップ化した「検索キーワード・カスタマージャーニー」を示して説明した。

これによると、「海外旅行」の検索2日前から2カ月前は、隔離期間や隔離のない渡航先など、情勢のピックアップが多い。具体的な方面が検索され始めるのは、「海外旅行」の検索1週間後くらいから。数は少ないが「今行ける海外」というキーワードもあり、「どこでもいいから海外に行きたいという需要も見える」という。

さらに「海外旅行」検索の前後1日になると、「旅行・航空会社の予約サイト」「渡航先」「ワクチン・PCR」など海外旅行をするための具体的なワードが増え、「必要な情報収集の段階に入っていく」と吉川氏。「海外旅行」検索後2日~60日になってくると、旅行会社や航空会社、予約サイトの閲覧のほか、「入国・帰国後」に必要な事項を調べる行動へと移っていく。具体的には「日本の入国手続オンラインサービス「MySOS」(現在は「Visit Japan Web」)、や韓国の電子渡航認証システム「K-ETA」などのビザ申請などだ。

「海外旅行」を検索した日を起点に、前後最大60日間の検索キーワードをマップ化することで、いつ、どのような検討して準備をし、実施に至るか行動が見てとれる

最後に吉川氏は、検索市場全般の傾向として、ユーザーのニーズは多様化し、検索キーワードが3語以上に増えていることを説明。「各企業はウェブサイト情報を拡充するなどして、ユーザーの検索傾向を把握し、需要に応える必要がある」と話した。

進行を務めたトラベルボイス代表の鶴本浩司は、アンケートや検索行動に、海外旅行への意欲が強くうかがえたことを指摘。「なかでも『今行ける海外』という検索キーワードがあるのが象徴的。必要なのは需要喚起であることがよく分かった」と話した。

進行を務めたトラベルボイス代表取締役社長の鶴本浩司

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お問い合わせ:https://marketing.yahoo.co.jp/contact/

記事:トラベルボイス企画部

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