ハワイ・マウイ島、山火事からの復興への苦悩、観光による経済再生か、地域住民への配慮か【外電】

写真:ロイター通信

ハワイ・マウイ島の山火事による死者数は、米国の過去100年で最も多い数となっている。捜索救助チームが懸命に捜索活動を続けている一方で、影響のないビーチでは観光客がバケーションを楽しんでいる。この光景に、一部の住民は激怒している。彼らの中には、その様子を怒りとともにSNSに投稿する人もいる。

ハワイの俳優ジェイソン・モモアさんはインスタグラムで「私たちのコミュニティには立ち直るための時間が必要だ」と述べ、観光客に旅行をキャンセルするよう呼び掛けた。

一方で、地元当局や企業は、観光業に大きく依存している島の経済への打撃を少しでも軽減するために、旅行者が少しずつ増えていくことを歓迎している。 マウイ島の経済開発委員会によると、観光産業は島の収益の80%を生み出している。

マウイ島が火災からの長期的な復興に乗り出すなか、当局は住民の当面のニーズと島の長期的な財政健全性のバランスをどのように取っていくか苦心しているのが現状だ。

8月13日のマウイ行き航空旅客は8割減

ハワイ州観光局は現在、地元住民の復興支援に優先するために、被災地であるマウイ島西部への不要不急の旅行を避けるよう観光客に呼び掛けているが、ハワイ州のジョシュ・グリーン知事は会見で「ある地域への旅行を制限すると、他の誰よりもその地域の住民に大きな被害を与えることになる」とも述べている。

ハワイ州産業経済開発観光局は、8月13日のマウイ行き航空旅客数は、昨年の同時期と比べて81%近く減少したことを明らかにした。

米国国勢調査局の最新の数字によると、2022年には人口16万5000人のマウイ島に290万人の観光客が訪れた。ハワイ州観光局によると、観光客が2022年にマウイ島で消費した額は56億9000万ドル(約8250億円)だった。

マウイ郡のリチャード・ビッセン郡長は会見で「マウイ島は閉鎖されていない」と述べ、 「住民の多くは観光業で生計を立てている」と続けた。

マウイ島南のワイレアビーチにあるフォーシーズンズリゾートでは、すべてのホテルの営業が通常通りに行われている。しかし、8月に予約をしている観光客には、被災地がもう少し回復するまで旅行を延期するように勧めているという。

また、ハワイ全土に23軒のホテルを展開するヒルトン・ワールドワイドは、8月31日までハワイ全島へ、または全島を発着または経由する旅行者に対するキャンセル料を免除すると発表した。

火災後、ラハイナから18キロ離れた場所でチャリティシュノーケリングを催行した会社には批判が殺到。その後、同社は謝罪し、当面の営業停止を決めた。

※ドル円換算は1ドル145円でトラベルボイス編集部が算出

※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。

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