
世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)は、政治情勢とドル高の影響によって、米国の外国人旅行者の支出が2025年に前年比約7%減少すると予想している。WTTCのジュリア・シンプソンCEOは、「トランプ大統領の極端な政策、国境で足止めされることを恐れ、為替レートのために旅行者は米国への旅行を避けている」と話す。
米国は世界最大の旅行市場だが、WTTCは今年の米国での外国人旅行者の支出は2024年の1810億ドル(約26兆円)から1690億(約24兆円)ドル以下に減少、ピークだった2019年の実績を22%下回ると予想した。
ドイツは今年3月、国境で複数のドイツ人が拘束されたことを受けて、ビザや入国免除が入国を保証するものではないとして米国への渡航勧告を発出した。
シンプソン氏は、ロイター通信に対して「世界の国々は、人々に自国を訪れて観光するよう呼びかけているが、 米国は現在、完全に『営業していません、休業です』というサインを掲げている。これは非常に残念なこと」と嘆く。
米国の旅行・観光支出の90%は国内観光客によるものだが、米国旅行協会(U.S. Travel Association)のデータによると、カナダ人旅行者は米国国内旅行者の3倍の金額を米国で消費。他国からの旅行者に至っては7~8倍の金額を消費している。
米国旅行協会によると、米国最大のインバウンド市場であるカナダとメキシコからの旅行者は前年比で約20%減。英国、ドイツ、韓国からの旅行者も減少傾向にあるという。
※ドル円換算は1ドル145円でトラベルボイス編集部が算出
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